« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »

2009年10月

2009年10月25日 (日)

2009年43号(10.18-24 通算487号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年10月18-24日
 

◆アフガン大統領選、決選投票に(20日)☆
・8月に第1回投票実施のアフガン大統領選は、決選投票に進むことになった。
・選管が第1回投票結果を発表。カルザイ大統領の得票を過半数以下の49%とした。
・カルザイ氏もこれを受け入れた。
・決選投票は11月7日に同氏とアブドラ前外相の間で行われる。
・大統領選では多数の不正投票が発覚。扱いを巡り混乱していた。
・政治的空白がさらに長引くことになる。
・アフガンでは2006年頃からタリバンが反抗。治安が悪化し、国の再建は遅れている。
・カルザイ政権への国民の支持も弱まり、8月の大統領選は投票率30%台と低迷した。

◆マイクロソフト、Windows7発売(22日)☆
・MSは新OSウインドウズ7の一般販売を開始した。
・新しいOSは2007年1月のVista以来2年10カ月ぶり。
・Vistaは安全面強化の結果動作が遅く不評だった。その挽回を狙う。
・この間グーグルが無料OSを発表するなどMSの優位が脅かされている。
・クラウド・コンピューティングなど新技術も普及。行方を見えにくくしている。
・24日発表のMSの7-9月決算は、3・4半期連続の減収減益に終わった。

◆FRBが金融機関の報酬制限策発表(22日)
・FRBは金融機関幹部に対する報酬制限策を発表した。
・公的資金を受けている機関の経営者には具体的な制限を設定。
・それ以外の大手機関は報酬ルールを設け、FRBのチェックを受ける。
・中小金融機関にもルールを導入する。
・透明性は高まり、短期利益にとらわれる報酬制度は若干改まる可能性がある。
・しかし高額報酬そのものの制限は限定的。
・金融危機で表面化した報酬制度は、抜本変革に至らず一段落しそうな雲行きだ。

◆中国7-9月は実施8.9%成長(22日)
・中国の7-9月のGDP成長は前年比8.9%成長だった。
・1-9月の成長率は7.7%で、目標の年率8%が視野に入ってきた。
・景気対策の効果で都市部の固定資産形成が拡大。消費も伸びた。
・一方、輸出は落ち込みが続いている。
・世界経済は、中国の統計発表を世界が注目する時代になっている。

◆ASEAN+3など首脳会議(24日)
・ASEANやASEAN+3など一連の首脳会議開催した。
・景気刺激の継続や経済交流拡大促進を確認した。
・メコン川流域開発や環境問題での協力も話し合った。
・今回強い見出しはないが、アジア地域協力はASEAN+3、東アジア首脳会議を舞台に進む。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【アフガンの混迷】 アフガニスタン大統領選は投票から2カ月を経て、やっと結果を公式発表。決選投票実施が決まった。この間、不正投票を巡り議論は迷走。国の混乱ぶりを露呈する結果になった。大統領選の結果、アフガンの行方はさらに不透明性が増したと言わざるを得ない。

 【企業業績】 世界の主要企業の7-9月決算発表が相次いでいる。金融危機後深刻な経営危機に直面した金融機関は、表面上は利益を出しまずまずの数字を残したところが多い(もちろん不良債権処理という爆弾は残ったまま)。ITも増益基調に転じるところが目立ち、アマゾンやグーグルなど好決算が目についた。ただ、同一業種の中でも好調組と、不振が続く企業の格差が目立つ。一方、政府の支援で息をつないでいた自動車や家電などは先行き新たな懸念を抱えている状況。

 【新技術・新ビジネス】 米大手書店のバーンズ&ノーブルは21日、電子書籍(ブックリーダー)を発表した。先にアマゾンが発表したキンドルに対抗する構え。19日には米プラスチック・ロジックなども同様の製品を発表している。一方、電気自動車の新製品なども発表が相次いでいる(東京モーターショーなど)。世界経済は危機一色の局面から、次をにらんだ新サービスなどが目立ってきた気もする。
 

◎今週の注目(2009.10.25-31)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・ベルリンの壁崩壊20年(11月9日)をにらんだ様々な行事が開催される。31日には米ソ独元首相が集まる行事がベルリンで。
・EU首脳会議が29-30日ブリュッセルで。

・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2009 INCD-club

2009年10月18日 (日)

2009年42号(10.11-17 通算486号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年10月11-17日
 

◆NYダウ1万ドル回復(14日)☆
・ダウ工業株30種平均が2008年10月3日以来約1年ぶりに1万ドルを回復した。
・ハイテクや金融株の7-9月業績が予想以上によかったのを好感した。
・金融危機後ダウは3月9日に6547ドルと12年ぶりの安値を記録していた。
・底から50%以上の回復になる。
・景気が最悪期を脱出したとの観測から、株価は世界的に回復基調にある。

◆パキスタンでテロ拡大 ☆
・パキスタンでテロが拡大している。今月に入っての死者は150人を超えた。
・15日は北西部のコハートや東部ラホールで自爆テロや銃撃戦が発生。
・ペシャワールでは9、15、16日に相次いでテロが発生した。
・パキスタンのタリバン運動などが声明を発表している。
・これまでの散発テロ→各地で連動の兆候が出ている。

◆英国がアフガン増派、日本はインド洋給油停止(14日)
・ブラウン首相は500人の増派を発表した。
・他のNATO加盟国が応分の負担増に応じることなどを前提としている。
・英国の現在の派兵は9000人。増派実現なら9500人になる。
・アフガン増派は米国やNATO各国で最大級の政治問題になっている。
・日本は米国などにインド洋での給油活動を来年1月で停止すると伝達した。

◆米、2012年までに核半減(15日)
・米国は2012年までに核保有量を2001年比半減する。
・国連総会の会合で国連大使代理が表明した。
・1950年代以降で最低水準になる。
・2001年の保有は、戦略核(長距離)と戦術核(単距離)会わせ推定1万発。
・これが5000発レベルに低減する。

◆上院委員会、医療保険制度改革法可決(13日)
・米上院財政委員会は、医療保険改革法案を可決した。
・賛成14票、反対9票で、共和党からも1人が賛成票を投じた。
・法案成立に一歩前進の形。
・ただし、下院との調整や本会議通過のめどはまだついていない。
・米政治では医療保険制度とアフガン増派が最大課題。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────
 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【米企業の業績と株回復】 NYダウが約1年ぶりに1万ドルを回復した。きっかけになったのが米企業の7-9月業績。金融機関ではゴールドマンサックスやJPモルガンチェースなどが市場予測を上回る大幅増益(前年比)を記録、グーグルは最高益を更新した。IBMなどIT関連も業績回復が目立った。ただ金融でもバンク・オブ・アメリカなどが赤字。市場回復で証券関ビジネスが好調だったのに対し、個人融資など商業銀行部門はなお不振だ。世界の経済の指標といわれるGEは44%の減益だった。
 ちなみに米政府が16日発表した2009会計年度(2008.10-09.9)財政赤字は1.4兆ドルの赤字で前年比3倍増、GDPの10%にあたる。先行き不透明要因ももちろん多い。 

 【電子書籍と中国】 フランクフルトで開催中の書籍見本市で話題2点。グーグルは電子書籍(50万冊)を来年から販売する。先行するアマゾンのキンドルに続くもので、電子書籍時代が本格化する。もうひとつは中国を主賓国として招いたこと。中国の出版事情などに関心が集まった。IT、メディアが大きく変わっている一断面だ。

◎今週の注目(2009.10.18-24)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・NATOの非公式国防相会議が22-23日。アフガン情勢など重要。

・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月9日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2009 INCD-club

2009年10月11日 (日)

◆ノーベル平和賞の読み方(オバマ大統領受賞と候補者たち) 2009.10.10 

 2009年のノーベル平和賞がオバマ米大統領に授与されることになった。予想外の授賞の背景にはノーベル賞委員会のメッセージが明確に込められている。そして反応は様々だ。

▼期待を重視
 ノルウェーのノーベル賞委員会によると、賞は「国際外交と人々の協力強化への特別優れた努力に対して」(for his extraordinary efforts to strengthen international diplomacy and cooperation between peoples)与えられる。
 具体的には、核軍縮に向けた努力や国際協調重視の外交政策を評価している。
 4月のプラハでの「核なき世界」演説は、核軍縮に新たな推進力を生んだ。6月のカイロで演説は、イスラム社会との新たな対話の出発点になった。中東へのミサイル防衛システムの配置中止は、新たな米ロ協調を生み出そうとしている。
 委員会は大統領が世界に対し未来への希望を与える力を持っていると指摘。国際政策は委員会が108年追及してきたものと一致すると絶賛した。
 ただ、オバマ大統領は就任からまだ9カ月。核軍縮にしても対話促進にしろ、まだ成果は出ていない。実績より期待を重視した決定だ。

▼政治的メッセージ
 近年のノーベル平和賞を見ると、政治的メッセージを込める傾向がよく出ている。
 1994年はパレスチナのアラファト議長とイスラエルのラビン首相らに授賞、パレスチナ和平を後押しした(和平はその後とん挫した)。
 1998年は北アイルランドのトリンブル首相らに授賞し、北アイルランド和平促進を応援した。2000年は韓国の金大中大統領に授与し、南北朝鮮和平促進を支援した。
 2007年のゴア米前副大統領らへの授賞は、地球温暖化防止へのメッセージだった。
 オバマ大統領への授賞はこうした傾向に沿ったものだ。ただ、就任1年に満たない世界最高の権力者への授賞はやはり異例。先物買いといわれるリスクを負っても、政治的に強いメッセージを発したかったと解すべきだ。

▼反応は様々
 各国首脳は当然のことながら、祝福と歓迎の声明を出した。サルコジ仏大統領は「オバマ氏の世界観が評価された」を気の聞いたコメント。米国と距離を置くイランからも、批判ではなく将来への期待を込めたコメントが出ている。
 ただメディアなどは抑えたコメントも加える。英Economist誌は「Even greater expectation」という見出しで、授賞により大統領への期待がさらに拡大したと指摘。賞賛の一方で「まだ早すぎるのか」と問題意識を投げかけてバランスを取った。英Financial Timesは「成果より約束に与えられた」と分析した。
 オバマ大統領と意見の相違が目立つ米wall Street Journal紙は「授賞はしばしば政治に左右される」(An Award Often Tinged by Politics)と、多少もの言いたげな論評を加えた。

▼予想候補に見る世界
 ところで、今回受賞に至らなかった候補者からも世界の現状が伝わってくる。
 英国のブックメーカーPaddypowerが発表前に予想していた候補者は以下の通り。

-Seema Samar アフガニスタンの人権活動家(国連などで)(賭け率は4.5倍)
-Pierdad Cordoba コロンビアの政治家。人種、性別などの差別廃止活動(5倍)
-Hu Jia(胡佳) 中国の人権活動家(6倍)
-Ghazi bin Muhammad ヨルダンの王子、社会活動。(7倍)
-Morgan Tsvangirai ジンバブエの政治家。ムガベ独裁政権に対抗(8倍)
-Thich Quang Do ベトナムの僧侶(10倍)
-Wei Jingsheng(魏京生) 中国の人権活動家(12倍)
-Ingrid Bertancourt コロンビアの政治家(12倍)
-Lidia Yusupova ロシアの人観活動家(14倍)
-Bill Clinton 米元大統領(14倍)
-The Cluster Munitions Coalition クラスター爆弾禁止の運動(14倍)

 いずれも立派な人物やグループだが、これまであまり知られていない人も少なくない。ノーベル賞を機にこうした人々を知ると、世界の動向や課題が別の角度からも見えてくる。
 ちなみにオバマ大統領は賭け率14倍(9位グループ)。他にグリーンピース(33倍)、ボノ(66倍)などがリストに挙げられていた。また、ブッシュ前大統領(500倍)というブラックジョーク(?)も盛り込まれていて面白かった。

2009.10.10

2009年41号(10.4-10 通算485号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年10月4-10日

◆ノーベル平和賞にオバマ大統領(9日)☆☆
・2009年のノーベル平和賞がオバマ米大統領に決まった。
・ノルウェーのノーベル賞委員会が発表した。
・授賞理由は国際外交と人々の協力強化への努力を挙げている。
・核なき世界発言に代表される核軍縮や国際協調への努力が評価された。
・大統領は就任後まだ9カ月。この時期の授賞は異例。
・決定には、核軍縮などを後押しする委員会の強いメッセージが込められている。

◆中国、温暖化ガス排出世界最大(6日)☆
・中国の温暖化ガス排出が2007年に世界最大になった。
・IAEが発表した統計で明らかになった。
・中国の排出量は世界の21%。米国は20%。
・今後も中国の排出量は拡大する見込み。
・ポスト京都議定書交渉で、中国はまず先進国の責任を問う立場を変えていない。

◆米国の財政赤字膨張(7日)☆
・米国の2009会計年度(08.10-09.9)の財政赤字は1兆4090億ドルになった。
・議会予算局が発表した。
・過去最悪だった08会計年度比3倍増。GDP比は約10%。
・総額7800億ドルの景気対策、金融支援、景気悪化による税収減少などの影響。
・米国はじめ各国で、財政赤字が重くのしかかる。

◆アフガン、パキスタンで相次ぎテロ
・イスラマバードの国連食糧計画事務所で5日自爆テロがあり5人が死亡した。 
・国連はイスラマバードの関連施設を一時閉鎖した。
・カブールのインド大使館付近でも8日自爆テロがあり、17人が死亡した。
・アフガンでは8月20日の大統領選結果がまだ不明。混乱が続いている。

◆北朝鮮6カ国協議復帰示唆、中国首相が訪朝(4-6日)
・中国の温家宝首相が4-6日北朝鮮を訪問した。
・中朝国交樹立60周年記念式典参加などのため。
・主脳会談で北朝鮮の金正日総書記は、6カ国協議復帰の可能性を示唆した。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────
 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【オバマ大統領の話題】 米国初の黒人大統領誕生というだけでも今年はオバマ大統領の年になるはずだった。それに加えてノーベル平和賞受賞決定。世界から見たら大統領は希望の象徴(beacon)だが、期待バブルが膨らみ過ぎている懸念も感じる。

 【アフガン・パキスタン情勢】 その大統領の当面の懸念材料は、国内では医療保険制度改革。そして国際的にはアフガニスタン・パキスタン問題だ。今週も両国で大規模テロが起き、アフガン増派問題は米政権・議会で調整に手間取っている。 
 8月20日に実施されたアフガン大統領選の結果は、まだ出ていない。カルザイ大統領が獲得した約300万票のうち、150万票に不正の疑いがあるという情報も流れている。ちなみにアフガニスタンの人口は2800万人。選挙での投票率は選管発表で38%(前回2004年の選挙は70%)で、有効投票は566万票だったとされる。根は深い。

 【経済動向】 世界経済は最悪期を脱したが、先行きはなお不透明、という状況は変わらない。そんな中注意すべき動きがいくつか。豪州が金融危機後、先進国で初めて利上げに踏み切った。金価格は上昇を継続。G7の終焉とG20への移行が一段と目立つ動きになってきた。

◎今週の注目(2009.10.11-17)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・米国のアフガニスタン増派問題議論が節目。

・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月9日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2009 INCD-club

2009年10月 3日 (土)

◆イランと北朝鮮:核問題比較 2009.10.3

 イランの核問題が大きく動いている。9月下旬に第2のウラン濃縮工場の建設が発覚した。その後、短中距離ミサイルの試射を実施し、強硬姿勢をみせた。

 10月1日にはジュネーブでの安保理常任理事国5カ国+独との協議を開催。ここではIAEAの査察に応じるなど柔軟な姿勢を示した。硬軟入り乱れ、問題は一筋縄ではない。

 イランと北朝鮮は、世界の核拡散の脅威として取り上げられる。イランが北朝鮮のモデルを改良型を試射するなど、水面下でのつながりも深い。一方で違いもある。

 北朝鮮がすでに核実験を実施し、核保有国を宣言したのに対し、イランはまだ開発段階。しかも公式には民生用を主張している。

▼最悪のシナリオ

 北朝鮮の核の最悪のシナリオは、韓国などと衝突→韓国や日本で核使用だろう。これは理論上はすぐにでも起き得る。

 一方イランは現時点の核兵器使用はない。しかし紛争が起きれば、ホルズム海峡の閉鎖→世界経済の混乱や、イスラエルによるイラン攻撃→中東全域の戦闘など、広がりは大きい。それは核保有の前でも起こりうる。

 テロリストへの核の流出リスクも最大の懸念材料の一つ。地政学上の状況が現在のままなら、仮に核兵器を持った場合、イランの方がこのリスクは高いとみられる。しかし北朝鮮も体制の混乱などが起きれば分からない。

 欧米ではイラン、日本では北朝鮮ばかりが大きく取り上げられる。距離的に近い以上それは当然だ。だがグローバルな視点から、こうした違いの比較など含め問題点の整理もたまには必要だろう。

2009.10.3

◆ドイツ総選挙が示唆するもの 2009.10.3

  ドイツの総選挙でメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が第一党の座を維持。中道の自由民主党と合わせて過半数を獲得し、4年間続いた社民党との大連立政権→中道右派の連立政権になる。
 同時に印象的だったのが社民党の退潮。前回選挙より得票率を10%も下げ、戦後最低水準に落ち込んだ。
 総選挙結果から、欧州や世界の政治潮流について、様々な視点や問いかけが見えてくる。

▼欧州左派の退潮

 社民党の退潮は、ドイツ独自の現象ではない。欧州では6月の欧州議会選で社民党勢力が大敗。英労働党も来年6月までに行われる選挙で敗北の可能性が高い。
 4月のアイスランド総選挙での左派勢力の政権奪還やノルウェー総選挙の社民党勝利・政権維持などの動きはあるが、全体的に見ると社民勢力退潮の印象が強い。
 欧州には1990年代後半、欧州左翼の時代と呼ばれる時代があった。独社民党中心のシュレーダー政権、英労働党ブレア政権の誕生、仏ジョスパン内閣(政権としてはシラク大統領の下に保革共存)、伊オリーブの木政権などが相次いで発足した時期を指す。
 ただし、シュレーダー政権、ブレア政権の政策は伝統的な社会民主主義とは一線を画した現実主義。むしろ中道政策と呼ぶのがふさわしかった。
 独社民党は90年代後半以来、与党で現実主義的な経済改革路線を推進した。その結果、伝統的な左派支持者の社民党離れを招き、今回の大敗につながった面が大きい(左派新党に流れた)。経済改革か、福祉維持かの狭間で、支持者の一部を失った構図だ。社民党のジレンマは深い。

▼脱イデオロギー・政策担当能力・リーダーシップ

 ただ、左派の退潮は欧州の現象。世界全体では異なる。
 米国では今年、保守の共和党からリベラルの民主党のオバマ政権に交代。日本では保守の自民党政権から民主党の鳩山政権が発足した(欧米では中道左派という紹介される)。
 世界各国の事情は個々で異なるが、多くに共通するのは長期政権への批判が政権交代の原因になっていること。政権党に対するチェックや批判が、政権交代の原因になっているというわけだ。
 どの程度の期間で交代に至るかは、様々な要因が左右する。政権の当事者能力、大統領や首相のリーダーシップ、野党の力量、その国の政治や民主主義の成熟度などだ。
 その意味ではイデオロギーの違いより、政策担当能力が問われる時代と考えるべきだろう(ただし、イデオロギーの定義は様々で、注意深く使う必要がある)。
 数年後に欧州が保守のジレンマの時代になってもおかしくない。米国や日本でも揺れ戻しや政権交代があると見るべきだろう。
 
▼アングロサクソン・バイアス

 米国や英国のメディアを見ると、メルケル政権の政権維持の解説として、金融危機への適切な対応など当事者能力への評価が多い。そしてCDUの政策が社民党より現実的で、経済改革に前向きと見るものが多い。
 ただし、そうしたアングロサクソン的な視点だけでは現実を見誤る。ドイツは米英のような市場経済国家ではなく社会的市場経済国家。これは基本法(憲法)にも定めてある。メルケル首相ももちろんこの立場に立つ。
 世界を眺める上で、アングロ作戦バイアスへの注意は常に心しなければならない。

2009.10.3

2009年40号(9.27-10.3 通算484号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年9月27日-10月3日

◆ドイツ総選挙、大連立→保守中道政権へ(30日)☆
・総選挙が実施され、メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟が第1党を維持した。
・中道の自由民主党と合わせて過半数を獲得し、保守中道政権が発足する。
・社民党を含んだ左右大連立政権は4年で解消する。
・キ民同盟は首相人気や現実的な政策実施などからで前回以上の議席を獲得。
・社民党は221→146議席と歴史的な大敗。福祉削減への反発から左派支持者離れが進んだ。
・自民党の他に緑の党、左派新党も議席を伸ばし、2大政党→多党化が進んだ。
・選挙結果が独や欧州、世界の政治潮流に示唆するものも多い。

◆2016年五輪はリオに(2日)☆
・2016年の夏季五輪の開催がリオデジャネイロに決まった。
・コペンハーゲンで開催したIOC総会で決定した。
・南米での五輪開催は初めて。
・リオ、マドリッド、東京、シカゴの立候補地から選ばれた。
・総会にはオバマ米大統領や鳩山首相も出席し誘致をPRした。
・ブラジルは2014年のサッカーワールドカップに続いての開催となる。
・世界の構造変化(先進国中心→新興国)を映す。
・国際イベントの政治や経済への影響拡大も改めて印象付けた。

◆サモア、インドネシアで連続地震被害(29、30日)☆
・南太平洋サモア沖で29日M8.0の地震が発生。津波被害で180人以上が死亡した。
・30日にはインドネシアのスマトラ沖でM7.6の地震が発生。数百人以上が死亡した。
・いずれも被害が拡大する可能性が大きい。
・これだけの大地震が連続で発生するのはまれ。
・因果関係については今のところ否定的な見方が多いが不明。
・同時期にフィリピンなど東南アジアでは台風禍で数百人が死亡した。
・2004年末のスマトラ沖地震では30万人の死者・不明者が出ている。

◆イランがミサイル発射実験、核問題巡り協議 ☆
・革命防衛隊は27、28日にミサイル試射を行った。
・射程2000キロの中距離ミサイルなど。イスラエルや湾岸米軍基地は射程内になる。
・9月下旬には第2のウラン濃縮施設建設が発覚している。それに続く動き。
・安保理常任理事国+独は1日ジュネーブでイランと核問題を協議した。
・イランはIAEA査察への協力を表明。月内に再度協議開催する。
・低濃縮ウランをロシアなど第3国で再濃縮し、イランに戻す構想も合意した。
・制裁回避のために柔軟姿勢を見せた格好。一方でミサイルなど強硬姿勢も維持する。
・核問題の行方は緊迫したまま複雑な駆け引きが続く。

◆中国建国60周年、党の指導力を誇示(1日)☆
・中国は建国60周年の国慶節を迎えた。
・天安門広場では10年ぶりの大規模軍事パレードを実施。歴代指導者らが閲覧した。
・胡錦濤国家主席首席は演説し中国の発展と共産党の指導力を誇示した。
・同時に改革・開放路線の継続を強調した。胡首席は鄧小平氏指名の直系。
・軍事面では国産の最新兵器を披露した。
・中国の国力と世界における存在感を見せつけた格好。
・同時に異常な警備や雛壇序列などを通じ、内在する問題や権力争いも垣間見せた。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────
 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【重要ニュース集中】 重要なニュースが連続。ベスト5以外にも、アイルランド国民投票でEUのリスボン条約批准国民投票(2日)、IMFが世界経済の見通し上方修正などが相次いだ。

 【五輪誘致合戦】 2016年の夏季五輪の開催地がブラジルのリオデジャネイロに決まった。南米初の五輪開催という売り物が、治安面での不安や他候補地のセールスポイント(東京なら環境など)をしのいだ。ブラジルは2014年のサッカー・ワールドカップの開催も決まっており、連続のビッグイベント。2010年は南アでサッカーW杯開催、2012年はソチ冬季五輪と続き、新興国の存在感が印象付けられる。
 それにしても、コペンハーゲンIOC総会に集まった顔ぶれは凄かった。米国からはオバマ大統領、日本は鳩山首相がいずれも直前に出席を決定。今後は国家元首級でなければ勝負にならないようになるのだろう。
 大統領にしても首相にしても、もちろん自国開催は望んでいたが、元々IOC総会出席の優先度がそれほど高かったわけではない。しかし誘致に失敗した場合に「xxが来なかったから負けた」と批判されるリスクは大きい。共に国内政治で微妙な時期にあり、いわれのなき批判の芽は摘む必要があった(オバマ大統領は医療保険改革論議やアフガン増派、鳩山首相は政治主導の政権運営立ち上げが勝負どころ)。五輪誘致は大いに政局にも影響する時代になったのだ。
 誘致合戦も奥が深い。

 【自然災害】 サモアとインドネシアで大地震が連発。多大な被害が出た。
 災害では2004年末のスマトラ沖地震による津波被害で30万人の死者・不明者が出ているし、2008年のミャンマーのサイクロンでは10万人以上が犠牲になった。バングラデシュのサイクロンはたびたび数千-十万人単位の死者・不明者を出している。トルコなど各地の地震被害でも、数千―数万人の被害者はざらだ。
 それに比べると今回は死者・不明者数は少ない。しかし2日間の連続発生は過去ほとんど例がなく、そのインパクトは強烈だ。
 折しも東南アジアでは、大規模台風被害が重なった。いつものことだが、大自然の猛威は人間の力の限界を改めて感じさせる。

 【新たなバブル?】 世界経済の最悪期脱出説(及び回復は鈍い)を補強するようなニュースが相次いだ。IMFは1日、2010年の世界の経済成長が3.1%(7月予測比0.6ポイント上昇修正)になるとの予測を発表。30日には世界の金融機関が抱える損失額予測も3.4兆ドルと、4月推計より16%減少した。
 最悪期脱出説に市場も反応している。新興国の株価は上昇。金などの価格も上昇している(もちろん回復が遅い分野もあれば乱高下も激しい)。次の成長を睨んで、新たなバブルが発生しているという指摘も多い。要注目の分野だ。

 【アフガン増派巡る議論】 オバマ政権が打ち出したアフガニスタン増派を巡り、米政権内が揺れている。アフガン派遣の米軍ンは現在約6万人で、年末までに6.8万人に増派を決めている。しかし現地駐留米軍の司令官が4万人の増派が必要と要求。これをクリントン国務長官らが支持する一方、バイデン副大統領らはその効果に懐疑的とされる。
 NATOのラスムセン事務総長は9月末から米国を訪問。アフガン国軍支援強化などを主張したが、増派についてのNATO内の意見は様々だ。
 オバマ政権にとっては、医療保険制度改革と並び最大の課題だ。 

◎今週の注目(2009.10.4-10)&当面の注目
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・IMF・世銀総会がトルコのイスタンブールで開催中。
・ミャンマーの民主化指導者、アウン・サン・スー・チー氏と軍事政権の対話の行方に注目。スー・チー氏は軍事政権トップに書簡を送り、米欧の制裁解除を可能にする対話を求める姿勢に転じたと伝えられる。この姿勢変化には米欧の姿勢変化もうかがえる。

・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月3日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2009 INCD-club

« 2009年9月 | トップページ | 2009年11月 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

ウェブページ