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2009年9月

2009年9月27日 (日)

◆国連総会・G20首脳会議が映す世界の現状と課題 2009.9.27

 国連総会(NY)やG20首脳会議(ピッツバーグ)など一連の国際会議が開かれ、2国回会談も相次いだ。密度の高い首脳外交は、世界の現状と課題を凝縮して映し出した。重要なポイントを整理する。

▼世界の直面する課題: テロ、核、地球温暖化、貧困など
 オバマ大統領の国連総会演説(23日)は、世界が直面する課題を包括的に指摘した。具体的には、▽テロと安全保障(アフガニスタン、パキスタン、イラクなど)▽核拡散防止(NPT、イラン、北朝鮮)▽中東和平▽地球温暖化▽世界経済▽貧困と感染症の広がり▽人権――などを列挙した。

▼世界の枠組み
(1)グローバル統治の枠組み: G7→G20中心に変化、新興国の発言力強化
 経済や安全保障の安定屋発展を目指すグローバル・ガバナンスの枠組みは、国連諸機関(総会のほかIMF・世銀、WTOなど様々な機関)、NATO、EUをはじめとする地域統合機関、G7などで構成されている。このうちG7は70年代以降の世界経済のあり方に影響を与えてきた。
 G20首脳会議の定例化決定で、今後はG7中心→G20中心に変化していく。首脳宣言はG20が「第1のフォーラム」と明記した。
 IMFへの出資金は中国など新興国の比重を高めることを決定。先進国→新興国への権限移譲が徐々に進み、新興国の発言力が強化していることを映した。

(2)超大国米国の外交政策: 国際協調、国連重視へ
 オバマ演説は、米国の外交政策の変化を改めて明確にした。大統領は地球規模の課題について「我々だけでは責任を追い切れない」と単独主義→国際協調への転換を改めて確認した。ブッシュ前政権からの転換を意識し、「1国が他国を支配してはならない」と述べた。安保理首脳会議での議長役、温暖化会議での演説など、国連重視への姿勢も印象付けた。

▼世界経済
(1)世界経済の現状: 最悪期は脱出、出口作戦はまだ
 G20首脳会議は世界経済が最悪期を脱出したという認識を表明した。しかし先行き不透明要因も多く、非常時→平時への出口作戦はなお検討中の段階だ。

(2)経済構造と新ルール: 不均衡是正の方策、金融規制は手探り
 1980年代以上の自由主義重視経済は、金融機関の暴走を許し、金融危機につながった。各国は持続可能な成長を目指し新ルール導入を検討する。しかしすっきりした結論はなお出ない。成長と安定のバランスは難しいし、各国の利害関係が複雑に絡むためだ。
 G20首脳会議は銀行の自己資本強化、金融機関経営者の報酬ルールなどを確認したが、強いインパクトを与えるものではなかった。
 資本主義のパラダイム転換が指摘されるが、中身はまだ見えてこない。このままでは再びバブル発生→新たな危機が繰り返されるという指摘も消えない。

(3)貿易・エネルギー: 保護主義との戦い続く。化石燃料依存経済の転換が課題。
 G20首脳声明は、第1回、第2回に引き続き保護主義への戦いを強調した。各国は自由貿易の重要性を力説するが、金融危機後保護主義的な政策が目につく。WTO新ラウンドの交渉も難航している。保護主義との戦いは続く。
 首脳宣言は化石燃料への補助を段階的に廃止すると宣言。石油などへの依存からの転換を強調した。温暖化防止にとっても重要な課題だ。

▼地球温暖化: COP15の合意は微妙
 地球温暖化防止の首脳級会議は22日、約100カ国の首脳が参加し開催した。12月にデンマークで開催するCOP15(ポスト京都議定書を決定)に向けて政治的な推進力をつける狙いで、各国首脳は決意を表明した。しかし、米欧などから具体的な提案はなかった。COP15については、合意は困難との見方も強い。
英Economist誌はFine words but no specifics.(美辞麗句にあふれたが具体的中身に乏しい)と評した。

▼核問題
 24日の国連安保理首脳会議は、オバマ米大統領の提案した「核なき世界」を目指すことを全会一致で決議。NPT(核拡散防止条約)体制の強化やCTBT(包括的核実験禁止条約)の早期発効、兵器用核分裂物質政策禁止条約(カットオフ条約)の早期交渉入りなどを盛り込んだ。 

(1)核軍縮: 米ロの新軍縮に弾み。その先に課題
 23日の米ロ首脳会談はSTART1に変わる新たな核軍縮条約の年内合意で一致。米ロの核軍縮は当面進展が期待される。しかし中英仏も含んだその先の軍縮はまだ不透明。核保有国の軍縮が進まなければ、NPT体制の強化も覚束ない。NPT未加盟のインドやパキスタンの加盟も課題だ。

(2)核拡散: イランの核開発発覚。
 オバマ米大統領、サルコジ仏大統領、ブラウン英首相は25日、緊急共同記者会見を開催。イランが2つ目のウラン濃縮工場を秘密裏に建設していたことを発表し、同国を非難した。イランの核開発が核拡散の脅威であることが改めて明らかになった格好だ。
 これまで「民生用」を主張するイランの立場に理解を示していたロシアも、警告を発した。イランの孤立が強まり、同国核開発問題は新局面を迎える。

▼米ロ関係:改善に
 ロシアのメドベージェフ大統領は23日の米ロ首脳会談で、米国のミサイル防衛(MD)システム東欧配備中止を評価。冷え切っていたロシアと米欧の関係が改善に向けて動き出す。イランの核問題でも協力して取り組む姿勢が従来以上に見える。

▼パレスチナ和平: 推進の糸口見えず
 オバマ大統領の仲介でネタニヤフ・イスラエル首相とアッバス・パレスチナ議長が22日NYで会談。しかしヨルダン川西岸のユダヤ人入植地建設などで対立が続いた。オバマ政権が重視するパレスチナ和平前進は、具体的な話し合いの糸口も見えない状況が続く。

▼貧困・開発: 貧困問題の重要性確認、AIDS対策も世界の重要課題
 オバマ大統領は演説で国連ミレニアム計画に言及。貧困問題の重要性を改めて確認した。AIDSにも触れ、米厚生省はタイで実施したエイズ・ワクチンの臨床実験で初めて効果が認められた(3割)という結果を発表した。日本では取り上げられることが少ないが、貧困や感染症は世界にとっての重要なアジェンダだ。

▼リーダーたち
 最も目立ったのは当然ながらオバマ米大統領。世界が同大統領中心に動いていることを改めて感じさせた。
 その他の主役は胡錦涛中国首席、メドベージェフ・ロシア大統領、サルコジ仏大統領、ブラウン英首相、ルラ・ブラジル大統領などおなじみの顔。しかし話題性という面では、リビアのカダフィ大佐やイランのアハマディネジャド大統領に注目が集まった。
 カダフィ大佐は国連総会初出席。23日の演説は15分の規定を無視して延々1時間36分語り続け、安保理を国連憲章違反と批判した(常任理事国の拒否権を批判)。国際的孤立を脱した後もなお独自の存在感を見せつけた。
 アハマディネジャド大統領はイスラエルを批判。しかし新たな核施設建設発覚のためか、25日に予定していた記者会見を取りやめた。

▼抗議活動: 反グローバル化など。メインストリームの改革案とは噛み合わず。
 重要な国際会議の際には、反グローバル化などのデモが繰り広げられるのが近年の常。今回もデモなどの抗議活動が展開された。オバマ大統領は市場を否定するのではなく、健全に機能させるために規制などで取り組んでいると主張したが、抗議参加者とは噛み合わない。

2009.9.27

2009年39号(9.20-27 通算483号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年9月20-27日

◆国連安保理「核なき世界」採択(24日)☆
・安保理首脳級会議が開催。核なき世界を目指す決議を採択した。
・オバマ米大統領の提案を全会一致で採択した。
・NPT体制の強化も強調。インドなどNPT未加盟国に早期加盟を促した。
・CTBTの早期発効、カットオフ条約の早期交渉入りも求めた。
・米ロの核軍縮交渉を歓迎。核テロへの懸念を示した。
・「核なき世界」決議は初で、メッセージの政治的意味合いは大きい。
・停滞していた核軍縮や核拡散防止がが再び動き出す可能性がある。
・ただこの時期にイランの新たな核開発問題が発覚。直面する問題は多い。
 (→国際ニュースを切る:国連総会とG20が映す世界)

◆G20を定例化、首脳会議が決定(24-25日)☆
・第3回のG20首脳会議がビッツバーグで開催。G20の定例化を決めた。
・世界経済の枠組みを協議する場は、G7→G20中心の枠組みに変わる。
・首脳宣言は、世界経済を安定軌道に乗せるために協調強化を強調。
・不均衡の是正を掲げ、経済政策を相互監視する枠組みの立ち上げを表明した。
・2010年までの銀行資本強化のルール策定や報酬の基準も盛り込んだ。
・IMFの出資比率を見直し、新興国の発言力を強化することも確認した。
・保護主義の防止、温暖化防止に化石燃料への補助縮小なども指摘した。
・ただ新たな政策協調の枠組みなどは、実効性への疑問も残る。

◆イランが新たなウラン濃縮施設建設(25日)☆
・イランが国内コムに2つ目の核濃縮施設を建設していることが発覚した。
・米英仏の大統領らが25日ピッツバーグで会見し発表。イランを非難した。
・これに先立ちイランは21日、新施設を認める書簡をIAEAに送った。
・米欧が建設の情報を入手。イランが発覚前に申告した可能性が大きい。
・オバマ米大統領は国連安保理決議違反と批判。制裁強化などを警告した。
・イランは開発を民生用と主張するが、米欧は核兵器への転換を警戒する。
・これまでイランの立場に理解を示したロシアも、懸念を表明した。
・安保理理事国+独はは10月1日、イランと核問題の協議を行う。
・イラン核問題を巡る情勢が再び緊張する。
・1つ目の核施設は2002年に発覚(ナタンツ)。米欧は他の施設を疑っていた。

◆地球温暖化首脳会議(22日)☆
・国連気候変動州のる会議が約100カ国の首脳が参加して開催した。
・各国は問題への取り組みを強調したが、具体的提案は限定的だった。
・こうした中で日本は2020年までに90年比25%削減を表明。
・中国も分相応の負担を初めて表明した。
・潘基文事務総長は政治的決意を評価しつつも、提案は不十分と指摘した。
・12月のCOP15に向けて調整は山場を迎える。

◆オバマ大統領支持率50%に低下 ☆
・オバマ米大統領の支持率低下が目立つ。
・WSJとNBCが22日発表の調査によると支持率は51%。
・アフガン情勢の悪化や医療保険制度改革の難航などが影響している。
・外交政策への支持率は50%に低下。アフガン増派は反対が上回った。
・支持率低下で政治基盤が弱まれば、外交政策を通じ世界への影響も大きい。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【世界の課題凝縮】 国連総会とG20首脳会議、それに関連する首脳外交で極めて密度の高い週だった。世界の動向、課題が凝縮して映し出された。

 【ベスト5外】 普段ならその週のトップニュースになるような動きもベスト5漏れ。米ロ首脳会議(23日)では核軍縮の年内合意を確認。米国のMD東欧配備中止を受けて関係改善が顕著だった。米FRBは23日の公開市場委員会声明で米経済底入れ判断を示した。クリントン米国務長官は23日、国連でミャンマー軍事政権との対話の可能性も示唆。アウン・サン・スー・チー氏は軍政トップに書簡を送付した。米厚生省は24日、エイズワクチンが初めて一定の効果を示したと発表した(タイで臨床実験の結果、3割に効果)。

 【オバマ演説のメッセージ】 オバマ米大統領の国連総会、安保理首脳会議、温暖化会議、G20などの演説は、多くの物を含んでいる。世界が抱える課題、米国の取り組みなど具体的な内容が多い。そうした個別課題はさておき全体を通じたメッセージを読み取ると、国際協調路線への転換を改めて鮮明にしたこと。そして、各国や世界の人々に「責任」を考えるよう訴えたことだろう。

 
◎今週の注目(2009.9.27-10.3)&当面の注目
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・ドイツの総選挙が27日行われる。メルケル首相率いるキリスト教民主同盟の第1党確保は確実視されているが、焦点は選挙後の連立政権の行方。首相は社民党との大連立を解消し、自由民主党との連立に組み替えたい考えだが、両党で過半数を得られるかは微妙。選挙結果次第では、調整が長引く可能性もある。
・アイルランドで10月2日、今後のEU統合の方向を示すリスボン条約批准の是非を問う2度目の国民投票が行われる。可決なら条約発効の展望が開ける。金融危機で「寄らばEU」感情は強まっているが、結果は>
・中国国慶節(建国記念日)が10月1日。今年は建国60周年に当たる。

・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月3日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

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 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
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2009年9月21日 (月)

◆金融危機後1年の世界経済 2009.9.19

  リーマン・ショックから1年を経過した。金融危機→深刻な不況へと進んだ世界経済はマイナス成長に落ち込み、GMの破綻など平時では想像もできない事が続発した。しかし、懸念された1930年代のような大恐慌に陥ることはなく、最悪期脱出の見方も広がってきた。世界経済を改めて振り返り、整理してみる。

▼1年間に起きたこと
 金融危機後の主な出来事をまとめると次の通りだ。

(1)世界経済
・世界経済の実質成長率は2008年の3.1%→2009年は-1.4%に落ち込んだ。先進国は2-7%の大幅減(日米欧は2008年7-9月期以降マイナス成長が続いた)。
・2009年1-3月期を底に悪化に歯止め。最悪期は脱したとの見方が広がっている。
・中国はいち早く回復。4-6月期は7.9%の成長を実現した。
・失業率は悪化が続く。米欧では近く10%を超え、失業率2ケタ時代になる。

(2)市場
・株は金融危機以降急速に下落した。2009年3月頃を底に回復の兆しが出てきた。
・回復が早いのは中国などで、上海株はすでに1年前比40%上昇した。
・日米欧はまだ危機前の水準を回復していない。
・石油などの商品も下落→回復に向かった。 

(3)金融機関・金融システム 
・米国ではリーマン、AIGなどが破綻。地銀など金融機関の破綻が続き、2009年はすでに90行以上が破綻した。
・住宅金融公社(ファニーメイとフレディマック)、シティ・グループなどが多額の公的資金で支えられて息をつないでいる。
・欧州ではアイスランドの3大銀行などが国有化。英RBSなどが実質国有化された。スイスのUBSなどには公的資金が投入された。
・ゴールドマンサックスなどが普通銀行に転換し投資銀行は消滅。金融の再編が進み、業界地図は一変した。
・世界の金融機関の不良債権は4-6兆ドルと推定される。処理済みはまだ3分の1程度とみられる。
・米銀の業績は数字上4-6月から回復している。ただし会計処理上の要因などもあり、経営の中身が改善したとは言い切れない。

(4)産業
・GM、クライスラーなどが破綻。
・世界各国を通じ、企業は大幅な人員削減やリストラを推進している。
・各国政府がで低燃費車への買替補助など支援プログラムを導入。産業を支えている。

▼政策の推移

(1)金融支援

 米国や欧州の政府・当局が取った政策を整理すると、まず金融機関・金融システムの救済が行われた。具体的には(1)市場への大量な資金供給(2)破綻した金融機関の国営化(3)経営悪化した金融機関への公的資金投入(4)外貨準備の枯渇など資金繰り悪化した国への国際的な資金供与--などで、2008年末くらいまでに最初の山を超えた。この間、三菱東京UFJによるモルガン・スタンレーへの出資など民間での救済・再編も進んだ。

(2)景気対策
 各国は税制支出や減税などで消費刺激策や公共事業を打ち出した。中国はGDPの10%を超える4兆元の刺激策を発表。4月のロンドンでのG20首脳会議時の発表では、20カ国の総額は5兆ドルになる(ただし、真水部分はずっと少ない)。このうち、上記の自動車買い替え支援など平時では考えられないような政策を打ち出した。

(3)産業の直接支援
 産業への直接支援も推進。米国は破綻したGM、クライスラーに多額の支援を実施する一方、自動車部品など周辺産業にも支援策を打ち出した。

▼最悪のシナリオ回避  

 金融危機発生当時に最も懸念されたことは、金融システムの崩壊→世界経済が大混乱に陥り、1930年代の世界恐慌再来となること。1年経ち、その懸念は小さくなった。
 金融システムは何度か崩壊の危機に直面したが、各国当局の大量の資金供給や国有化、公的資金投入で何とか食い止めた。今、そのリスクは格段に縮小した。
 実物経済の影響も深刻だが、世界恐慌時とは比べるべくもない。恐慌時に世界のGDPは30%前後縮小し、米国の失業率は25%に達した。今回は、先進国のGDP縮小は5-7%程度だし、失業率は10%超のレベル。はるかにマシだ。

▼回復期待と出口作戦
 ここにきて、回復への兆しが出ている。
 世界経済は1-3月を底に最悪期を脱したという見方が広がっている。日本やドイツ、フランスの4-6月のGDPは前期比プラスに転じた。8月の米国自動車販売は約2年ぶりにプラスになった。
 株価や商品価格は3月ごろを底に上昇。企業はリストラ一色のモードから、次の成長をにらんで新規投資に踏み切る動きが出てきた。
 もちろん先行きは不透明だ。
 金融機関の不良債権はまだ3分の2が未処理のまま。実体経済の回復も、政府の消費支援などに支えられたものも多く、自律的回復にはなっていない。ボタンを掛け違えれば、いつまた経済が悪化し景気の2番底になってもおかしくない。
 経済政策を平時のものに戻す「出口作戦」はまだ時期尚早という意見が、主要国当局の間では強い。
 米国や英国などはGDPの10%を超える政府支出を実施。財政赤字は膨らんだ。将来のインフレ懸念などにつながる。しかし、副作用への配慮を考えるまでの余裕はまだない。

▼金融:中規模の改革?
 今回の危機の引き金になった金融制度の改革や金融規制を巡っては、様々な議論が重ねられた。その結果、いくつかの改革が実現した(される)が、世界の金融の仕組みを抜本から変えるようなものにはなっていない。
 世界恐慌の後、米国では銀行と証券業務を分離するグラス・スティーガル法が導入された(1999年に銀証分離は廃止)。
 今回の規制・ルールの見直し(議論)は、自己資本規制の強化、各国の監督体制の強化、短期志向の是正を目指す報酬制度の改革などを含む。いずれも重要なもので、今回の危機の温床となった高リスク経営、短期志向の経営は幾分是正されるだろう。しかし、全体の仕組みを変えるのではなく技術的なもの。グラス・スティーガル法のように大ナタを振るって仕組みを抜本的に変えるものではない。
 その技術的な規制論議も調整は容易ではない。
 24日からのピッツバーグでのG20首脳会議では、高リスク経営や短期志向経営の温床となった金融機関経営者の報酬問題や、新たな自己資本規制がテーマになる。しかし金融立国維持を目指す米英と独仏の意見の相違などがあり、調整は一筋縄でない。

▼いたちごっこ
  米国や英国では、金融の自由な活動が経済を活性化しそれが冷戦後の経済発展に貢献してきたという認識が根強い。市場重視派は「角を矯めて牛を殺すなかれ」と規制強化をけん制する。
 すでに米金融機関では(公的支援を受けている機関も含め)高額報酬復活の動きも出てきた。
 オバマ大統領は15日、ウォール街での演説で「過去の教訓から学んでいない」と批判したのも、こうした動きを苦々しく思っているためだろう。
 これとは別に、金融のグローバル化が進み実効性のある規制が難しくなっているという事情も無視できない。
 いずれにしろ、新たな規制が導入されても金融機関はすぐにループホールを見つけて新たな金儲けの手段を探すことになるだろう。
 金融の規制論議といっても、制度としての決着点を見つけるものではなく、動的なプロセスの一環としてとらえるべきだ。新たな規制が、早くも新しいバブル発生の根を内包していることも忘れてはならない。

▼世界と資本主義の変化 
 そうはいっても、長期的な時間軸でこの1年の変化を眺めると、資本主義は変わった。
 1980年代以降の新自由主義は、明らかに曲がり角を迎えた。大手金融機関やGMが国有化され、経済は国家の支えなしには声明を維持できない状況になった。
 市場経済への支持がなくなったわけではなく、なお「市場経済しかない」という見方が一般的だ。しかし、「市場に任せておけば長期的にうまくいく」という盲目的な市場信奉はもうない。それは世界観にかかわる問題で、たとえ金融規制で大きな枠組みの変化がなくても関係ない。
 不況を機に古いビジネスモデルがいくつか崩壊し(GM、シティなど)、代わって新たなビジネスへの挑戦が台頭したこの1年の間にグーグルが新OSを発表。マイクロソフトとヤフーが提携し、ツイッターが大きく普及した。自動車メーカーはエコカーの開発・販売を強化している。
 変化の芽は、新聞のトップ見出しに報じられないところに出ている。

2009.9.19

 

2009年38号(9.13-39 通算482号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年9月13-19日
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◆米、MD東欧配備を中止(17日)☆☆
・オバマ大統領はミサイル防衛(MD)システムの東欧配備中止を発表した。
・配備予定地だったチェコとポーランドに通知した。
・計画はブッシュ前政権がイラン核開発への対抗などを名目に推進した。
・しかしロシアは反発。米ロ関係は冷戦後最悪と言われるまでに悪化した。
・今回の決定は対ロ関係を修復し、核軍縮や対イランなどで協調する狙い。
・ロシアや西欧諸国は決定を歓迎。一方ポーランドなどは警戒も示した。
・前政権からの転換を示す象徴的な出来事。対ロ関係や核問題への影響は大きい。

◆日本、民主党内閣発足(16日)☆
・民主党中心の鳩山政権が発足した。
・8月末の総選挙での大勝を受けたもの。ほぼ半世紀ぶりの本格的な政権交代。
・自民党時代の産業振興、公共事業中心→生活中心の政策を掲げている。
・発足早々、補正予算の執行凍結や一部ダムの建設中止を打ち出した。
・ただ政権公約の具体的な推進方法は不透明な点も多い。
・新政権の行方には、米国やアジア諸国も注視している。

◆金融危機1年(15日)☆
・リーマン・ショックから1年が経過した。
・この間世界は金融危機→経済不況を経験。大手金融機関やGMが破綻した。
・09年の世界経済は戦後初のマイナス成長。先進国は2-7%のマイナスとなった。
・しかし1930年代のような恐慌は回避した。
・ここに来て世界経済底入れの観測も強まっている。
・ただ金融機関はなお多額の不良債権を抱え、先行きは不透明だ。
・多額の財政赤字など負の遺産も拡大。将来にツケを残した。
・政策協調の枠組みはG7→G20などに移行。世界の構造も変化した。
・危機の発端となった金融規制の論議はなお継続中だ。
 (→国際ニュースを切る:「金融危機1年の世界経済点検」)

◆中国共産党中央委、軍事委員会人事見送り(15-18日)☆
・中国共産党の中央委員会全体会議が開催。
・党への信頼性や統治強化のため、汚職対策などを決めた。
・新疆ウイグル暴動など社会不安もあり、求心力強化が急務となっている。
・注目された中央軍事委員会の人事発表はなかった。
・習近平国家副主席が副委員長になれば、ポスト胡錦涛総書記はほぼ確定だった。
・中国は10月1日に建国60周年を迎える。

◆北朝鮮が多国間対話に柔軟姿勢(18日)
・金正日総書記は核問題について、多国間対話に応じる姿勢を示した。
・中国国家主席特使との会談で表明した。
・北朝鮮は今年に入り姿勢を硬化。6カ国協議は終了したと宣言。
・今春にはミサイル発射と2度目の核実験を実施した。
・背景には金総書記の健康問題による体制引き締めなどがあるといわれる。
・柔軟姿勢により、核問題の局面が変わる可能性がある。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【MD中止のインパクト】 オバマ大統領がミサイル防衛(MD)システムのチェコ、ポーランド配備中止を発表した。MDはブッシュ政権が肝煎りで推進した構想。その中止は、米国の安保政策の大転換を意味し、米ロ関係も新局面を迎える。
 MDは表向きイランの核開発の脅威に備えたシステムとされた。しかし、ロシアは自国を対象にしていると反発。グルジア、ウクライナのNATO加盟の動きもあって、米国や欧州に対するスタンスを硬化した。そうした姿勢が顕在化したのが、天然ガスの欧州への供給停止であり、2008年8月のグルジア紛争だった。
 ブッシュ政権の欧州安保の基本構図は、力による安定を追及したもの。MDは表面的にはロシアとの協力を主張しながら、実態的には核システムで圧倒的優位に立つ構想だ。だからこそ、ロシアは強く反発した。
 オバマ政権は発足後、従来の力による安定の追及→国際協調路線への転換を打ち出した。核軍縮にも前向きで、5月にはプラハ演説で核なき世界を目指す姿勢を示している。今回の決定も、その延長線上にある。
 ロシアとの関係が改善すれば、START1に代わる新たな核軍縮交渉の推進が期待できる。イランの核開発問題やアフガニスタン政策での協調も目論んでいるはずだ。
 大統領の発表をロシアは評価。対抗措置として打ち出していたカリーニングラードへのミサイル配備差し止めを表明した。フランスやドイツも歓迎を示した。
 一方、ポーランドやチェコは懸念を表明した。東欧諸国にとってロシアの脅威は歴史的なもの。MD建設で国民世論を納得してきたこともあり、政権にとっても対応は難しい。
 波紋は多方面に広がる。今回の決定がどのような影響を及ぼすかを見渡すのは困難だが、少なくとも「時代が変わった」ことを改めて強く印象付ける。

 
◎今週の注目(2009.9.20-26)&当面の注目
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・国連総会、G20首脳会議関連の重要スケジュールが目白押し。
・国連総会は首脳演説が始まる。23日にはオバマ米大統領、胡錦涛中国国家主席、鳩山日本首相らが演説する。
・22日には地球環境問題の閣僚会議が開催される。オバマ大統領が参加する。
・24日に安保理の首脳会議が開かれる。オバマ大統領が議長を務める。
・24-25日には米ピッツバーグでG20首脳会議。金融危機や世界経済の不況対策を協議する。金融機関の経営者の報酬制限、資本強化などが具体的テーマになる見込み。
・NYやピッツバーグで首脳外交が繰り広げられる。22日の米ロ首脳会談では核軍縮などを協議。日米なども開催される。
・国連総会を機に閣僚・高官レベルの交渉も色々計画されている。

・ドイツの総選挙: 9月27日
・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月3日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。

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2009年9月13日 (日)

◆医療保険制度改革と米社会 2009.9.13

 米医療保険制度改革論議が山場を迎えた。オバマ大統領が9日、上院両院の合同会議で演説、改革実現に向けて強い意欲を示した。一方反対派は12日、ワシントンで反改革の大規模抗議デモを展開するなどキャンペーンは熱を帯びている。

 議論は米国民や産業の利害構図や政府に対する考え方、社会文化を反映している。また、現代社会における政府のあり方や自由な経済活動と規制の関係、社会的公正に対する考え方、オバマ大統領の政治力の行方などを左右しかねない。影響は甚大だ。

▼異例の議会演説

 米大統領の議会演説は、通常年初の一般教書演説のみで、この時期の演説は異例。改革実現への危機感と、強い意欲の表れだ。大統領は「実行の時だ」(The time for bicking is over. Now is the time for action)と強調した。

 演説のポイントは以下の通りだ。
1.改革の目標について、(1)無保険者の解消(2)民間保険加入者の保護強化(3)医療保険の支出の削減、と改めて明確にしたこと。
2.無保険者向けに新たな創設する制度は、民間保険を圧迫するものでないと強調したこと。
3.改革コストは10年間で9000億ドルと説明したこと。
4.財源については不明確な点が残り、増税には触れなかったこと。

▼1丁目1番地の課題
 医療保険改革はオバマ政権が内政の最大課題として位置付けているテーマ。大統領選の時から改革実現を公約に掲げており、政権の存在理由にもかかわりかねない問題だ。
 米国は先進国では例外的に公的医療保険がなく、企業単位の保険や民間のみ。企業の破綻や失業などに伴い保険資格を失う人も多く、無保険者は4000-5000万人存在する。
 その民間保険も様々な理由をつけて保険金を支払わないケースも多い。
 また、本来期待される民間の効率的運営が実現しない面も多く、米国の医療費のGDP比は主要先進国中最高だ。
 制度の欠陥が指摘されて久しいのに、既得権者に阻まれて改革が実現できないで来た。

▼序盤戦
 オバマ政権は当初、夏休み前に改革の大筋をつける目論みだった。しかし複雑な利害関係の調整が進まず、秋以降に持ち越しになった。
 議会の下院では、委員会レベルで与党民主党の改革案が採択させた。しかし本会議や上院での審議はめどがつかない状況だ。

▼利害対立
 改革に対する反対意見は根強い。野党共和党や、既得権を侵される医療、製薬業界が反対するのは当然として、中産階級を中心とする一般国民のアレルギーも強い。最近の世論調査では、国民の半数が反対という結果も出ている。
 反対の理由として挙げられるのは、まず財源問題。10年で9000億-1兆ドルというコストを負担するためには、結局は増税が欠かせないという見方が強い。オバマ政権はムダの削減や医療関係業界の負担増などで対応すると説明するが、具体的数字を提示し、国民の理解を得るを説明するには至っていない。
 大きな政府に対するアレルギーが予想以上に強いという事情もある。12日の反対派の集会でも、「大きな政府反対」や「民業圧迫反対」のプラカードが目立った。これは米国の社会土壌でもある。
 反対派はこうした国民感情も踏まえ、「公的な保険で不法移民も救うのか」などとキャンペーンを繰り広げる。

▼妥協模索
 オバマ政権は必死のキャンペーンを繰り広げる。9日の演説に先立つ夏休みシーズンには、大統領が各地で集会を開催。反対派デモのあった12日もミネソタで集会を開催し改革への理解を求めた。
 妥協の姿勢も見せている。議会演説では民間保険を圧迫するものでないことを強調。内容で多少譲歩しても、改革法案を成立させる姿勢を見せている。英Economist誌は「中道の改革」(centrist reform)と解説する。

▼影響多大
 医療保険改革の行方は米国内の問題にとどまらない。議論の行方はオバマ大統領の政治力を大きく左右する。求心力低下→大統領の権威低下となれば、今後の世界情勢にも影響する。
 医療制度改革についてみれば、米国は制度の中でも特異な制度を維持してきた。米国とともに自由経済の先頭を走るといわれる英国の場合、医療制度は国営・無料が原則(有料の民間医療を選択することはできる)。米国の対極に立つのだ。
 そもそも資本主義が曲がり角に立ち、パラダイムが変わろうとしている時期。米国の医療モデルが変われば、世界の経済制度を考える上でも重要な事例になる。

2009.9.13

◆9.11から8年:テロ、世界安保とアフガン 2009.9.12

 2001年の9.11は「世界がテロの脅威と向き合う時代」に入ったことを印象付けた。それから8年。米国は今年、ブッシュ政権からオバマ政権に変わり、外交安保政策も展開。新時代に入った。しかし世界でテロの脅威は変わらず続き、特に最前線とされるアフガニスタンの状況は一層深刻化している。定点観測する。

▼テロの時代
 オバマ米大統領は11日ワシントンで式典に出席。改めて「テロ一掃」を強調した。
 9.11後、世界は様々なテロを経験した。インドネシアのバリ島やロンドン、スペインなどで断続的に発生した。イラクやアフガニスタン、ロシア南部などでは日常時だ。
 米国内でのテロの再発や、テロ組織による核テロの懸念も指摘される。
 テロの主体になっているのが、イスラムなどの過激派勢力。その中心にあるのが、交際的テロ組織のアルカイダだ(ただし、そうした勢力から見れば米国やイスラエルなどがテロ勢力ということだろう)。

▼大統領の決意
 オバマ新政権はブッシュ政権の政策を転換。単独主義から対話重視路線へと路線転換した。イスラム社会との関係改善も重視。6月にはカイロでの演説で世界にメッセージを送った。
 しかし、こうした柔軟姿勢を取る一方でテロ対策を重視する姿勢は変わらない。9.11の演説でも、その意思を改めて強調した格好だ。

▼アフガン情勢悪化
 アメリカがテロ対策の最前線と位置付けるのがアフガニスタンだ。その情勢はここ1-2年で再び悪化し、出口が見えない状況だ。
 9.11直後のアフガン戦争でタリバン政権は打倒され、カルザイ現大統領を中心とする政権が発足した。選挙の実施などで再建は順調に進むかに見えた。
 しかし、地域ごとの勢力(軍閥)の対立、汚職の蔓延などから国づくりは進まず、タリバンがつけ込むスキが生じた。今では南部を勢力下に置き、各地でテロを仕掛けカルザイ政権の基盤を揺さぶる。最近では首都カブールでもテロが頻発する。
 さらには国境を接する隣国パキスタンでもタリバンが勢力を伸張。治安を揺るがしている。

▼国際支援
 オバマ政権は発足後、安保政策の重点をイラクからアフガンに移し、2月には1万7000人の増派を発表した。アフガン・パキスタン特別代表にホロブルック氏を指名。夏にはタリバンの掃討作戦を展開した。その背後でタリバンの穏健派との対話を目指しているとされる。
 しかし情勢は上記のように、むしろ悪化している。
 現在アフガニスタンに駐留する外国軍は、米国のほか欧州諸国など約10万人。しかし展望なきまま被害が拡大する状況に、欧州では撤収を求める世論も強まっている。

▼大統領選の混乱
 アフガンの大統領選はそうした情勢の中で8月20日に行われた。選挙により大統領の統治の正統性の確認→政府の威信強化→経済再建・国づくりの促進を狙っていた。
 しかし開票を巡る不正疑惑などで、むしろ混乱が拡大している。
 開票の再調査などの対応を巡り、欧米諸国とカルザイ大統領の軋轢も指摘される。

▼長期戦
 テロの背景は複雑だ。世界的な貧富の格差拡大、欧米先進文化とイスラムなどの価値観の違いなど様々な要因がある。対応策も硬軟様々な考えがある。ボタンの掛け違いもいろいろ出てくるだろう。
 専門家の間では短期的な解決など期待すべきではないとの見方が一般的。数十年単位の戦いになるという指摘や、エンドレスの戦いという見方もある。
 最低限必要なのは、たとえ抜本的な解決がなくても問題をある程度封じ込め、世界システムの根底が崩壊しないようにすることかもしれない。
 テロはその時々の事件に左右されがち。展望が見えない中でも、中期・長期的な立場に立って時々眺めることは極めて重要だ。

2009.9.12

 
 

2009年37号(9.7-13 通算481号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年9月7-13日
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◆米医療改革論議が山場、大統領が議会演説(9日)☆
・米議会が夏休みを終え8日再開し、医療保険改革が山場を迎えた。
・オバマ大統領は9日会議で演説。不退転の決意で取り組む姿勢を示した。
・無保険者の解消、加入者の保護、医療費の抑制などを強調した。
・同時に民間を阻害せずなどと強調、妥協の姿勢も示した。
・改革コストは10年で9000億ドルになる。財源などはあいまいな点が残った。
・医療保険改革は内政の最大課題。国民の関心も高い。
・ただ、改革には医療産業や野党共和党の抵抗も強く、行方は不透明だ。
・議論の行方はオバマ政権の求心力をも左右し、米国内問題にとどまらない。

◆アフガン大統領選、開票巡り混乱、再集計指示(8日)☆
・国連主導の不服審査委員会は8日、選管に一部投票所での再集計を指示した。
・中部カンダハル州などの投票所が対象。総数の2割にあたるとの情報もある。
・一方選管は8日カルザイ大統領の得票が54%と発表。初めて50%を超えた。
・ただ対立候補のアブドラ外相は不正があったとして受け入れないと表明した。
・開票を巡っては欧米からも有効性に疑問を呈する意見が出始めている。
・大統領選は、政権正統性の確認→安定への節目として位置付けられていた。
・混乱が続き、今後の政治情勢安定に悪影響を及ぼす懸念がある。

◆9.11から8年、テロの懸念消えず(11日)☆
・同時多発テロから8年を経過。NYやワシントンで追悼式が行われた。
・ブッシュ政権後では初。オバマ大統領はテロ一掃への決意を強調した。
・ただアフガン情勢はむしろ悪化。アルカイダなどテロ組織の活動も続く。
・米本土へのテロ攻撃再発の懸念も消えない状況が続く。
・チェイニー前副大統領などは、オバマ政権の安保政策への批判を繰り返す。
・国民の間でも、アフガン戦略への不満や批判がくすぶり始めている。

◆独オペル、加マグナGに売却(10日)☆
・米GMは独オペル株の過半を加マグナとロシア国営銀ズベルバンクに売却する。
・取締役会で決定し発表した。少数株はGMとオペル従業員が保有する。
・独政府は保証などで支援する方針。合意を歓迎する声明を発表した。
・売却は5月末に暫定合意に達したが条件面などで調整が難航していた。
・背後には企業再建と雇用保護のバランス、GM本体とオペルの利害調整などがあった。
・米や独の支援をどう使うかでも対立。公的支援→いびつな競争が問題を複雑にした。
・世界の自動車産業は融資や購入支援などで、合計1000億ドル超の支援を受けた。

◆台湾、陳水扁前総統に無期懲役(11日)
・台北地裁は陳水扁前総統に無期懲役を言い渡した。
・機密費詐取などの責任を追及した。検察は昨年末に逮捕、起訴した。
・妻や親族、陳政権下の高官にも有罪判決を言い渡した。
・陳氏は民進党。国民党に代わり2000に総統就任。台湾の独自性を強調した。
・2008年の総統選では国民党の馬英九氏に交代している。
・前総統は判決には政治的思惑もあったなどとし無罪を主張。2審で争う姿勢。
・ただ現野党になった民進党は陳氏と距離を取り始めている。
・いずれにしろ台湾政治への影響は無視できない。中台関係も左右する要因だ。
・これに先立ち国民党政権は劉兆玄→呉敦義行政院長の内閣改造を発表した。
・8月の台風8号の処理の遅れ(600人が死亡)の責任を取った形。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【同時テロ8年】 世界が「テロの脅威と向き合う時代」に入ったことを印象付けた2001年の9.11から8年。世界の安全保障やテロを定点観測する機会だ。テロの脅威は変わらず続き、特に最前線とされるアフガニスタンの状況は一層深刻化している。

 【オバマ大統領の憂鬱】 米オバマ政権が抱える課題に焦点が当たった。1つはアフガニスタン政策。9.1の追悼を機にテロ、安全保障が議論され、最前線のアフガン情勢に改めて光があたった。もう一つは山場を迎えた医療保険制度改革。メディアの報道は過熱している。翌週はリーマン・ショックから1年を迎え、経済・金融に改めて焦点が当たる。

 【温暖化ガス削減:日本とフランス】 日本の鳩山次期首相は7日、2020年までに温暖化ガスを1990年比25%削減するとの中期目標を示した。麻生政権に比べて極めて野心的な目標設定。国際的な反響は大きく、欧州などは歓迎を表明。一方中国やインドは「先進国の責任」を改めて強調し、批判的なコメントを加えた。鳩山発言の報道も反響も、「国際的合意を前提に」という条件部分はほとんど無視される形で増幅されていった印象だ。
 一方フランスのサルコジ大統領は10日、温暖化ガス排出に課税する炭素税を来年から導入する方針を示した。1トン当たり17ユーロ(ガソリン1リットルなら0.04ユーロ=5.3円)を課税する内容。国民や産業界の反応は複雑で、実現までには曲折がありそうだ。
 欧州では北欧や英国が炭素税を導入済み。12月のコペンハーゲンでのCOP15会議に向けて、様々な動きが出てくる。

 
◎今週の注目(2009.9.13-19)&当面の注目
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・リーマン・ショックから15日で1年になる。金融危機、世界経済に改めて焦点が当たる。
・米国の医療保険改革議論が一層過熱する。
・アフガン大統領選を巡り、様々な動きが表面化する。
・日本で民主党の鳩山氏が16日に首相に指名され、民主党中心の新政権が発足する。

・G20首脳会議: 9月24-25日に米ピッツバーグで。融危機や世界不況対応などを競技。
・国連総会: 第64回総会が9月15日に開幕。翌週に各国首脳の演説がある。24日にはオバマ倍大統領が安保理首脳会議で議長を務める。
・ドイツの総選挙: 9月27日
・ベルリンの壁崩壊20周年: 11月3日
・地球環境問題:COP15会議が12月にコペンハーゲンで。それに先立ち、9月22日にはNYで閣僚会議が開かれる。オバマ大統領が参加する。

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2009年9月 6日 (日)

2009年36号(8.31-9.6 通算480号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年8月31日-9月6日
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◆G20財務相・中銀総裁会議(4-5日)
・ロンドンで開催。世界経済・金融などについて討議した。
・今月24-25日にピッツバーグで開催するG20首脳会議をにらんだ調整。
・世界経済は改善しているとしながら、先行きにはなお慎重な見方で一致。
・当面は財政拡大や金融緩和継続で合意し、共同声明に盛り込んだ。
・金融機関の報酬制限やガバナンス強化も協議。特別宣言で言及した。
・報酬やガバナンスは金融機関の過度なリスクを回避する方策として議論される。

◆新疆ウイグルで漢族がデモ、ウルムチ市トップ解任
・ウルムチで8月下旬、注射針を使った連続通り魔事件が発生。
・情勢不安が続く中で、漢族住民らが3日から数万人規模のデモを展開した。
・治安対策の遅れなどに抗議するもの。
・共産党委員会は5日、ウルムチ市トップの栗智地区党書記を解任した。
・批判の矛先が党や中央に向かうのを阻止する狙いとみられる。
・新疆では7月の暴動以来、情勢緊迫が続く。

◆トルコとアルメニアが国交樹立へ(31日)
・両国が国交樹立で基本合意と発表した。
・両国は19世紀末-20世紀初頭のアルメニア人虐殺問題で対立してした。
・オスマン帝国下の1915-16年に数百万人の犠牲者が出た事件などを指す。
・ただアルメニアはアゼルバイジャンなどと対立。対トルコ関係改善が必要になった。
・昨年夏のグルジア紛争後は、トルコ経由の物流ルート確保の必要性も高まった。
・サルキシャン大統領が10月にトルコ訪問。それまでに国内支持獲得を目指す。

◆アフガン、NATOの空爆で多数の死者(4日)
・アフガン大統領選結果は2週間を経て集計中。決選投票かどうかはなお不明だ。
・こうした中で北部クンドゥズ州で4日、NATOの空爆で多数の民間人が死亡した。
・タリバン対象にした空爆で90人以上が死亡。半数が民間人との情報がある。
・反米、反カルザイ政権感情が強まる懸念があり、掃討作戦に影響しそう。

◆米自動車販売が1年10月ぶり増加(1日)
・8月の米国内自動車販売が2007年10月以来、前年比増加した。
・米政府の購買支援策などに支えられた。
・高燃費車の多いトヨタやホンダがシェアを向上。GMなどはマイナス。

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◎寸評:of the Week
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 【当面の関心事】 夏休みシーズンも終わり、世界も仕事モードで動き出した。当面の関心事を整理すれば、(1)経済・金融動向=当面は9月24-25日のピッツバーグでのG20首脳会議(2)インフルエンザの流行(3)アフガン情勢を中心とした安全保障、などだ。年末にかけては、地球温暖化や環境問題も大きな問題になる。歴史の時間軸から世界を眺めると、11月のベルリンの壁崩壊20周年は大きな節目。

 【日本の政権交代】 日本の政権交代に対するフォローアップがそこそこ続いているが、内容は選挙直後の報道から大きく変わらない。政権交代そのものは日本の新時代を開く可能性のあるものとして歓迎する一方、民主党の政策はお手並み拝見、という感じだ。ただし、取り上げ方はそれほど目立つものではない。 

 【オバマ流】 オバマ大統領が4日、ホワイトハウスが訪問者名簿を公表すると発表した。国家安保面など一部機密事項関連を除く全訪問者を発表するという。この問題は、市民団体がロビーストの活動監視などのためかねて公開を求めていた。オバマ流改革の一環だが、影響はいかに。

 
◎今週の注目: 2009年9月7日-12日
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・米欧日など新学期開始や夏休み明けの学校で、新型インフルエンザの感染が拡大している。動きに注目。
・レーバーデイ明けの週後半から、米政治が本格的に動き出す。

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2009年9月 1日 (火)

◆日本の政権交代@世界 2009.8.31

 日本の総選挙が30日実施され、民主党が圧勝。鳩山代表を首相とする同党中心の新政権が発足する。2大政党間の選挙による政権交代は戦後日本で初。世界も久しぶりに注目したが、比較的冷静な見方が多い。

▽地滑り
 選挙は事前から民主党の優勢が予想されていたが、結果は480議席中308議席を獲得する圧勝。自民党は300→119議席と大幅に議席を減らし、1955年の結党以来初めて第1党の座を失った。
 自民党が野党に転じるのは1993年以来。ただこの時は選挙後の工作で野党8党の連立政権が成立した結果で、2大政党による選挙での政権交代は戦後初だ。日本のメディアはこぞって「歴史的」と強調した。

▽トップニュース
 海外のメディアの関心も久しぶりに大きかった。欧米メディアはトップ、準トップクラスで報道。英BBCは鳩山党首の記者会見も中継した。韓国や中国のメディアの扱いも目立った。
 日本の政局や選挙結果がここまで派手に報じられたのは、小泉政権時以来(2005年の郵政解散など)。その後の安部、福田内閣時代には突然の辞任もほどほどに報じられただけだったし、麻生政権も目立った報道はなかった。

▽冷静な反応
 米Wall Street Journalと英Financial Timesは、どちらも"Japan's New Era"と同じ見出し(電子版)で選挙を報じた。しかし内容を見ると、両紙を含め比較的冷静なものが多い。
 選挙の結果については、利益誘導型の自民党政治が有権者の支持を失い民主党がその受け皿になったと分析。日本の変化への期待を示している。しかし同時に、民主党の政策に財源の裏づけや外交政策など不透明な部分が多いことなどを指摘している。
 期待感は限定的で、ましてや高揚感はほとんど感じられない。小泉政権時に、日本の改革に対する期待感が高まったのとは対照的だ。
 こうした報道の内容は、日本の大手メディアの報道と基本的に共通している。海外メディアの東京特派員は日本のメディアの情報を参考にしているから、それは当然でもある。
 韓国や中国の報道も、別の意味から冷静だ。両国では一昔前まで、何か事があると「日本が変な方向に向かわないか」という懸念に火がついた。今回そうした傾向はあまりない。

 米欧政府の反応も落ち着いている。主要国の首脳は通例のように鳩山党首に祝辞を伝え、申請間との間でも良好関係を維持していきたいというコメントを出した。
 ただ、それ以上の反響となるとまだだ。米国は1993年の細川政権発足時には異例ともいえる期待感を示したが、それとは比べようもない。

▽中級国家の扱い
 こうした「冷静な反応」は、世界の中における日本の位置づけを反映しているようにも見える。
 日本はもはや、世界最強競争力を誇る経済大国として世界市場を席巻した1980年代の日本ではない。経済大国ではあるが、政治や外交力などは限定された準大国、あるいは中級国家(Middii-class nation)であるという認識が、世界でも日本国内でも強くなっている。
 となれば、日本の政治がどちらの方向に進むかは「それなりに重要な問題」ではあるが、「世界にとって死活問題」ではない。
 今回の選挙に対する世界の反応を見ると、イタリアやスペイン、あるいは豪州のの選挙結果への反応に似ているようにも見える(ただし、投資家にとっての興味は、こうした国に対する反応よりはずっと大きい)。

▽遅れてきた変化
 今回の選挙を、世界の中でとらえることももちろん必要だ。 
 冷戦が終了してから今年で20年になる。その間の世界各国の政治は、大きな変化を遂げた。
 旧ソ連や東欧は、社会主義体制から自由選挙に基づく民主主義体制に変わった。旧社会主義政党は解党、あるいは基本理念を変えた正当に生まれ変わった。選挙の度に政権が変わる国も多く、政治混乱が続く国も少なくない。
 米国や英国、ドイツは、政治制度や基本的な政党の枠組みに変化はない。しかし、幾度かの政権交代が行われた。米国では黒人のオバマ大統領が誕生。ドイツでは旧東独出身の女性、メルケル氏が首相にある(9月の総選挙でも勝利の可能盛大)。
 日本と同じように与党の半永久的な支配が続くかと思われていたメキシコなどでは、あっけなく政権が交代した。
 インドでは経済成長と並行するように、民主政治も安定してきた。一方パキスタンは混乱が深まるばかりだ。
 こうした世界の変化から比べると、日本の変化はいかにも遅い。小泉首相というスターが存在した特殊要因をどう考えるかは難しいが、「やっと政権交代か」という見方があるのも事実だ。

▽世界の中での位置づけ
 選挙後の発言では、民主党の幹部らは結構しっかりしたコメントを発している。ばらまきと批判された子育てや高速道路無料化などについてもそれなりの答えはし、「早くも失笑」などということはない。現実主義者としての顔をのぞかせる発言も多い。
 ただ、「世界の中での位置づけ」についての議論は漠然としたまま。それは日本国内外のメディアの報道でも、まだ十分に行われていない。

(2009.8.31) 

2009年35号(8.23-31 通算479号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年8月23日-31日
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◆日本の総選挙、民主が大勝(30日)☆☆
・総選挙が実施され、野党の民主党が480中308議席を獲得し大勝した。
・自民党は300→119議席の大敗。1955年の結党以来初めて第1党を失った。
・鳩山党首を首相とする民主中心の政権が発足する。
・自民の下野は16年ぶりだが、2大政党間の政権交代は戦後初。
・戦後発展を支えた日本の政治システムが終焉。日本政治は転換点を迎えた。
・投票率は国民の関心の高まりを反映し、69%強と高かった。

◆バーナンキFRB議長再任(25日)☆
・オバマ大統領はバーナンキFRB議長を再任すると発表した。
・任期は来年2月から4年間。
・議長はブッシュ政権下の2006年に就任した。
・金融危機発生後は財務長官らとともに克服に努めた。
・大手金融機関への公的資金投入、実質ゼロ金利、量的緩和などを導入した。
・金融危機当初は批判も多かったが、ここにきて評価する声も増えている。

◆アフガン大統領選中間発表、決選投票は流動的 ☆
・選管は中間集計を発表。カルザイ大統領がリード、アブドラ外相が追う。
・カルザイ氏の投票率は40-50%程度。
・50%以下にとどまり決選投票になるかは流動的だ。
・アブドラ外相は選挙に不正があったと批判している。
・米特別代表も決選投票を要請したと伝えられ、行方は流動的だ。
・選挙結果の確定とその後の展開は、今後の国の安定にも大きく影響する。

◆新型インフル流行拡大(28日)☆
・WHOは新型インフルの感染者が世界で確定分で20万人を超えたと発表した。
・ただし患者数の把握を中止した国も多く、実際の感染者派はるかに多い。
・死者も確認分だけで2000人を超えた。
・北半球では夏にも予想外に感染が拡大している。
・各国ではワクチンの備蓄など対応を進めている。

◆ケネディ上院議員が死亡(25日)
・エドワード・ケネディ上院議員が脳腫瘍で死亡した。77歳。
・ケネディ元大統領の弟で民主党の重鎮。
・29日の葬儀にはオバマ大統領や歴代大統領が参列。メディアも大きく報道した。
・ケネディ神話の歴史など、米政権のあり方を改めて考えさせる。
・上院民主党は審議引き延ばし阻止に必要な60議席を割り、政策運営にも影響する。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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・日本の総選挙は予想通り野党民主党の圧勝だった。戦後初の本格的な政権交代になる。世界も久しぶりに日本の政治に注目した。

 
◎今週の注目: 2009年9月1日-6日
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・4-5日にロンドンでG20財務相会合。金融危機からほぼ1年。金融規制新ルール作りの進展、景気の現状など定点観測の材料としても重要。

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