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2009年9月 1日 (火)

◆日本の政権交代@世界 2009.8.31

 日本の総選挙が30日実施され、民主党が圧勝。鳩山代表を首相とする同党中心の新政権が発足する。2大政党間の選挙による政権交代は戦後日本で初。世界も久しぶりに注目したが、比較的冷静な見方が多い。

▽地滑り
 選挙は事前から民主党の優勢が予想されていたが、結果は480議席中308議席を獲得する圧勝。自民党は300→119議席と大幅に議席を減らし、1955年の結党以来初めて第1党の座を失った。
 自民党が野党に転じるのは1993年以来。ただこの時は選挙後の工作で野党8党の連立政権が成立した結果で、2大政党による選挙での政権交代は戦後初だ。日本のメディアはこぞって「歴史的」と強調した。

▽トップニュース
 海外のメディアの関心も久しぶりに大きかった。欧米メディアはトップ、準トップクラスで報道。英BBCは鳩山党首の記者会見も中継した。韓国や中国のメディアの扱いも目立った。
 日本の政局や選挙結果がここまで派手に報じられたのは、小泉政権時以来(2005年の郵政解散など)。その後の安部、福田内閣時代には突然の辞任もほどほどに報じられただけだったし、麻生政権も目立った報道はなかった。

▽冷静な反応
 米Wall Street Journalと英Financial Timesは、どちらも"Japan's New Era"と同じ見出し(電子版)で選挙を報じた。しかし内容を見ると、両紙を含め比較的冷静なものが多い。
 選挙の結果については、利益誘導型の自民党政治が有権者の支持を失い民主党がその受け皿になったと分析。日本の変化への期待を示している。しかし同時に、民主党の政策に財源の裏づけや外交政策など不透明な部分が多いことなどを指摘している。
 期待感は限定的で、ましてや高揚感はほとんど感じられない。小泉政権時に、日本の改革に対する期待感が高まったのとは対照的だ。
 こうした報道の内容は、日本の大手メディアの報道と基本的に共通している。海外メディアの東京特派員は日本のメディアの情報を参考にしているから、それは当然でもある。
 韓国や中国の報道も、別の意味から冷静だ。両国では一昔前まで、何か事があると「日本が変な方向に向かわないか」という懸念に火がついた。今回そうした傾向はあまりない。

 米欧政府の反応も落ち着いている。主要国の首脳は通例のように鳩山党首に祝辞を伝え、申請間との間でも良好関係を維持していきたいというコメントを出した。
 ただ、それ以上の反響となるとまだだ。米国は1993年の細川政権発足時には異例ともいえる期待感を示したが、それとは比べようもない。

▽中級国家の扱い
 こうした「冷静な反応」は、世界の中における日本の位置づけを反映しているようにも見える。
 日本はもはや、世界最強競争力を誇る経済大国として世界市場を席巻した1980年代の日本ではない。経済大国ではあるが、政治や外交力などは限定された準大国、あるいは中級国家(Middii-class nation)であるという認識が、世界でも日本国内でも強くなっている。
 となれば、日本の政治がどちらの方向に進むかは「それなりに重要な問題」ではあるが、「世界にとって死活問題」ではない。
 今回の選挙に対する世界の反応を見ると、イタリアやスペイン、あるいは豪州のの選挙結果への反応に似ているようにも見える(ただし、投資家にとっての興味は、こうした国に対する反応よりはずっと大きい)。

▽遅れてきた変化
 今回の選挙を、世界の中でとらえることももちろん必要だ。 
 冷戦が終了してから今年で20年になる。その間の世界各国の政治は、大きな変化を遂げた。
 旧ソ連や東欧は、社会主義体制から自由選挙に基づく民主主義体制に変わった。旧社会主義政党は解党、あるいは基本理念を変えた正当に生まれ変わった。選挙の度に政権が変わる国も多く、政治混乱が続く国も少なくない。
 米国や英国、ドイツは、政治制度や基本的な政党の枠組みに変化はない。しかし、幾度かの政権交代が行われた。米国では黒人のオバマ大統領が誕生。ドイツでは旧東独出身の女性、メルケル氏が首相にある(9月の総選挙でも勝利の可能盛大)。
 日本と同じように与党の半永久的な支配が続くかと思われていたメキシコなどでは、あっけなく政権が交代した。
 インドでは経済成長と並行するように、民主政治も安定してきた。一方パキスタンは混乱が深まるばかりだ。
 こうした世界の変化から比べると、日本の変化はいかにも遅い。小泉首相というスターが存在した特殊要因をどう考えるかは難しいが、「やっと政権交代か」という見方があるのも事実だ。

▽世界の中での位置づけ
 選挙後の発言では、民主党の幹部らは結構しっかりしたコメントを発している。ばらまきと批判された子育てや高速道路無料化などについてもそれなりの答えはし、「早くも失笑」などということはない。現実主義者としての顔をのぞかせる発言も多い。
 ただ、「世界の中での位置づけ」についての議論は漠然としたまま。それは日本国内外のメディアの報道でも、まだ十分に行われていない。

(2009.8.31) 

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