« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »

2009年6月

2009年6月27日 (土)

2009年26号(6.21-27 通算470号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年6月21-27日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆イラン政局混乱続く ☆
・大統領選を巡る混乱は2週間を経ても終息せず混乱が続く。
・最高指導者ハメネイ師は再度選挙の正当性を強調。抗議活動中止を求めた。
・調査委員会設置など一部で譲歩を示し、決着を図っている模様。
・一方改革派のムサビ元首相は合法範囲内での抗議継続を主張している。
・アハマディネジャド大統領再選を祝う24日の会は、国会議員の過半が欠席した。
・オバマ米大統領やG8外相会議は武力鎮圧を非難。国際社会も圧力をかけ始めた。

◆イラクの治安、再度悪化の懸念 ☆
・駐留米軍戦闘部隊の都市部からの撤退期限が30日に迫った。
・撤退をにらみ各地でテロが相次ぎ、治安再度悪化の懸念が広がっている。
・24日にはバクダッドのテロで72人が死亡。26日も約20人が死亡した。
・アルカイダやスンニ派過激派の犯行とみられる。
・治安権限を引き継ぐイラク軍の能力が早速試される。
・米国は撤退計画に変更ないとしている。
    
◆米保険改革、議論が本価格始動 ☆
・米国の医療制度改革論議が本格化し始めた。
・上下両院の委員会が25日までに、法案の概要や審議の論点をなどを発表。
・医療改革はオバマ政権が内政の最重点課題の1つに掲げているもの。
・無保険者の解消、医療費抑制、医師・保険の選択自由の確保を目指すとされる。
・実現すれば半世紀ぶりの改革となる。政権は年内の成立を目指す。
・しかし改革には大幅な増税が必要がある。
・共和党からは大きな政府への警戒がある。産業などからの反発も大きい。
・クリントン政権も15年前に同様の法案を提出したが、挫折している。

◆米の新型インフル感染者、延べ100万人との推計(25日)
・米疾病対策センター(CDC)は、感染者が延100万に達したとの推計を発表した。
・夏になっても感染者は減少していない模様。
・公式の確認感染者は2万8000人にすぎない。実態とのギャップは大きい。

◆マイケル・ジャクソンが死亡。世界的に話題(25日)(^^)
・歌手のマイケル・ジャクソン氏がロサンゼルスで死亡した。50歳。
・死因は不明。当局が調査に当たる。
・同氏は1980年代スーパースター。音楽と映像の融合で新時代を開拓した。
・90年代以降は幼児虐待などスキャンダルが話題を呼んだ。
・最近はコンサート復活を計画。準備をしていた。
・80年代以降の大衆文化論に欠かせない人物として、メディアのカバーも大きい。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 │プラスアルファ                       
 │ (世)日本ではあまり報道していないけれど、世界では注目
 │ (日)騒いでいるのは日本だけ                
 │ (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない     
 └─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【イランの混乱】 イランの混乱が予想以上に長引いている。国民の不満の鬱積、対立構図の複雑さ(保守派vs改革派、保守派内の対立、世代間対立など)は前号でも指摘した通り。
http://homepage2.nifty.com/INCDclub/clm2009/clmIran2009621.htm
 注目すべきは、ハネメイ師が抗議活動停止の命令を出したのにもかかわらず混乱が続いていることだ。「どうせイランは宗教指導者の国家」という従来の枠組みだけでは理解できない事態になるかもしれない。

 【北朝鮮の世代交代】 北朝鮮の世代交代を巡る情報が色々流れている。5月末頃から金正日総書記の後継者として3男正雲氏が決まったの情報が流れているが、北朝鮮ウォッチャーによると同氏を讃える歌の披露増加など追加情報が相次いでいる。先の再度の核実験など最近の強硬姿勢も、世代交代を関連付けて解説する向きがある。いずれにしろ、いつ表の動きが出てきてもおかしくない。

 【米国の医療改革】 オバマ大統領が選挙戦でも肝いりで主張してきた医療改革論議が動き出す。
 米国の医療制度は、世界的に見ても特異な存在だ。国民皆保険が基本の欧州先進国や日本と違い、先進国で唯一無保険者が多数(5000万人)存在する。先端分野の医療水準は世界1なのに、医者にかかれない人が多い。
 医療費は高く、GDP比は16%程度と世界最高。その矛盾は、マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」にこれでもかと示されている通りだ。
 オバマ大統領は改革の目標として、(1)無保険者をなくす(2)医療費抑制(3)医師・保険の選択自由の確保を目指す、などを掲げている。大統領は今月の演説で、「改革しなければGMのようになってしまう」と訴えた。
 しかし、反対意見は根強い。大統領も改革の財源に、増税が必要と認めている。共和党には、「大きな政府につながる」と警戒する。既得権に手を突っこまれる医療産業は、強力なロビー活動を仕掛けてくるだろう。
 国民の意見も多様だ。ある調査では、国民の68%が現在の医療システムの優れていると評価している。クリントン政権が15年前、改革にとん挫したのもこうした背景があるためだ。
 医療改革は、米国に限らず世界に共通する大問題。オバマ政権の改革の行方は、世界にとっても注目の的だ。

 
◎今週の注目: 2009年6月28日-7月4日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・引き続きイラン情勢に注目。
・イラク駐留の米軍の戦闘部隊が30日、都市部から撤退する。治安権限はイラク軍に移る。撤退を前にイラクの治安は再度悪化の兆しもあり、情勢の行方は流動的。節目の局面だ。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2009 INCD-club

2009年6月21日 (日)

◆米欧の金融規制強化案 2009.6.21

 米国と欧州が新しい金融規制案を発表した。金融危機をもたらした現行の規制・監督体制の不備を正そうというもの。その行方は今後の金融システム、ひいては資本主義の在り方を左右しかねない重要な問題だ。
 関係者は新規制が必要性では一致するが、それを「いかなる方法で」「どこまで」となると意見は対立する。議論の行方は曲折が予想される。

▼米国の改革案
 米国の改革案はWhite Paperの形でオバマ大統領が17日発表した。
 88ページの白書の要点は(1)これまで銀行、証券、保険に分かれていた大手金融機関の監督権限をFRBに集中(2)OTSなど一部監督機関を統廃合(3)財務省主導の協議会を設置(4)デリバティブ販売時の規制強化(5)金融消費者保護庁の設置など。
 米国の金融監督体制は複雑に入り組んでいる。現在、銀行はFRBと通貨監督庁(OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)など、証券はSEC、保険は州当局が監督しているほか、S&LはOTSなどが責任を持つという体制。横の連携はいいとは言い難い。
 金融機関の業務は1980年代以降自由化が進み、業態の垣根が消滅した。それにもかかわらず監督体制の改革は遅れ、これが金融危機の原因の一つになったと指摘される。

▼大恐慌以来の改革?
 オバマ大統領は「砂上の楼閣だったリスク規制の新しい土台に他ならない」と強調。英Economistは「政府が市場経済の中により深く入り込み、過去30年の市場自由化を一部戻すもの」と評した。
 改革実現となれば、1930年代以来の規制体系の大変革になる。米メディアも「大恐慌以来」という表現で報じる。
 ただ、調整の行方は不透明だ。
 リスク管理を重視する立場からは、「これだけで十分か」という指摘が出ている。改革案が実現しても、監督体制はなお複雑だ。
 一方、市場機能を重視する立場の人々は、規制強化の行き過ぎを警戒する。米ウォール・ストリート・ジャーナルは「大統領は市場を守ると言いながら政府の支配を広げている」と警戒。議会にはFRBの権限拡大を警戒する見方もある。消費者保護拡大には、金融業界の強烈なロビーイングも予想される。
 Economistも、「最終的にどうなるかはなお不確か」と指摘している。

▼EUの改革案
 EUの改革案は18-19日に開催した首脳会議の共同宣言で表明した。
 要点は、(1)欧州全域の金融動向を監視し、金融システム全体の危機を防止する欧州システム・リスク理事会(European Systemic Risk Board=ESRB)を設置(2)各国当局の情報を吸い上げる欧州金融監督システム(European System of Financial Supervisors=SFS)を設置、など。
 EUは共通通貨ユーロを共有し(参加は16カ国)欧州中央銀行を持っている。それにも関わらず、金融監督は各国ばらばら。このため金融危機発生時にも、各国が連携して対応できなかった経緯がある。
 首脳会議宣言は、共通監督機関設立に向けた計画を示そうというもの。ただ、中身はまだ詰まっていないところが多く、具体論はこれからだ。

▼同床異夢
 各国とも適切な規制強化では一致する。しかし、汎欧州的な組織の強化を訴えるフランスなど大陸諸国と、金融センター・シティを抱える英国の利害は大きく異なる。英国のブラウン首相は汎欧州の新組織ができても「英国政府の規制政策が欧州の命令を受けることはない」と強調した。
 大陸諸国内でも、細かい点になるとフランスとドイツなど各国の意見は異なる。
 英Economistは「EUのインチキの銀行(規制)改革」(An EU fudge on bank reform)と皮肉を込めた見出しで報道。EU各国首脳はあいまいな銀行規制案で決定的な喧嘩を避けたと分析した。
 米国も欧州も議論の先行きはまだ見えない。議論の行方は今後の世界経済にとって極めて重要だ。

20090621

2009年25号(6.14-21 通算469号) 国際ニュース・カウントダウン 

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年6月14-21日(日本時間)
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆米欧が金融規制改革案を発表(17日)☆
・オバマ大統領は金融規制改革案を発表した。
・銀行、証券、保険別だった大手金融機関の監督権限をFRBに集約する。
・監督機関の統廃合、デリバティブの販売規制強化等も盛り込んだ。
・金融消費者保護庁を創設し、消費者・投資家の保護も強化する。
・議会と調整をし、年内の実施を目指す。
・実現すれば1930年代以来の抜本改革となる。ただ調整の行方は流動的だ。
・一方EUは19日首脳会議宣言で、新たな金融監督体制の方向を示した。
・全欧州のシステム・リスクを監視する理事会を設置する。
・各国の金融監督情報を吸い上げる全欧的監督体制整備なども掲げた。
・金融危機後の課題だった欧米の金融監督体制改革論議が具体論の段階に入る。
・その行方は今後の世界の金融・経済のあり方に影響する。

◆イラン、改革派が大規模な抗議活動(15日-)☆
・大統領選でムサビ元首相を支持した改革派市民らが抗議活動を展開。
・15日のテヘランのデモには数十万人が参加。その後連日、全国で活動が続いた。
・16日には当局と衝突。死者が出る事態になった。
・アハマディネジャド大統領当選とされる選挙の不正を主張。再投票を求めた。
・最高指導者ハネメイ師は19日選挙は正当とし、活動停止を要求した。
・これを受け改革派は20日の大規模集会を中止したが、一部市民は強硬実施した。
・行方は流動的だが、イラン政局は重大な局面を迎えている。
・革命から20年を経て、イラン国内の現支配体制への不満の蓄積がうかがえる。
・支配者層内でも保守派vs改革派、世代間の対立等があるとされ、状況は複雑だ。

◆イスラエル首相、パレスチナ国家樹立容認(14日)☆
・ネタニヤフ首相は、条件付きでパレスチナ国家樹立を認める方針を発表した。
・条件としてパレスチナの非武装、エルサレムのイスラエル帰属などを挙げた。
・パレスチナ難民帰還の実質拒否なども主張している。
・イスラエル首相が国家樹立を認めたのは初めて。
・背景には米国の圧力があった模様。米政府は歓迎の声明を発表した。
・ただ条件は、パレスチナにとって受け入れられるものとは言い難い。
・パレスチナ和平は、これで前進するほど情勢は単純ではない。
・ただ発言が一つの節目になる可能性はある。米関係者は「ルビコン川」と表現した。

◆BRICs首脳が初の会議(16日)
・中ロ印ブラジルの首脳がロシア中部で初の非公式首脳会議を開いた。
・声明で多極的な世界秩序支持を表明。米1極主義をけん制した。
・現地で開催した上海協力機構首脳会議に合わせて開催した。

◆EU、バローゾ委員長再任(18日)
・EUは18-19日の首脳会議で、バローゾ欧州委員長の再任を内定した。
・任期は2014年まで。
・委員長はポルトガル元首相から2004年に就任。中道右派。
・委員長は行政機関のトップとしてEUの顔を務める。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
  ─────────────────────────────
 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【金融規制】 金融危機から10カ月を経て、米国と欧州の新しい金融規制案が発表された。規制強化では一致するが、それを「いかなる方法で」「どこまで」となると関係者の意見は対立する。議論の行方は曲折が予想される。

 【イラン抗議活動の読み方】 イランで改革派市民らの抗議活動が続いている。大統領選でのアハマディネジャド大統領当選との発表に対し、市民らが連日デモを展開。その規模は数十万人から百万人と大規模。場所も首都テヘランのみならず各主要都市に及び、国民の不満の鬱積をうかがわせるに十分だ。
 最高指導者ハメネイ師は19日になって選挙の正当性と抗議活動中止を求める声明を発表。抗議を力で押さえつける姿勢を鮮明にした。これで当面の活動は終息する可能性もあるが、潜在的な問題解決にはほど遠い。
 抗議活動の背後には改革派だけでなく、前回の大統領選で敗北したラフサンジャニ元大統領ら穏健保守派も存在すると指摘される。革命から20年を経て、支配階級内でも利害対立が大きくなっている。
 20年前の宗教革命以降、イランから伝わってくる情報は、political correct(宗教的に正しいこと)ならぬreligious correct(宗教的に正しいこと)な建前と、本音の乖離が著しい。ハメネイ師ら宗教指導者が何を考えているか、政治の奥の院で何が起きているかなど、不明なことは多い。
 12日の大統領選は高投票率で、国民の政治への関心の高さを垣間見させた。それに続く抗議活動のうねりは、不満の鬱積と変化への期待を反映している。
 少なくとも、次の変化へのマグマが蓄積しているのは間違いないだろう。

 
◎今週の注目: 2009年6月21-27日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・イラン情勢はどんな変化があってもおかしくない。予断なく見守りたい。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2009 INCD-club

2009年6月13日 (土)

◆世界経済定点観測 2009.6.13

 世界経済は最悪期を脱したとの期待が高まっているが、依然先行きは不透明。株価は3月を底に上向きにあるが、一方で財政赤字の拡大など新たな問題も出てきている。足元のトピックを挙げる。

▼株価回復
 株価の回復が目立つ。世界の株価は3月頃を底に上昇。特に新興国はロシアが底から2倍増、中国やインドは約5割上昇した。日米欧は3月から2-4割上昇し、昨年末のレベルに回復。日経平均は1万円を回復した。
 世界経済の悪化に歯止めがかかり、底割れリスクが小さくなったという見方が背景。金融危機後安全資産に逃避していた資金が、再びリスク資産に戻ってきた。
 ただ経済悪化歯止めは期待先行の面がある。株価の上昇スピードは急激で、反動の懸念も指摘される。

▼商品価格上昇
 NY原油は1バレルあたり70ドルを回復。年初から2倍になった。金や穀物などの価格も上昇している。資金は株だけでなく商品にも流れている格好だ。

▼経済指標
 FRBは10日地区連銀報告を発表。米国の景気は一部に底入れ感もあるものの、なお悪化が続いていると判断した。5月の失業率は9.4%に上昇した。

▼産業支援
 クライスラーは10日、主要資産を新会社に譲渡する手続きを完了したと発表した。一部債権者などの差止め請求を裁判所が退けた。これにより、破産申請時に描いた法の保護の下での再建を進められる。同じく破産法申請したGMも、同様の手続きを進めている。
 米自動車部品産業は、近く総額100億ドルの支援策を政府に求める。同業界はGM破綻などの影響で経営困難に直面している。
 米国や欧州など各国政府は経済危機以降、様々な形で産業を支援してきた。この動きは、形を変えて続いている。

▼金融不安の推移
 米政府は9日、ゴールドマン・サックスなど金融機関10社の公的資金の前倒し返済を容認した。当局は昨年10月以降、主要金融機関に事実上強制的に、一律で公的金融機関を投入した。返済は、正常化に向けた動きの一歩となる。
 ただ、欧米金融機関の損失見込みはIMF予測で4兆ドル。処理済は半分にも届いていない。
 また、財務体質の比較的いい金融機関と悪い機関の格差は一層鮮明になる。今後、また形を変えて危機が表面化する可能性は少なくない。
 
▼財政悪化
 各国は景気刺激のため財政支出を拡大。財政は急速に悪化している。2009年の財政赤字の対GDP比は、日米英が10%以上、フランスは6%程度に膨らむ見込み。この影響で長期金利が上昇、経済回復に悪影響を与える懸念がある。将来のインフレ懸念も消えない。
 12-13日にイタリアで開催したG8の財務相会合では、経済危機後の財政改善など出口作戦も議論した。

2009.6.13
 

2009年24号(6.7-13 通算468号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年6月7-13日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆WHO、新型インフルの世界的大流行宣言(11日)☆☆
・WHOは警戒水準を最高度の6に引き上げ、世界的大流行を宣言した。
・パンデミック宣言は1968年の香港風邪以来41年ぶり。
・米国やメキシコに加え、南半球で感染拡大が始まったと判断した。
・ただ弱毒性のため、渡航制限などの勧告は出さない。
・新型インフルは4月から拡大。74カ国で約3万人の感染者、140人の死者が出た。

◆安保理が北朝鮮制裁決議(12日)☆
・国連安保理は核実験を実施した北朝鮮への決議を採択した。
・金融制裁、武器禁輸の拡大、船舶への貨物検査強化などを盛り込んだ。
・北朝鮮は13日声明を発表。制裁に激しく反発した。
・この中で核放棄を拒否。核開発推進を明言した。
・3度目の核実験実施の動きがある、との情報もある。
・緊張の高まりは必至。対話もしばらくは望めない情勢。
・米国務長官は、北朝鮮のテロ支援国家再指定を検討すると述べた。

◆イラン大統領選(12日)☆
・大統領選が12日実施。
・内務省は13日、アハマディネジャド大統領が60%以上を獲得と発表した。
・大統領は同日、勝利宣言した。
・改革派のムサビ元首相は選挙に不正があったとし、敗北を認めていない。
・大統領選は保守派の大統領と改革派の元首相の事実上の一騎打ち。
・選挙戦はテレビ討論などで盛り上がり、投票率は高かった。
・大統領は対米強硬路線を掲げ、核開発を急速に推進してきた。
・地域大国イラン大統領選の結果は、中東情勢にも影響が大きい。

◆米金融機関10社の公的資金返済を容認(9日)☆
・米政府は大手金融機関10社の公的資金前倒し返済を承認した。
・ゴールドマン・サックスなど10社で総額は680億ドル。
・米政府は昨年10月以降、大手金融に公的資金を一律注入していた。
・金融システムの正常化に向けた一歩となる。
・ただ、経営健全機関と脆弱機関の格差が一層鮮明になる。
・FRBは8日、シティなど10社が提出した資金増強計画を事実上承認した。
・米当局は5月、金融機関の資産査定を実施。10社に資本増強を求めた。

◆欧州議会選 ☆
・欧州議会選がEU27カ国で4-7日に実施された。
・中道右派の欧州人民党グループが最大議席を維持した。
・第2勢力の中道左派・社会主義グループは後退した
・移民排斥を訴える極右政党が議席を伸ばした。
・投票率は43%で、1979年以来の低水準。
・欧州議会はEUの政策決定権の一部を持つ。選挙は欧州の政治潮流を反映する。
・結果からは、EU熱の低下、移民規制の声の高まりなどが読み取れる。

 ┌─────────────────────────────
 │INCDの採点
 │ ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 │ ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 │ 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ├─────────────────────────────
 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【核問題】 国連が北朝鮮制裁の決議を採択。これに北朝鮮が反発し、核開発推進を表明した。イラン大統領選では強硬派のアハマデネジャド大統領勝利のに落ち着きそう。核拡散問題は、少なくとも短期的には悪い方向に進んだ。

 【新型インフル】 WHOが新型インフルエンザのパンデミック宣言をした。教毒性出ないため、発症当初よりは緊張感が低下した感があるが、今後数年は季節ごとに繰り返し流行が続きそう。1968年の香港カゼでは100万人が死亡したとされる。

◎今週の注目: 2009年6月14-20日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・北朝鮮が国連制裁を受けてどう動くか。
・イラン大統領選ではアハマディネジャド大統領の当選が正式発表されそう。開票などを巡り混乱が生じる可能性がある。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2009 INCD-club

2009年6月 7日 (日)

◆天安門事件20年の中国と世界 2009.6.6

 中国が学生らの民主化運動を弾圧した天安門事件から20年が過ぎた。事件後の中国は大きく混乱、将来展望を危ぶむ見方も少なくなかった。しかし20年後の現実を描写すれば、経済成長がすべての矛盾を飲み込んで推移している、という状況だ。

 事件後、欧米は中国を厳しく批判。中国は国政的に孤立した。事件からほどない1989年夏‐秋には東欧革命が勃発。2年後にはソ連が崩壊し、社会主義陣営は瓦解した。

 中国も政治的な正統性なしに国を支配できるかを問われ、社会主義的市場経済という矛盾は持続できないとの指摘も多かった。

 しかし、政治的には強硬姿勢を維持しながら経済成長を優先させる政策が上手く作用。その後年率10%前後の経済成長を達成した。いまや中国は「世界の工場」のみならず「世界の市場」に成長し、GDPは世界3位、貿易は世界最大。世界経済は中国を抜きに語れなくなった。

 米国や欧州はその後も節目節目で、人権軽視批判や民主化要求を繰り返す。それでももはや、中国の体制そのものを否定したり、中国の存在を無視することはできなくなった。特に昨年の金融危機後、世界の関心が民主主義より安定に向かい、中国批判や中国警戒の声は一層後退した感がある。

 米国のクリントン国務長官は20周年をにらみ、民主化活動家の釈放などを求めた。しかし、同じ時期にガイトナー財務長官が中国を訪問。経済協力促進を打ち出した。米国の対中姿勢は、明らかに民主化・人権要求より協調強化に傾いている。

 中国国民の生活は20年で一変した。経済開発は沿岸部から徐々に内陸に浸透。国民1人当たりの所得は、20年で10倍になった。

 もちろん国の抜本的な課題は変わらない。民主化は限定的で、1党独裁体制は変わらない。正統性に疑問が持たれる体制が続き、社会主義と市場経済共存の矛盾は消えない。

 非民主主義社会では、法による支配の確立も自ずから限定的になる。国内では格差拡大、汚職、環境汚染などが深刻だ。

 それでも、今のところ人々の不満は限定的なレベルに押さえ込まれている。経済成長が政治や社会の矛盾を飲みこみ、爆発を防いでいる格好だ。

 世界の枠組みが変わる中、20年後はおろか、10年先の予想も立ちにくい。それでも、「天安門事件から20年」の中国は、事件当時の悲観シナリオを回避し、最も楽観なシナリオに近い状況で推移してきた。比較的恵まれた立ち位置から、次の20年を臨める立場にいる。

(2009.6.6)

◆GM破産法申請の意味するもの 2009.6.6

米GMが連邦破産法11条の適用を申請した。20世紀を代表する企業の破産申請は、経済的のみならず社会・文化的にも影響甚大。資本主義の在り方が変わる中で、確実に一つの時代の終わりを象徴する。ただ、企業・組織の視点からみると、世の評価は「変われない組織は滅びる」という1点に集中している。

▼再建計画
 GMの再建計画を一言で言えば、不採算部門を切り捨て、縮小均衡による再建を目指すもの。10あったブランドはシボレーなど4つに集約。米国内の工場は08年末の47から33程度に縮小し、ディーラーも大幅に削減する。
 米国内の工場労働者は現在の6万人から約2万人削減。生産量は約3割削減して600万台に減らす計画だ。2007年まで世界最大だった同社は、3-5位グループで再建を目指す。

▼法的保護と政府支援
 GMの債権者や労働組合などとの権利関係は極めて複雑で、事前の交渉では調整がつかなかった。このため連邦破産法の保護の下で再建を目指すことになった。
 GMは8月末までに新会社への資産譲渡など破産法手続きを完了。6-18カ月以内に再上場を目指す。
 米政府は再建を全面的に支援する方針を表明。300億ドルの追加融資を提供し、
株式の約6割(カナダ政府と合わせて約7割)を保有し実質国有化する。オバマ大統領は「古いGMが終わり新しいGMが始まる」と強調した。

▼関係者の反応
 市場の反応は比較的冷静だった。すでに過去数週間の大詰め交渉で、破産法申請不可避の情勢になっており、GM株は前週75セントまで落ち込んでいた。市場はGM破産をすでに織り込んでおり、発表後NY株は上昇した。
 市民や従業員、関係者の反応も予想された範囲内だった。デトロイトの市民やGM従業員は口ぐちに残念と語ったが、抗議行動などはなし。
 部品メーカーなど関係産業も、政府による救済策などが準備されたこともあってパニックに陥るようなことはなかった。

▼GMの100年:成功体験~時代に乗り遅れ
 1908年創業のGMは、20世紀の米国を代表する企業だった。中興の祖と言われたアルフレッド・スローン氏の下で近代経営を確立。1931年にフォードを抜いて世界1の自動車メーカーになり、以後70年代までは世界最大かつ最も優れたメーカーであり続けた。同社CEOからアイゼンハワー政権の国防長官に就任したウイルソン氏の「GMにいいことは米国にいいこと。逆も真なり」という発言も、GMが米国のシンボルであったことを反映している。
 しかし1970年代以降は時代の波に乗り遅れた。時代が求める低燃費の小型車の開発では日本エーカーなどの後塵を拝した。1980年代にはデータ事業など多角化に走ったが、失敗した。
 1970-80年代の危機の際には、米政府がなりふり構わぬ態度でGMなど自動車業界救済に動いた。すそ野の広い自動車業界を潰すことは、当時選択肢として政治的に考えられなかった。
 その後GMは90年代‐2000年代、低燃費車の開発よりも利益率の高い大型車の事業拡大に傾斜。70-80年代の救済で与えられた時間的猶予を生かすことはできなかった。2006-07年の原油価格高騰や金融危機による消費落ち込みで大型車販売が激減すると、経営が行き詰った。

▼レガシーコスト 
 もう一つGMの重荷になったのが、従業員やOBへの医療保険などいわゆる「レガシーコスト」だ。公的医療保険が全国民をカバーしない米国において、GMの「企業による保険」は従業員の福祉と利益を高める20世紀の成功モデルになった。

 しかし何十年もたって、負担は一方的に膨らんだ。近年は米国内のGM社員9万に対し、OBや家族は数10万人。自動車1台あたり、1000ドルのレガシーコストがかかるようになり、競争力は大いに低下した。情勢が変化しても制度変更ができず、耐えきれない負担になったわけだ。

▼変われないツケ
 破産法申請に対するメディアや関係者の評価は比較的一致している。変化に対応することができない組織は滅びるということ。そして、GMが過去の成功体験にとらわれ、自己改革ができなかったという分析だ。
 複雑かつ多岐な利害関係者を抱える企業が、過去を捨て、多大なコストを甘受して変身することは容易ではない。しかし、GEやIBMはそれができた。フォードは破産法適用に追い込まれていない。GMの経営に問題があったことは明らかだ。
 1980年代には政治的に自動車業界を潰すことはできなかった。しかし、経済は製造業中心からITやサービス業中心に変化した。「大きすぎて潰せない」(too big to fail)も最早通用しない。破産法申請は、この観点からも時代の終わりを象徴する。

▼再建の行方
 再建の行方は必ずしも楽観的ではない。
 第1に再建は、スピードとの戦い。まず60-90日で破産法手続きを済ませる必要がある。新会社に移す資産・事業と清算会社に残す資産・事業の分類だけでも大変。債権者や組合など権利関係者との調整も、破産法保護下といえ容易ではない。
 目先の自動車販売がどうなるか、将来に向けて売れる車を作れるかなども懸念材料だ。オバマ政権により実質解任されたワゴナー会長は在任時、「破産法適用になれば、消費者のGM離れが起きる」と言っていた。その懸念が当たれば影響は深刻だ。
 米産業の年表的には大きな節目を超えたが、実社会・実経済への影響という面では、正念場はこれからだ。

(2009.6.6)

2009年23号(6.1.6 通算467号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年6月1-6日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆GMが破産法適用申請(1日)☆☆☆
・米GMは連邦破産法11条の適用をNY破産裁判所に申請した。
・米政府が実質国有化。規模を縮小した上で、法の保護下で再生を図る。
・資産規模は823億ドル、負債は1728億ドルで、製造業の破産では史上最大。
・再建案では米加政府が新生GM株の7割を保有。396億ドルを追加融資する。
・ブランド数は10→4に集約。工場やディーラーも大幅集約。生産規模は3割縮小する。
・その上で6-18ヶ月で再上場する「スピード再建」を目指す。
・GMは低燃費車開発の遅れや重い年金負担などで競争力低下。
・世界的な不況で資金繰りがつかなくなり、自力再建を断念した。
・GMは20世紀の米国を代表する企業。その破産は産業史に特記される。
・米国の社会・文化へのインパクトも大きい。

◆天安門事件20年、抗議行動は封じ込め(4日) ☆
・1989年の天安門事件から20年を経過した。
・中国当局は天安門周辺に警戒態勢を敷き、抗議行動などを封じ込めた。
・香港では15万人が集まり犠牲者を悼む集会を開催した。
・ただ国際社会の関心は概して低調。チベット問題時のような講義の広がりもない。
・金融危機後の世界の関心は人権より安定に集中。そうした時流も反映した。
・米国務長官は民主活動家釈放を要求したが、中国当局は内政干渉と批判した。

◆北朝鮮総書記が3男後継指名の情報(1日)☆
・金正日総書記が、三男の正雲氏を後継者に指名したとの情報が流れた。
・韓国の国家情報院が1日、国会に説明。韓国のメディアなどが伝えた。
・米高官からも同様の情報が流れている。
・後継指名は先月25日の核実験直後と言われる。
・背後には総書記の健康悪化が指摘される。
・同国内の権力構造についても情報が交錯。長男・正夫氏の中国亡命情報もある。
・指導者交代を含め、いつ重大変化があってもおかしくない。

◆米大統領がカイロ演説、イスラム社会に融和訴え(4日)☆
・オバマ大統領が演説。イスラム社会との融和を訴えた。
・イラク戦争で亀裂が深まった米とイスラム社会の新たな始まりを求めると強調した。
(to seek a new beginning between the United States and Muslims)
・パレスチナ問題は、2国家共存が唯一の解決策と明言した。
・イランには核開発容認しないと強調する一方、対話の前進を呼びかけた。
・4月のトルコでの演説をさらに発展させた内容。
・演説は14ヶ国語に翻訳され、イスラム社会に広く送信された。
・今後繰り返し引用される節目の演説になる可能性がある。

◆原油、穀物価格が上昇
・原油や穀物の価格が上昇している。
・NY原油先物は70ドルを記録。年初から2倍の水準になった。
・大豆やトウモロコシも年初を底に上昇に転じている。
・世界経済はなお下降しているが、下げ止まりの兆候も出てきた。
・こうした中で投機資金が商品市場に流入。価格を押し上げている。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【節目の出来事】 節目のニュースが相次いだ。20世紀を代表する企業だった米GMが

破産法適用を申請。2008年9月のリーマン・ショックの時ほどではないが、世界経済の

風景は1週間で変わった。オバマ大統領のカイロ演説は、米欧とイスラム社会の関係に

一石を投げかけるもの。天安門事件20周年は、世界と中国の変化を様々な角度から印象

付けた。北朝鮮の後継指名情報も、時代の節目になり得る。

 【オバマのカイロ演説】 オバマ米大統領が訪問先のカイロで演説。イスラム世界と

の融和を訴えた。
 55分に及んだ演説では信仰と自由など相互理解の根底にかかわるものから、パレスチ

ナ問題、対イラン関係など具体的な課題まで言及。世界にとっての大きな課題である「

イスラムとの共存」に向けて、強い意欲を示した。
 反応はもちろん様々だ。パレスチナのアッバス議長が歓迎の意を示した一方、2国共

存に後ろ向きのイスラエル・ネタニヤフ政権は黙殺の構え。アルカイダのビンラディン

は、演説を前にアラブのメディアにビデオを送り「ブッシュ政権と変わらない」と批判

した。
 それでもアラブ社会の反応は概して好意的だ。相互理解と尊重を全面に打ち出したオ

バマ演説は、米国の正義と米国流民主主義を押し付けたブッシュ時代とは明らかに違う

。そうした変化が伝わった格好だ。
 もちろん理想先行で具体的展望がないとの批判もある。期待が失望に変わるリスクは

否定できない。
 それでも、演説が世界のムードを変え、「何か変わるかもしれない」という期待感を

抱かせたのは事実。プラハでの「核廃絶演説」が核問題に新たな議論をわき起こしたの

と同様に、「カイロ演説」がイスラムとの共存について新たな議論のスタートになる可

能性はある。
 演説全文は以下のメルアド参照。
http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Remarks-by-the-President-at-Cairo-

University-6-04-09/

◎今週の注目: 2009年6月6-14日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・北朝鮮が実施した核実験に関する国連安保理の審議が大詰め。近く決議が出そう。
・イラン大統領選が6月12日に行われる。
・FRBが大手金融機関からの公的資金返済を承認する。昨年の金融危機の際に一律投入

したが、先の資産査定結果などを経て健全機関からの返済を受け入れる。金融機関の格

差が明確になる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグルー

プです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト

5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分か

りやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2009 INCD-club

« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

ウェブページ