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2009年5月 3日 (日)

◆新型インフルエンザと世界 2009.5.3

 新型インフルエンザの感染が一気に拡大。世界はこのニュースで一色という状況になった。昨年9月のリーマン・ショック時、「世界の風景は一週間で一変した」と言われたが、今回もそんな印象だ。

▼1週間の推移

 事態の変化は急で、情報は氾濫。時には交錯している。まず事実関係を簡潔に押さえれば以下の通りだ。

(経緯)
4.24 WHOがメキシコで豚インフルエンザ感染の疑いを発表。
   米が国内での感染発表。
27  WHOが警戒水準を3→4に。
   欧州でも感染確認(スペイン)。 
29  WHOが警戒水準5(2カ国以上で人→人の感染拡大)に引き上げ。
   米国で死者確認。
   メキシコへの渡航制限の動き広がる(欧州諸国など)
5.1  メキシコが5日間の一斉休業。
   感染アジアに拡大(香港)。  
3   18カ国で感染確認。 

(新型インフルエンザ)
 新型インフルエンザは季節性インフルエンザと同じA型のH1N1型。世界的流行となれば4人に1人が感染の見込み。今のところ弱毒性で、致死率はそれほど高くない。

▼パンデミック不可避 

 この1週間で明確になった点を整理すると、第1に新型インフルエンザの「封じ込め」がもはや不可能となり、世界への拡散が避けられなくなったことだ。WHOが国境閉鎖や渡航禁止を勧告しなかったのも、封じ込めは無理との判断からだ。

 各国の認識もこの点は同じ。どこも公式発表はしないが、各国の政策目標は「感染阻止」ではなく、「感染の急速な拡大防止や感染規模の抑制」「社会・経済的な混乱回避」。各国の対応も、この脈略でみるとわかりやすい。

 これまでの具体策は以下の通り。いずれも上記戦略に沿ったものだ。
・世界主要国が相次いで入国管理や検疫体制を強化。
・患者発生時の病院などの受け入れ態勢を整備。
・メキシコ政府が5月1-5日に不要不急の活動自粛を求める「一斉休業」を実施。
・米国各地で相次いで学校閉鎖。
・欧州や米州各国がメキシコとの航空便を制限。

▼学習効果

 第2に、世界は比較的冷静に対応している。
 メキシコでは先月末以来繁華街から人通りが減り、サッカーの試合も中止になった。それでも、人々はパニックに陥ることなく、比較的冷静に家にとどまっている。
 感染者が出た米国や欧州諸国、韓国などでも事情は同じだ。

 感染発覚後、各国政府は事実関係を国民にかなり正直に伝え、冷静な対応を呼びかけた。
 各国メディアは感染拡大の様子やWHOの決定、空港での検疫強化の様子などを逐一報告。隠し事はほとんどない。
 こうした情報伝達があるから、「パニックになるな」という呼びかけも比較的素直に受け止められている。もちろん、新型インフルエンザが弱毒性にとどまっていることが大きいのは言うまでもない。

 SARSや鳥型インフルエンザの流行を機に、世界は国際連携の強化や正確な情報伝達の重要性などの教訓を得た。とりあえずは「学習効果」が出ている格好だ。

▼長期戦

 第3に新型インフルエンザとの戦いが長期戦になること。インフルエンザの流行は大きな山が1つあって終わり、というものではなく、第2派、第3派があるのが通常。とくに北半球が冬になる今年末からは、正念場になる。
 各国はそうしたシナリオをにらみながら、ワクチン製造など対応を検討している。

▼不確実性

 第4に問題は不確実性が大きく、今後どうなるか予断を許さないことだ。
 先進国や主要新興国の動きはこれまでのところ、上記のように冷静だ。しかし途上国には、国民への情報伝達ネットワークが未整備立ったり、そもそも政府が全く信用せれていない国も少なくない。そんな国に感染が広がった時に、先進国のように冷静な対応が期待できるか覚束ない。
 さらにインフルエンザは突然変異が多い。仮にウイルスが強毒性に変わった場合、事態は全く別のものになる。
 1918年のスペインかぜは全世界で2000-4000万人、57年のアジアかぜは100万人、68年の香港かぜは200万人の死者を出したといわれる。今回どの程度の被害になるかは、想像もつかない。
 
▼世界への影響

 世界は第2次大戦後最悪と言われる世界経済への対応に四苦八苦している。そこに今回の新型インフルエンザ。新たな別の何m今が加わったのみならず、経済にさらに悪影響を与えるのも確実だ。その悪影響がどんな形で、どの程度出るかは、まだ未知数としか言いようがない。
 とりあえず最初の1週間‐10日間は、学習効果が効いた。しかし、長期戦の1回の表が始まったばかり。Don't be panic(パニックになるな)は、各国(政府から)国民のみならず、政府自身にも向けられる。

20090503

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