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2008年12月

2008年12月28日 (日)

◆2008年回顧:金融危機とオバマ大統領誕生の年 2008.12.27

 2008年が間もなく終わる。今年は歴史的にも節目の年。金融危機と黒人初の米大統領誕生という大きなニュースがあり、1年前に比べて世界の風景は大きく変わった。

▼10大ニュース
 INCD Clubが選んだ2008年の10大ニュースは以下の通り。

(1)金融危機で世界経済混乱、同時不況に
(2)米大統領選の黒人のオバマ氏当選
(3)北京五輪開催、聖火リレーはチベット問題で混乱
(4)原油価格147ドルまで高騰、食料も上昇
(5)ロシアがグルジア侵攻、米欧との緊張高まる
(6)インド・ムンバイで同時テロ
(7)中国・四川で大地震、死者・不明者8万人
(8)ミャンマーでサイクロン災害、死者・不明者13万人
(9)アフガニスタン情勢悪化、パキスタンも政情不安定
(10)米が北朝鮮のテロ支援国家指定解除

 主要メディアの選択(下記参照)も順位の違いはあるが、金融危機・経済混乱と、米大統領選でのオバマ大統領誕生が2大ニュースであることは共通している。

 3位以下はぐっと離れて、中国の発展と問題点(北京五輪、チベット問題、四川地震)、ロシア新体制とグルジア紛争、イラク・アフガンの混乱と南アジアの不安定関連のニュースなどだ。

▼風景一変
 2008年を通じて、世界の風景は一変した。
 過去数年、世界の主要課題は、▽イラク、アフガン情勢を中心とした安全保障、▽米外交政策の新方向(単独主義破綻後の展開)、▽中国、インドなどの台頭、▽地球温暖化に代表される環境問題、▽グローバル化と世界経済の行方、などだった。
 2007年にはサブプライム問題の表面化で世界経済の行方に黄信号が灯ったが、まだカネ余りが続き、原油や資源価格が高騰。これまでの延長線上で経済がどのように推移して浮くかが焦点だった。
 しかし、金融危機で世界の金融システムは崩壊寸前を経験。実体経済はその後急激に悪化し、先進国経済はマイナス成長に陥った。世界はあれよあれよという間に同時不況に突入。数十年とか100年に一度の経済転換と言われる。

▼パラダイムの転換
 金融危機は単に経済悪化を招いただけではない。1980年代以降支配的だった自由市場重視型資本主義の理念が揺らぎ、市場経済と民主主義が歩調を合わせて進むという単純な楽観論は消えた。
 世界は新たな理念と国際協調の枠組みを模索し始めたが(G8→G20 への移行模索など)、具体的像は見えてこない。

▼社会情勢・安保悪化
 経済の悪化と米国の威信の低下は、政治・社会面にも影響している。
 イラクやアフガンでは、経済復興の遅れ→住民の不満が拡大→過激派の勢力伸長、という悪循環を断ち切れないでいる。経済悪化で情勢が深刻化する懸念がある。対テロ戦争前線のパキスタンなどは同様の悩みを抱え、世界各地では移民排斥などの兆候が出てきた。
 近年強権的な色彩を強めていたロシアは、グルジア紛争で米欧との緊張を一気に高めた。背景に米国の威信低下があるのは明らかだ。

▼希望のかがり火
 懸念材料が増加し不透明感が増す中で、最大の明るい話題は米大統領選でのオバマ氏の当選だ。米国史上初の黒人大統領当選は、人種の壁を超え世界史に新しいページを開いた。政策面でも、ブッシュ大統領時代の負の遺産(イラク戦争、経済、環境政策など)打開への期待は大きい。
 英Ficinaial TimesのLionel Barber編集長はオバマ氏を「希望のかがり火」(stood out as a beacon of hope)と表現した。オバマ政権スタートから100日は、米国のみならず世界にとっても極めて重要になる。

▼(補足)予想外れの1年
 ちなみに、識者やメディアの事前予想が今年ほど外れた年は珍しい。英FTの恒例の展望記事(2007年末掲載)は、金融は「危機」まで至ることなく何とか持ちこらえ、米国にはヒラリー・クリントン大統領が誕生。パキスタンのムシャラフ大統領は地位を維持すると予想した。外れぶりは、想像を超えた世界が変化した事実を映し出す。

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(参考)メディアの10大ニュース

▼時事通信
1.金融危機が世界に波及、株価暴落
2.米大統領選でオバマ氏当選
3.中国四川省で大地震、8万人超死亡
4.北京五輪開催
5.穀物など商品価格急騰、原油は1バレル147ドルに
6.チベット暴動、各地の聖火リレー混乱
7.ロシア軍がグルジア侵攻
8.米3大自動車メーカーの経営悪化、合併模索も
9.インド・ムンバイで同時テロ
10.北朝鮮のテロ支援国指定解除

▼共同通信
1. 米国発の金融危機が拡大、世界不況に
2. 第44代米大統領に民主党オバマ氏
3. 中国・四川省で大地震。死者・不明8万人
4. 原油価格、食料価格が高騰
5. 中国で初の五輪開催。チベットで暴動、聖火リレー混乱も
6. 米国が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除
7. ミャンマーを大型サイクロン直撃、死者・不明13万人
8. インド経済の中心地ムンバイで同時テロ
9. ロシアの新大統領就任。グルジアとの武力紛争勃発
10. アフガニスタンの治安が悪化

▼AP通信(米国内ニュースとの区分が不鮮明)
1.米大統領にオバマ氏当選 
2.景気悪化
3.原油価格
4.イラク情勢
5.北京五輪
6.中国・四川大地震
7.米大統領選でペイリン・アラスカ州知事が副大統領候補
8.インド・ムンバイのテロ
9.米次期国務長官にヒラリー・クリントン氏
10.ロシア・グルジア紛争

(2008.12.27)

2008年52号(12.21-27 通算444号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2008年12月21-27日
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◆印パ国境が緊張、パキスタンが部隊移動(26日)☆
・パキスタンは西部アフガン国境配置の軍の一部をインド国境に移動開始した。
・報道によると2万人を東部ラホール付近に展開する方針。
・北部のカシミールへの移動情報もある。
・印パ関係は先のムンバイ同時テロで緊張。これが更に高まる懸念がある。
・米国も事態を憂慮。冷静な対応を求めた。
・パキスタンのザリダル政権は基盤が弱く、軍や情報機関との関係も微妙。
・テロ後も調査協力を約束しながら、犯人引き渡しなどではインドと対立している。

◆ガス生産国の機関が発足(23日)☆
・天然ガス生産国11カ国が、国際機関の設立で合意した。
・モスクワで開催した閣僚級会議で決めた。
・将来はガス版PPECを創設し、輸出国カルテルにすることも視野に入れている。
・オブザーバー参加のノルウェーなども含めると埋蔵量は世界の7割になる。
・長期的に資源の勢力図に影響しそうだ。

◆中国の艦艇が海賊対策でソマリアへ(26日)☆
・中国海軍所属の艦艇3隻が海賊対策のためソマリア沖に出港した。
・ミサイル駆逐艦2隻と補給艦。ヘリ2機を搭載し、乗組員は約800人。
・中国が武力行使を伴う作戦目的で遠洋に艦艇派遣するのは初めて。
・国際社会における中国の存在感・役割拡大の一里塚になる。
・同地域では13日EUがNATOから任務を引き受け警戒にあたっている。
・26日にはドイツ海軍の艦が海賊船を撃退した。

◆イスラエルがガザを空爆(27日)
・イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザの約30カ所を空爆した。
・過去半年で最大規模の攻撃。死者は140以上の模様。
・ガザでは19日に半年間の停戦が失効。相互の攻撃が拡大していた。
・パレスチナ和平はイスラエルの政局混乱、パレスチナ内紛で停滞している。

◆ベルギー内閣総辞職、再び空白の危機(19日)
・ベルギーのムテルム首相が総辞職を表明。22日国王に受理された。
・大手銀行フォルティスの売却に絡み司法介入の責任を問われていた。
・ベルギーでは2007年6月の総選挙後、連立工作が難航。
・9か月の空白を経て、08年3月にルテルム連立政権が発足したばかり。
・再び政府不在の政治空白に直面する。
・ベルギーは仏語と蘭語住民などが住む連邦国家で、分離を求める声も強い。
・国のあり方を問うモデルケースとしても注目されている。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【今週は静か】 2008年最終週となった今週の動きは比較的静か。目下の最大の関心事である経済危機も大見出しになるような動きはなかった。

 【時代の節目の年】 その2008年を振り返ると、世界の風景は大きく変わった。詳しくは「2008年回顧」にまとめた通りだが、過去半世紀では1973年(石油危機)、1989年(東欧革命、冷戦終了)、1991年(湾岸戦争、ソ連崩壊)、2001年(9.11、アフガン戦争)あたりに匹敵する節目の年といえるだろう。

 【記憶に残るシーン(^^)】 10大ニュースをマジメに考えると「2008年回顧」の通りだが、記憶に残ったシーン(^^)を上げれば次のようなところか。▽北京五輪聖火リレー妨害シーン▽金融危機で私物を運び出すリーマン社員▽海賊による巨大タンカー乗っ取り▽ムンバイ・テロ▽ブッシュ米大統領への靴攻撃

 【アフリカ】 今週のベスト5からは外れたが、西アフリカのギニアで大統領の死後クーデターが発生。政情が混乱している。アフリカと言えばジンバブエ情勢(政治混乱の後、コレラが流行)やコンゴ東部の混乱、ダルフール情勢なども重要だが、年間の10大ニュースには入れようもなかった。いずれも現地では大勢の人が影響を受け、人道的観点からは重大だ。しかし、世界への影響を考えると限定的になってしまう。そうした厳しい現実を冷静に受け止めつつも、時々思いをはせることを忘れてはならない。

◎今週の注目: 2008年12月28日-2009年1月3日
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・激動の2008年が終了。2009年が始まる。世界同時不況への対応、安全保障の維持などの課題を踏まえ、世界のリーダーたちがどんな新年メッセージを発するか。識者やメディアの世界展望にも注目。

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2008年12月21日 (日)

◆米ゼロ金利と世界経済 2008.12.20

 米FRBが実質的ゼロ金利を採用、量的緩和政策を正式に表明した。市場の事前予想を超える思い切った判断は、金融危機と経済悪化への強い危機感の表れだ。世界の経済と政策は従来の常識が通用しない未踏の領域に入った状況で年を越す。

▼未踏の領域
 米FRBが16日の公開市場委員会で採択した決定は、市場の事前予想を超える大胆な内容だった。
 金利は、FF金利の誘導目標(政策金利)をそれまでの1.0%から0-0.25%に引き下げ、実質的なゼロ金利政策を採択した。ゼロ金利は無論、誘導目標に幅をつけるのも初めて。英語ではnearly zeroという表現だ。
 同時にFRBのバランスシートを高い水準で維持すると表明した。国債やCPなどの買い入れを通じ、市場に資金を大量に供給し続けることを意味する。すでにFRBは金融危機後こうした運用を実施し、資産は2007年8月の8700億ドルから現在は2.2兆ドルへと倍以上に増えている(増加分のほとんどはCPや社債など従来買い入れが少なかったもの)。こうした「量的緩和政策」を公式表明した。
 金融政策の運営目標は金利から資金量に変わった。量的緩和政策を採用した面では2000年代初頭の日本と同じだが、手法は異なる。
 また、景気回復と物価安定のために「あらゆる手段を動員する」(FRB will employ all available tools to promote the resumption of sustainable economic growth and to preserve price stability)と表明。恐慌回避とデフレ防止への強い意思を示した。

▼評価は分かれる
 決定に対する評価は複雑だ。共通しているのは、今回の判断を「歴史的」(英Financial Timesなど)と位置づけ、未知の領域に入ったという認識を示していること。FTは「海路のない水域に深く進んだ」(moved deeper into uncharted waters)と表現した。
 ただ、その先の評価となると難しい。米WSJ紙は"Bernanke goes all in" (バーナンキは全てを賭けた)と社説を掲載。ポーカーで全てのチップを賭ける行為に例えながら、あまり効果が期待できないわりにリスクが大きいとやや批判的な論調を掲載。これに対しFT は「賭け」(Bernanke is taking a gamble)としながら、他に方法はないと擁護する姿勢も見せた。メディアの論調も、未知の領域であるが故にか、歯切れがいいとはいいかねる。
 発表を受けて為替市場ではドル安が急進展した。一方、株式市場ではNYダウが大幅反発したが、市場の大きな流れが変わったという感じではない。

▼非常時の経済
 ブラウン英首相をはじめとする各国政治リーダーや、今年のノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン教授らは、現在の経済を異常時と強調。そのようなときには非常時の経済政策が必要と主張する。
 主要国は9月以降、金融機関の破綻防止や景気対策に大量の公的資金を投入。巨額の財政赤字に目をつぶる政策を進めた。平時では決して考えられない財政規律無視の経済運営だ。
 FRBの決定は、金融政策面も「非常時モード」に変わったことを印象付ける。

▼足下の世界経済動向
 その「非常事態下の世界経済」を簡単に描写すれば、▽金融危機がなお続き、▽実体経済の悪化が急速に進展し同時不況入りした、という状態だろう。12月以降の動きを中心に足下の主な動きをまとめると以下の通りだ。

(1)マクロ経済
‐世界同時不況: 日欧米の先進国はすでに4半期ベースでマイナス成長に陥り、景気後退局面に入った。中国、インドなど新興国も減速。2009年の経済は先進国はマイナス成長、世界全体でも0%台になりそうだ。
‐経済データ悪化: 11月以降の経済データの悪化は凄まじい。主要国の鉱工業生産、設備投資、消費などのデータは軒並み過去最大級の悪化。自動車販売、住宅着工など2ケタ以上のマイナスだ。米11月住宅着工は前年比19%減で過去最低水準を更新した。欧州の11月の自動車販売は26%減。悪化はなお進みそうだ。
‐雇用: 雇用悪化は11月ごろから加速した。米国の11月の雇用者数は53万人減少。失業率は今年10月の6.5%から来年は7.5%に上昇しそう。欧州でも失業率が急速に上昇、スペインは来年15%に達する見込み。
‐物価: 米国の11月の消費者物価は前月比マイナス1.7%となり、物価下落に転じた。ユーロ圏の11月の消費者部下J交渉率は前月比1.1ポイント減の2.1%。焦点はインフレ懸念からデフレ懸念に変わっている。

(2)産業・企業
‐負の連鎖: 全世界的に業績悪化→事業計画の縮小・人員削減の負の連鎖が続く。トヨタショック(業績大幅下方修正、事業計画縮小)、ソニーショック(1万6000人の人員削減)など目白押し。
‐倒産リスク: 有名企業の破綻が目立つ。ポラドイド、ウールワースなど金融危機でとどめを刺された。目下の最大焦点は米自動車産業の救済論議。破綻となれば影響は計り知れない。
‐貸し渋り: 金融機関から十分な融資を受けられないケースも、各国で目立ち始めた。資金調達支援も政策課題になっている。

(3)金融システムと金融機関
‐金融機関: 大手金融機関が相次ぎ破綻に直面した9、10月ほどの緊迫感はないが、経営悪化、危機表面化はくすぶり続ける。金融機関の赤字決算も続く(前週はゴールド・マンサックスとモルガンスタンレーなど)。
‐損失処理: 欧米の金融機関が住宅ローンやCDS関連などで処理した損失額は、昨年以来1兆ドルになる。しかし、損失額全体の3分の1程度に過ぎないとの見方もある。山場を越えたとはとても言えない。
‐公的支援: 政府・金融当局は資金供給、公的資金による国有化、預金の保証などを通じ、ここの危機が金融システムの破綻に及ばないよう支援体制を維持している。前週はアイルランドが追加支援策を発表した。9-10月の学習を生かしている。

(4)マーケット
‐株価: 株価は年初来、日米欧で50%程度、新興国では50-80%程度下落した。なお反転の兆しはなおない。
‐為替: 10-11月は金融危機の異常な環境下でドル高が進んだ。米企業やファンドが自国通貨のドル確保に走ったことなどが影響した。12月に入り、ユーロ高が進展。目下強含みはユーロと円だ。材料になるのは金利差や経済条件、決算対策のための特定通貨確保(上記の例など)など様々。いずれにしろ、不安定(volitile)な状態が続く。
‐原油: NY原油先物は12月19日に一時1バレル=32ドル台まで低下。7月11日の147ドルから5か月で4分の1に下がり、イラク戦争前の状況に戻った。
‐信用収縮: 世界の株価式の時価総額は、ピーク時の半分に相当する30兆ドルが失われた。資金は安全資産に逃避。信用収縮が進む。

(5)経済政策・公的部門の状況
‐財政赤字拡大: 米国の財政赤字は2008会計年度(08.9まで)に4550億ドルと過去最大を記録。2009会計年度は最初の2か月ですでに4000億ドルと凄まじい勢いで拡大している。GDP比は08年度が3.2%。09年度はどこまで拡大するか注目だ。過去GDP比で最大は83年の6%。EUは財政規律のGDP比3%以内が、向こう2年は例外になる情勢。
 
▼視界不透明
 世界経済は視界不良の状況が続きそうだ。
 最も懸念されるのは、経済が底割れし恐慌に陥ること。大恐慌時には、米国の場合GDPが3分の2以下に減少。失業率は25%に達した。社会不安から第2次大戦が発生した。各国政府や金融当局が非常時モードで対策に努めるのも、こうした事態を何としても回避するためだ。
 最悪の事態を回避できたとしても、経済悪化がしばらく続くのは確実。IMFは来年早々、経済見通しを下方修正する。楽観的な見通しでも、経済回復は来年後半以上だ。
 9月のリーマン・ショック以来、世界はアイスランド危機、マイナス成長への転落、シティ・グループ危機、米自動車業界危機など色々なショックに見舞われた。来年も同様のショックを覚悟すべきだろう。

2008.12.20

2008年51号(12.14-20 通算443号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2008年12月14-20日
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◆米、実質ゼロ金利(16日)☆☆
・FRBはFF金利の誘導目標を0-0.25%に切り下げ。実質ゼロ金利にした。
・同時に市場に資金供給を拡大する量的緩和政策の導入を表明した。
・実質ゼロ金利、量的緩和政策とも初めて。
・世界的な金融危機、経済危機に対応し、前例のない決断をした。
・米金融政策は未踏領域に入った。

◆米自動車救済につなぎ融資(19日)☆
・ブッシュ大統領はGMとクライスラーにつなぎ融資実施を発表した。
・最大174億ドルで、金融救済法に基づく公的資金を活用する。
・両社の破綻は景気後退を深刻化すると判断。破綻をひとまず回避する。
・2社には3月までに再建策策定を要求。メディアは3か月の猶予と報じた。
・本格的な救済・再建議論はオバマ政権に持ち越す。

◆タイ首相に反タクシン派アピシット氏(15日)☆
・国会は首相に反タクシン派の民主党アピシット党首を選出した。
・旧タクシン派の一部議員らの支持を獲得。連立政権を発足させる。
・同国政治は、反タクシン派の抗議行動で空港が閉鎖するなど混乱。
・憲法裁は2日、タクシン派のソムチャイ首相の失職と与党解党を命じた。
・政変は、野党と軍、司法などによる武力なきクーデターの色合いがある。
・タクシン派は抗議デモを展開。政局の行方はなお不透明だ。
・タイでは06年からの軍政の後、昨年12月の総選挙でタクシン派が勝利した。
・しかし都市中間層を基盤とする野党や軍は反発。対立が続いている。

◆ナスダック元会長による詐欺被害拡大 ☆(^^) 
・マドフ・ナスダック元会長による詐欺の被害が広がっている。
・元会長はファンドを運営。ねずみ講に似た手口で資金を集めた。
・FBIは11日、同氏を詐欺の疑いで逮捕した。
・米欧金融機関などで相次ぎ被害が表面化。総額500億ドルとも言われる。
・前代未聞の詐欺で、金融バブル時代のあだ花的な面がある。
・事件を契機にヘッジファンドの開示不足への批判が高まる可能性もある。
・ねずみ講は英語ではPonzi Schieme。

◆米大統領に靴、イラクを最後の訪問(14日) ☆(^^)
・ブッシュ米大統領がバクダッドを予告なしに訪問した。
・訪問は4回目で、来年1月の退任前の最後の訪問と見られる。
・会見ではイラク人記者に靴を投げつけられた。
・危うく避けたが、全世界に中継され、地元の感情を見せ付ける格好になった。
・訪問中マリキ首相との間で、米軍の駐留を3年認める地位協定に著名した。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【揺れる世界】 年末になっても世界が揺れ動いている。金融不安、経済悪化のニュースは依然目白押し。米国の実質ゼロ金利導入、米自動車業界救済(つなぎ融資)など大見出しのニュースが相次ぐ。政治ではブッシュ米大統領のイラク、アフガン訪問、ブラウン英首相のイラク訪問(2009年前半の英軍撤退表明)、タイ情勢急変、ロシアのウクライナへのガス供給停止警告、ジンバブエ情勢悪化、オバマ次期米大統領の閣僚決定(環境政策は転換)など重要な動きが続く。ゆっくり年末回顧、というムードになりにくい。英Economist誌が12月初めに発売する恒例の「新年展望」も、何か間が抜けている感じだ。

 【Person of the year】 米Time誌恒例の「今年の人」にオバマ次期大統領が選ばれた。選択には毎年異論があるが、今年は反対者は少ないのではないか。超大国米国における黒人初の大統領は、政治的にも社会・文化的にも歴史的。金融危機で暗い年にあって、人々に希望を与える出来事といっていい。

 【靴攻撃】 バクダッドで会見中のブッシュ米大統領への靴攻撃は、色々な意味で印象的だった。イラク人記者が叫んだ「犬め」は、イスラム世界では最大級の侮蔑の言葉。靴を投げつけるのはイラクでは最大の侮辱だ。逮捕された記者は中東では人気者となり、イラクでは支持のデモも起きた。
 米国がサダム・フセイン政権を打倒したことへの意見は地元でも割れる。足下の治安維持のために米軍の駐在継続を望む声がある多いのも事実だ(地位協定調印はそのため)。それでも、反米感情はとてつもなく強い。英語のメディアは"shoe attack"という言葉とともにそんな雰囲気を伝えた。

 【史上最低級の大統領評価】 ブッシュ米大統領の8年を回顧する特集が増えた。イラク戦争の失敗などで評判は芳しくなく、歴代大統領でも最低クラスの評価になるという見方が多い。8年間に米国の威信・影響力は否定のしようがないほど低下した。民主党支持者だけでなく、共和党の政治家や専門家からも辛辣なコメントが出る。
 イラク戦争へと駆り立てた米単独主義はすでに事実上撤回。自由経済至上主義も金融危機で破綻した。大統領は歴史の評価にどう向き合おうとしているのだろうか。

◎今週の注目: 2008年12月21-27日
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・クリスマス休暇で普段の年なら静かな時期になるが、今年は金融危機、経済悪化など注目の材料に欠かない。まだまだ予想外の動きがありそうだ。

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2008年12月14日 (日)

2008年50号(12.7-13 通算442号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2008年12月7-13日
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◆米自動車業界救済迷走、上院が決裂(11日)☆
・米自動車業界救済を巡る米上院の議論が11日決裂した。
・つなぎ融資を優先させる内容だったが、条件面で合意に失敗した。
・予想外の決裂に市場では株安、ドル安が進んだ。
・ホワイトハウスは12日緊急声明を発表。代替案検討を表明した。
・金融救済法案に基づき公的資金で救済する案などを検討する。
・Big3破綻→経済底抜けを何としても回避の構えだが、視界は不良だ。
・政治の調整力不足→経済対策後手が今回も表面化した形だ。

◆経済悪化、各地で大型人員削減相次ぐ ☆
・実体経済の悪化が加速。世界各地で人員削減や事業縮小が相次ぐ。
・ソニーは9日、正社員8000人削減を核とするリストラ案を発表。
・バンク・オブ・アメリカは11日3.5万人の削減を発表した。
・米国では11月に雇用者数が53万人減少した。

◆WTO交渉、年内大筋合意断念(12日)☆
・WTOのラミー事務総長は6日、ラウンド交渉合意に向けた案を発表した。
・年内の閣僚会議開催→大枠合意を目指したもの。
・しかし12日になって閣僚会議開催は困難と発表。年内合意を断念した。
・案は鉱工業品や農産物の関税撤廃や緊急輸入制限のルールを提示。
・しかし米国と中印などの対立が続いた。
・新ラウンド交渉は7月の閣僚会議で決裂している。
・金融危機後、G20首脳は保護主義台頭回避のため年内合意を訴えていた。

◆6カ国協議物、検証で物別れ(8-11日)
・北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議が北京で開催。
・核懸賞手続きの文書化について合意が得られないまま閉幕した。
・これを受け米国は12日、重油供給を停止すると表明した。
・問題は展望が見えないまま、オバマ政権に引き継がれる。

◆日中韓が首脳会議(13日)
・麻生、温家宝首相と李明博大統領が福岡で首脳会議を開催した。
・ASEAN会議などの場を利用しない単独開催は初めて。
・金融危機への対応などを協議。首脳会議の毎年開催で合意した。
・東アジア主要3カ国の対話強化の一環となる。
・ただし、欧州や東南アジアに比べると数10年遅れている。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【米国の政治機能不全】 米議会の自動車業界救済協議が決裂。救済法案は11日まさかの不成立となった。これを受けて市場はドル安が進むなど混乱。ただでさえ悪化している経済の行方を一段と不透明にした。
 9月末に金融救済法案がいったん否決され、市場に大混乱を引き起こしたのと似たパターンだ。未曾有の経済危機の時に、米政権は完全にレームダック。政治の機能不全が、ボタンの掛け違い→大恐慌のリスクを高めている。

 【世界の政治調整力】 世界的にも政治力の不足が目につく。WTOのラミー事務局長は新ラウンドの年内大枠合意を目指して案を発表。閣僚会議の開催を目論んだが、失敗した。11月のG20首脳会議で、年内大枠合意をうたったのにもかかわらずだ。
 各国は口先では「保護主義の台頭阻止」を強調する。しかし中国は人民元の下落を黙認、ロシアは一部関税の引き上げに動くなど、自国経済保護に動きがち。政治のリーダーシップが問われる。  

 【オバマ政権の経済政策】 オバマ次期大統領は6日のラジオ演説で経済対策の概要を発表した。2年間で250万人の雇用創出という目標を表明。大型公共投資を実施する構え。「新ニュー・ディール」などという解説もある。ただし、詳細はまだだ。
 オバマ氏は閣僚を早めに指名するなど、経済対策を最優先課題に位置づけている。しかし、ブッシュ現政権との連帯責任を回避するため、距離を置いているのも事実。中身とともに、その繰り出し方が注目だ。

◎今週の注目: 2008年12月14-20日
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・引き続き米自動車業界救済論議に注目。
・15‐16日に米FRBが公開市場委員会。

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2008年12月 7日 (日)

2008年49号(11.30-12.6 通算441号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2008年11月30日-12月6日
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◆米次期国務長官にクリントン氏、オバマ政権骨格決定(1日)☆
・オバマ次期大統領は外交・安保関係の閣僚を発表した。
・国務長官はヒラリー・クリントン氏を登用。ゲーツ国防長官は続投。
・クリントン氏は大統領選予備選を争い、感情的しこりもあるとされる。
・しかし知名度を重視。ライバルを取り込み挙党態勢を築く。
・財務長官などはすでに発表済みで、オバマ政権の骨格が固まった。
・クリントン元大統領人脈の活用、重鎮結集のスター政権などが指摘される。

◆タイのソムチャイ政権崩壊、混乱は続く(2日)☆
・憲法裁判所は「国民の力党」など与党3党に解党を命じる判決を下した。
・ソムチャイ首相らには5年間の政治活動停止を命令。首相は失職した。
・政権は発足から2カ月余りで崩壊した。
・首相退陣を求めて空港を占拠していたPADは撤去。空港は再開した。
・新首相は当初予定で8日に選ぶ予定。与野党の駆け引きが白熱している。
・野党は6日、一部旧与党議員を加え連立政権樹立に意欲を示した。
・一方与党も別の政党に鞍替えし政権を維持する構え。
・今回の判決は、司法によるクーデターとも解釈できる。
・空港封鎖という異常事態は当面解除されたが、タイ政局の混乱は続く。

◆欧州が利下げ(4日)☆
・欧州の中銀が相次いで利下げに踏み切った。
・欧州中銀は3.25→2.5%に利下げ。0.75%の下げ幅はユーロ導入以来最大。
・英中銀は3→2%に下げ。金利は1951年以来の低水準になった。
・スウェーデン中銀なども利下げした。
・欧州が一斉に利下げするのは3カ月連続。
・景気後退が深刻化する一方、インフレ懸念は後退している。

◆NATO、ロシアとの対話再開、グルジア加盟交渉は先送り(2日)☆
・NATOが外相理事会で、ロシアとの対話を再開を決めた。
・対話は8月のグルジア紛争以降凍結していた。
・グルジアとウクライナの加盟候補国認定は見送り。先送りした。
・NATOとロシアの関係悪化は、問題を抱えながらひとまず修復に向かう。

◆ダライ・ラマと仏大統領会談(6日)
・ダライ・ラマ14世とサルコジ仏大統領がポーランドで会談した。
・グダニスクでの記念式典参加を機に実現した。
・中国は会談の反発している。
・チベット問題を巡る中国とダライ・ラマ側の交渉は最近成果なく終了。
・チベット亡命政府内には対話路線修正の声が出ている。
・中国は問題への姿勢を硬化。先月末のEU・中国首脳会議を中止した。
・チベット問題は再度、国際的な関心を集めている。

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◎寸評:of the Week
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 【12月】 今年も12月。足下の情勢急変で、年末回顧に時間をかけるムードではないが、1年前に比べ風景は様変わりであることはいやでも実感する。大恐慌以来という金融危機、米史上初の黒人大統領誕生。歴史に残る大事ニュースが相次いだ2008年は、最後の月でどう変わるか。

 【クリントン・チーム】 オバマ次期米大統領の閣僚がおおむね固まった。最大の話題はヒラリー・クリントン上院議員の国務長官起用だ。クリントン氏の知名度の活用、挙党態勢確立などが狙いだろうが、政権内対立の不安、改革(change)のイメージへの逆行など懸念材料を抱えたのも事実。英Financial Time社説の指摘するようにギャンブル(Obama's Gamble)であることは間違いないだろう。

 【ブッシュ大統領の告白】 ブッシュ米大統領が1日放送のABCテレビとのインタビューで、任期中の最大の痛恨事は「イラクでの情報活動で失敗したこと」と述べた。「戦争への備えができていなかった」とも語った。自身の政策の失敗を、退任前にここまで率直に述べるのは異例だ。
 もともとブッシュ大統領は人柄の良さで大統領選に勝った面がある。当初実現を目指したのも「思いやりのある保守」だった。それが9.11以降テロとの戦争を前面に押し出し、イラク戦争へと突入。さらには未曾有の金融危機で、市場重視の経済政策も抜本的に見直しを迫られた。心中は何を思うか。
 退任後の回顧録で、正直な思いを書いてくれたら面白い。

 【経済悪化】 経済悪化のニュースが続く。米有力シンクタンクの全米経済研究所(NBER)は米経済が2007年12月から景気後退に入ったと正式に宣言。欧州の中央銀行は3カ月連続で利下げを実施した。クリスマスをにらんだ商戦は不調。自動車の売れ行きは大幅に落ち込んでいる。景気対策は欧州や米国でとりあえずのメニューが示されたが、早晩2の矢、3の矢が出てくるだろう。

◎今週の注目: 2008年12月7-13日
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・米自動車業界の救済論議が山場を迎える。ビッグ3各社は2日、独自の再建計画を提出。これを受けて議会での審議が佳境を迎えている。行方は予断を許さない。
・ノーベル賞の授賞式が12月10日。
・EU首脳会議が11-12日。
・ASEAN首脳会議や東アジア首脳会議など一連の会議が13日からタイのチェンマイで予定されている。タイ情勢の混乱で会議の開催そのものがどうなるかも含め流動的。要注目だ。
・北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議が8日開催の予定。

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