« 2008年9月 | トップページ | 2008年11月 »

2008年10月

2008年10月26日 (日)

◆金融危機:新興国に波及 2008.10.25

 9.15のリーマン破綻から6週間目。混乱は形を変えて、色々なところで表面化している。足元の焦点は(1)株安、商品価格の下落(原油、穀物など)、通貨の乱高下など市場の動揺(2)新興国の危機(3)実体経済の悪化だ。

▼6週目までの進展

 金融危機発生後の動向は、広範かつ複雑でとても簡単にはまとめきれない。それでもあえて整理してみると、以下のようになるだろう。

第1週(9.15-) 米国で金融危機発生(リーマン破綻など)
        システム破綻防止に対処療法(AIGなど個別救済、市場に資金供給)
第2週(9.21-) 危機拡大、欧州にも飛び火
第3週(9.28-) 米救済対応もたつきの末に可決(下院がいったん否決) 
第4週(10.5-) 世界的な株式下落、新興国・周辺国危機表面化(アイスランド)
        英国が資本注入へ先弁  
第5週(10.12-) 米が公的資金による資本注入決定(欧州先行を受け)
第6週(10.19-) 新興国の危機拡大、実体経済悪化鮮明に。

 この間、いくつもの金融機関が破綻に直面し各国当局が必至の救済措置で対応した。金融当局は大量の資金提供で流動性危機に対応。金融システムの破綻をなんとか食い止めた。
 市場は混乱を続け、株、商品(原油、穀物など)は大幅に下落。通貨はドル安→欧州通貨安へと流れを変えながら、乱高下している(目下は円の独歩高局面)。ボラティリティ(変動率)が異常に高い状態が続いている。
 銀行の国有化や政府の保障が急速に進み、6週間で国家が支援しなければ資本主義経済が維持できない状態に様変わりした。経済学的にはとにかく、人々の認識の上では新自由主義は終焉した感じだ。
 この間、実体経済の悪化は加速。世界的な不況に直面している。

▼新興国危機

 ここにきて顕著になったのが新興国の危機。これまで高金利や経済成長期待で流れ込んでいた資金が一斉に逆流。通貨価値が下落し、資金繰りがつかなくなるリスクに直面している。

 6週間で約20%以上下落した通貨は、南アフリカ、トルコ、ブラジル、韓国、アイスランド、ハンガリー、ポーランド、オーストラリアなど。広範な国家で資金繰りが行き詰れば、1997-8年のアジア通貨危機の再来になりかねない。

 ベラルーシ、パキスタンはIMFに支援を要請した。ハンガリーやアイスランドも要請を検討している。IMFは前向きに応じる姿勢だ。これも、放置していたら危機が全世界に拡大するからだ。欧州中銀がハンガリーなど周辺国の支援をするのも同じ理由だ。

 ロシアやデンマークは介入や利上げで通貨防衛に必死だ。危機の局面は続く。

▼次の焦点

 金融危機により、実体経済の悪化は急速に進んでいる。英国は16年景気が終わり7-9月にマイナス成長に落ち込んだ。米国や欧州各国が近く発表する統計も悪い数字が出るのは確実だ。先進国の景気後退入りは現実のものになった。

 IMFは世界の金融機関の抱える損失を1.4兆ドルと試算した。しかし実体経済の悪化が進めばさらに膨らむ可能性が大きい。市場関係者の間では2-3兆ドルという見方が根強い。そうだとすれば、これまでの処理みはまだ半分-3分の1程度。不良債権処理は「山を越えた」とはとても言えない。

 先行き不透明な状況は続く。危機の第2波、第3波は覚悟しておいた方がいい。当面の焦点を整理すれば以下あたりだろう。

 市場の動向=ボラティリティの高い状況が続く。混乱再来は必至。
 個別金融機関の破綻=継続的に表面化。当局の救済が続き、業界再編が進む。
 新興国危機=周辺国→ロシアや中東はどうなるか。
 追加救済策=各国、国際レベルで追加策が欠かせない。当面は11.15のG20首脳会議
 実体経済=不況はどこまで悪化し、長期化するか。
 米新大統領=政治的リーダーシップをどう出すか。

(2008.10.24)

2008年43号(10.19-25 通算435号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2008年10月19-25日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆金融危機、新興国に波及 ☆
・世界的金融危機は新興国に波及。資金流出→破綻懸念が相次ぎ表面化した。
・南ア、トルコ、ブラジル、アイスランド、ハンガリー、韓国などの通貨が大幅下落。
・パキスタンとベラルーシは22日、IMFに支援を要請した。
・高金利や高成長期待で流入した資金が逆流している。
・株価や商品価格(原油、穀物)は下落。通貨は欧州通貨安、円独歩高が進んだ。

◆英国、16年ぶりにマイナス成長(24日)☆
・英国の7-9月の成長率(速報値)は前期比マイナス0.5%を記録。
・92年4-6期以来約16年ぶりにマイナス成長になった。
・英経済は経済グローバル下の成功事例の象徴だったが、金融危機で後退局面に入る。
・米国や欧州主要国、日本も景気後退入りした模様。
・中国の7-9月の成長率は前年比9%と、約3年ぶりに1桁。途上国も減速している。

◆OPEC原産合意(24日)☆
・OPECはウィーンでの臨時総会で、日量150万バレルの減産を決めた。
・原油価格下落に歯止めをかける狙い。
・原油価格は一時の150ドル近くから60ドル台に低下している。
・ただ減産で下落傾向が変わるとの見方は少ない。追加減産が焦点になる。

◆米大統領選、オバマ有利が一段と鮮明に
・各種世論調査などの結果、オバマ候補の有利が一段と鮮明になった。
・パウエル前国務長官は19日のテレビ番組で、オバマ氏支持を表明した。
・共和党政権の閣僚が民主党候補の支持を表明するのは異例。
・よほどのサプライズなければオバマ大統領当選の可能性が高まった。
・議会選も民主党優位の状況。

◆インドが宇宙ロケット打ち上げ(22日)
・インドは月無人探査機を打ち上げた。
・今後2年間調査活動を行う。
・探査機打ち上げは米、ロシア(旧ソ連)、欧州、日本、中国に次ぐ。
・宇宙開発競争にインドも本格的に参戦した格好。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────
 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【市場動乱】 金融危機は6週間が経過。市場混乱、新興国危機など形を変えて世界経済を揺さぶっている。日本でも13年ぶりの円高や日経平均株価の急落など、影響が大きく及んでいる。

 【米大統領選あと10日】 米大統領選まであと10日になった。世論調査では民主党・オバマ候補の優位が鮮明になり、よほどのことがなければ初の黒人大統領が実現する。波乱要因があるとすれば、大ニュースの発生か、黒人候補の得票は世論調査より低くなるという「ブラッドリー効果」が極端に出ることくらいだろう。
 それにしても大統領選への世界の関心の盛り上がりは、予想外に小さい。それだけ金融危機のインパクトが大きいということだ。

◎今週の注目: 2008年10月26日-11月1日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・引き続き金融危機の行方。28日にはFRBが公開市場委員会。
・米大統領選は選挙戦の最終週に入る。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2008 INCD-club

2008年10月19日 (日)

◆金融危機:公的資金投入→次の段階へ 2008.10.18

 金融危機への対応は、12-18日の週に1つの節目を越えた感がする。米欧主要国が相次いで公的資金による大手銀行への資本注入を発表。国家による直接救済は、わずか1週間で検討から「既成事実」になった。各国は協調を強め、欧米主要国による周辺弱小国救済の枠組みづくりも動き始めた。ただこれで今後の不安が晴れるわけではもちろんない。実体経済の悪化は急速に進んでおり、先行き不透明が続く。

▼資本注入、相次ぎ実現
 ブッシュン米大統領は14日、大手銀行9行に計1250億ドルの資本注入を柱とする金融危機対策を発表した。対象はシティグループ、JPモルガン・チェースなど。先に成立した金融救済法で定めた最大7000億ドルのうち、2500億ドルを資本注入に活用する。
 米社会では税金を使った金融機関救済への反対が根強いが、金融システム破綻回避のためには避けられないと判断した。
 先立つ13日にはメルケル独首相とサルコジ仏大統領がそれぞれ危機対策を発表。資本注有に各100億ユーロ、400億ユーロを充てると説明した。
 英国は13日、RBSなど3行に最大370億ポンドを資本注入。部分国有化を決めた。スイスも16日、UBSに60億スイスフランの注入を発表した。

▼国際協調
 国際協調は進んだ。前週(10日)のG7財務相・中銀総裁会議に続き、12日にはユーロ圏15カ国が首脳会議を開催。銀行間取引を事実上政府保証する方針を決めた。15日にはEU首脳会議を開催し、周辺国の支援などを打ち出した。
 欧州中銀は15日、スイスにスイス・フランを資金提供すると発表。16日にはハンガリー中銀に最大50億ユーロの緊急融資を実施すると発表した。
 周辺国の金融機関破綻→金融システムの崩壊という連鎖を断ち切る策だ。
 G8は15日緊急声明を発表。危機脱出に向けた政治的意志を示した。

▼メニュー出そろう
 9月中旬に金融危機が発生してから、欧米各国はまず流動性確保のために大量の資金を供給した。同時に、破綻に直面した金融機関を個別に救済(米AIG、ベルギーのフォルティスなど)。また、国民の不安解消のため預金の全額保証をするなどの策を打ち出してきた。
 しかし、資産悪化で傷んだ金融機関の救済なしには危機脱出は望めない。こうした見方は、関係者の間では以前から常識。その柱が公的資金投入による金融機関救済(資本注入)だ。資本注入の決定で、メニューがひとまず出そろった格好だ。

▼多くの詰め
 ただ、メニューはまだ大枠が決まっただけ。資本注入にしても、具体的な実施方法は決まっていないことが多い。国による株式取得の方法、経営者の責任など様々だ。これがうまくできなければ、効果は上がらない。ボタンをかけ間違えるリスクは、なお消えない。

▼経済悪化加速
 そうする間に、実体経済の悪化が加速してきた。欧米は発表する経済指標は軒並み不振。先進国はすでに景気減速→後退に入ったとの観測が強い。
 ロシアや中東にも金融不安の波が及び、混乱が始まった。新興国の経済の減速は、鮮明になってきた。「世界同時不況」という言葉もメディアをにぎわし始めた。
 経済が悪化すれば不動産価格の一段の下落→金融機関の資産の悪化→新たな金融危機へと進みかねない。

▼グルーグマン教授の予測
 資本注入決定など一連の動きを見て、折しも今年度のノーベル経済学賞受賞が決まったポール・クルーグマン米プリンストン大教授は、資本注入決定など一連の動きを見て、金融システム崩壊は回避できるだろうとの見方を示した。しかし同時に、不況の長期化を予想する。
 緊迫した状態は、なお続く。

(2008.10.18)

2008年42号(10.12-18 通算434号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2008年10月12-18日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆金融危機、欧米が相次ぎ公的資金投入 ☆☆
・欧米各国は公的資金注入を柱にした金融危機対策を相次ぎ実施した。
・米国は14日、大手9行に1250億ドルの公的資金を注入すると発表した。
・独仏は13日、各1000億、400億ユーロの資本注入を含む危機対策を発表。
・英国は13日RSBなど3行に注入を発表。スイスはUBSに資本注入する。
・欧州中銀は15日スイスへの資金供給策を発表。16日ハンガリー中銀に緊急融資した。
・G8は15日金融危機対応で協力を強調する緊急声明を発表した。
・当面の危機対応策メニューを打ち出した格好。しかし行方はなお不透明だ。

◆世界経済悪化進む ☆
・金融危機の影響で、世界経済の悪化が進んでいる。
・米FRBは15日ベージュブックを発表。米全地域で9月の経済が悪化した。
・16日発表の9月の鉱工業生産指数は34年ぶりの落ち込み。
・欧州各国でも経済指標は軒並み悪化している。
・主要先進国は7-9月期からマイナス成長になった、との見方も強まっている。

◆原油、穀物価格下落(16日)☆
・原油や穀物価格が急速に下落している。
・16日のNY原油先物は1年2か月ぶりに1バレル70ドルを割った。
・景気悪化、投機家の資金繰り悪化などが原因。
・小麦や大豆など穀物価格もピーク時の半値程度まで下がった。

◆米大統領選、オバマ氏優位鮮明に(15日)☆
・11月4日投票の米大統領選は、民主党オバマ候補の優位が鮮明になった。
・15日に最後のテレビ討論を終了。マケイン氏による形勢逆転はなかった。
・世論調査では約10%の差が付き、接戦州でもオバマ優位が動かない。
・LAタイムズなど米紙も相次いでオバマ支持を打ち出した。

◆GM、クライスラー、合併観測
・GMとクライスラーの合併構造が浮上した。
・米紙の16日の報道によると、10月末にもまとめるべく交渉中。
・両者は米ビッグ3。経済悪化などの影響で経営悪化している。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────
 

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【公的資金】 金融危機は9月15日のリーマン破綻から1か月が過ぎた。欧米各国が公的資金による資本注入を決め、新たな段階に入った。

 【オバマ大統領】 米大統領選は金融危機、経済悪化の影響もあり、野党民主党のオバマ候補のリードが広がっている。世界は「オバマ大統領」をにらんで動き出した。

 【CO2削減】 EUは15-16日の首脳会議で2020年までに温暖化ガス20%削減(1990年比)などの目標を維持することを確認した。金融危機と経済悪化で緩和を求める声もあったが、維持した。一方英政府は16日、2050年までの削減目標を従来の60%削減→80%削減にする計画を表明した。経済悪化の中でも、欧州が温暖化ガス削減を重視。この分野で主導権をとっていく立場を鮮明に示した。

 【クルーグマン】 2008年のノーベル経済学賞は、ポール・クルーグマン米プリンストン大教授に決まった。国際経済分野での業績(国際分業の理論構築など)が認められたもの。ただ、同教授はブッシュ政権の過度に市場重視する政策を厳しく批判をしてきた人物。金融危機で経済学がパラダイム転換の時期を迎えているとき、授賞には重い政治的メッセージが込められているようだ。

◎今週の注目: 2008年10月19-25日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・金融危機と世界経済は引き続き要注意。当面は、金融機関への資本注入の具体的な実行、金融機関決算、臨時主要国会議の開催などに関心。
・OPECが24日に臨時総会を開催する。原油価格下落を受けた対応などが焦点。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2008 INCD-club

2008年10月12日 (日)

◆金融危機:世界は景気後退、米は資本注入へ (2008.10.11)

 金融危機は引き続き緊迫した状態が続く。短期金融市場の機能不全、株価の下落、金融機関の相次ぐ破綻という悪循環が断ち切れず、主要国はシステム破たん回避に必死。
 こうした中で米国は、公的資金を使った金融機関への資本注入に踏み切るべく、政策転換を表明した。「政府より市場」という1980年代以来の流れを覆す決定だ。
 メディアでは「1930年代以来の危機」という表現が定着。景気の表現も「減速」から「後退」へとはっきり変わりつつある。
 今週の動きを整理すると以下の通りだ。

▼株の歴史的な下落
 10月6-10日の1週間で、世界各地の株価は大幅に下がった。
 NYダウは18%下落して8000ドル割れ。東京(日経平均)は24%、フランクフルト(DAX)は22%、ロンドン(FTSE100)は21%下落。ロシアは取引停止に追い込まれた。

▼破綻の連鎖
 アイスランドは6日、非常事態を宣言。必要に応じ銀行を国有化する法律を制定した。この枠組みを使い、9日までに主要3行を政府の管理下に置いた。
 日本の大和生命は10日破綻した。
 
▼当局は「あらゆる手段で破綻防止」
 米欧など各国の政府・金融当局は金融システムの破たん防止に必至だ。
 金融不安の高まりで銀行間の短期金融市場では資金が取れない状況になっている。中央銀行はほとんど制限なしに資金を供給。流動性確保に努める。
 8日には米FRB、欧州中銀、イングランド銀行など世界の10中銀が0.5%の協調利下げを実施した。 
 10日にはワシントンでG7を開催。5項目の行動計画を発表し「あらゆる手段で破綻を防止する」と表明した。
 11日にはブッシュ大統領がホワイトハウスにG7蔵相を招き、金融危機に協力して取り組む姿勢を表明。政治的な決意を示した。
 
▼米、公的資金で資本注入へ
 米国では3日に記入救済法案が成立。最大7000億ドルを投じ不良資産を買い取る仕組みを作った。しかし、市場への影響はわずか。不安払しょくには程遠い。
 ポールソン財務長官は8日、公的資金を使った金融機関への資本注入の可能性に言及。ブッシュ大統領も10日正式表明した。
 米国の論議はすでに公的資金による資本注入を行うかどうかではなく、いつ、どのような形で行うかに移った。

▼欧州の金融救済
 これに先立つ9日、総額500億ポンドの基金を設置し、大手8行を対象に資本注入する救済案を発表した。
 ドイツなど欧州各国は国家による預金の全額保護を発表。独政府によるヒポ・リアルエステートの救済など、破綻に直面した金融機関の国有化や救済が相次いでいる。

▼景気後退
 経済指標や企業の決算は悪化。世界の主要メディアは、もはや躊躇することなく景気後退を報道するようになった。

(2008.10.11)

2008年41号(10.6-11 通算433号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2008年10月6-11日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆金融危機深刻化、米公的資金投入へ ☆☆
・米国発の金融危機は一段と深刻化。米国、欧州から世界に伝播している。
・各地で金融機関の破綻が続発。国による救済が相次いだ。
・世界主要取引所の株価は大幅に下落。10日までの1週間で約20%下落した。
・米国は公的資金による資本投入の方針を表明。調整に入った。
・英国は9日、主要銀行に一斉に資本注入する救済策を発表した。
・米欧英など主要10中銀は8日、0.5%の協調利下げを実施した。
・G7は10日ワシントンで蔵相・中銀総裁会議を開催。協力強化などで合意した。
・こうした措置にもかかわらず市場の不安は消えず、視界不透明が続く。

◆世界経済、不況入り不可避に ☆☆
・金融危機に伴い世界の実体経済の悪化も進展。
・欧米主要国はマイナス成長が2・4半期以上続く不況が不可避の情勢になった。
・世界の主要メディアも、これまで避けていた景気後退という表現を使い始めた。

◆米、北朝鮮テロ支援国家指定解除(11日)☆
・米政府は北朝鮮のテロ支援国家指定を解除した。
・北朝鮮が核の無力化の作業再開を表明したことなどを受けた決定としている。
・米国は8月に解除見送りを決定。これを受け北朝鮮は無力化凍結の動きに出た。
・ブッシュ政権が検証の厳格化より対話進展を優先させた格好。
・次の焦点は6カ国協議の開催などに移る。
・金正日総書記の健康問題など不透明要因も抱え、核問題の行方は予断を許さない。

◆ウクライナ議会解散(8日)☆
・ユーシェンコ大統領は議会を解散を発表した。12月7日に総選挙を実施する。
・大統領とティモシェンコ首相の権力争いが背景。
・両者はともに親欧米派で、2004年には共闘してオレンジ革命を起こした。
・しかしその後主導権争いで対立。首相解任や総選挙実施を繰り返した。
・グルジア紛争後は、反ロ色を強める大統領と柔軟な首相の違いも表面化した。
・2010年には大統領選が予定されている。
・ウクライナ情勢の行方は、地域の安定やロシア・欧米関係にも影響する。

◆ノーベル平和賞にアハティサーリ氏(10日)☆
・今年のノーベル平和賞にアハティサーリ元フィンランド大統領が決まった。
・インドネシア・アチェやコソボ紛争など民族紛争の仲介活動を評価した。
・ナミビア独立、北アイルランド過激派の武装解除などでも貢献した。
・今年の平和賞には、民族紛争改善を求めるメッセージが込められた格好。

─────────────────────────────
INCDの採点
 ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
 ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
 ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
 無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 【金融危機】引き続き金融危機が続く。世界経済の悪化も鮮明になってきた。

 【アフガン・タリバンと対話模索】アフガニスタン政府や関係国が、タリバンとの対話を模索し始めた。武力による解決に見通しがつかないため。カルザイ大統領はすでにサウジアラビアのアブドラ国王などを通じ仲介を依頼するなど接触を模索。米国もタリバンとの接触を排除しない方針を示した。そこまで実現性があるか不透明だが、アフガン情勢の転換点となる可能性がある。

 【グルジア既成事実化】 グルジア情勢は10月初めにEUの停戦監視団が活動を開始。ロシアもグルジア領内からの撤退を動きを見せている。南オセチアとアブハジアにはロシア軍が駐留、事実上グルジアの支配権が及ばない状態。こうした状態で既成事実が固まった恰好だ。紛争前に比べ、「両地域への支配及ばず」が一層明確になった形だ。
 ここへ来て小康状態になった背景には、金融危機がある。欧米は金融危機対応で精一杯で、グルジア問題に大きなエネルギーを注ぐ余力はない。ロシアも金融危機の影響で株の暴落、資金流出などお尻に火が付いた状態で、緊張が続くのは得策でない。

◎今週の注目: 2008年10月12-18日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・引き続き金融危機の行方から目を離せない。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2008 INCD-club

2008年10月 6日 (月)

◆金融危機3週目 2008.10.5

 引き続き、米金融危機を巡り世界が揺れ動いた。

▽法案ようやく成立

 米下院は29日、金融救済法案を否決。世界中で株価が急落するなど市場は揺れ動いた。米政府や議会リーダーは「金融システム崩壊防止のため」と強調したが、11月に選挙を控える議員らは、銀行救済の色彩が残る法案に賛成しにくかった。

 その後修正を経て、法案は3日ようやく成立した。しかし民意の理解を得ることの難しさを改めて印象付けた。この問題は今後も追を引く。

▽先行きなお不透明

 法案が成立したといっても、当面の応急措置のめどが立ったに過ぎない。金融危機の行方はなお不透明だ。

 法案は最大7000億ドルの公的資金を投入し、金融機関から不良債権を買い取る機関を設置するのが柱。これにより、不良債権を切り離し、残った部分で正常な金融活動を維持する「枠組み」はできる。しかし、具体的な買い取り価格や方法など詰まっていない問題は多い。どれだけ有効に機能するかはなお未知数だ。

 地下価格の下落や景気悪化が続く中で、金融機関の体力そのものは弱体化している。今回の措置だけで十分と見る意見は少ない。危機脱出のシナリオは、なお描けていない。

▽世界の金融地図は一変 

 金融機関の破綻・救済は続き、業界の再編が加速している。

 米国では大手銀行のワコビアが身売りを決定した。当初はシティ・グループによる買収が決まったが、その後(3日)ウェルズ・ファーゴに変更するドタバタぶりを示した。ただ、シティは異議申し立てをしており、曲折がありそうだ。

 大手生保のAIGは中核事業以外の売却を柱とする再建案を発表した。

 大波は欧州にも波及し、ベルギー中心の金融機関のフォルティスは、ベネルクス3国政府などによる部分国有化が決定。英B&Bやアイスランド大手銀のグリトニルは国有化される。ベルギーのデクシアへの公的資金投入も決まった。経営が悪化した金融機関は多く、市場では次の破綻・救済の観測が引きも切れない。

 9月15日のリーマン・ブラザーズの破綻から3週間。世界の地図は一変した。1月前が「遠い昔」と感じられるほどになっている。

▽景気後退

 実体経済の悪化は隠しようがない。フランスは2・4半期連続のマイナス成長=景気後退の予想を表明。米国や欧州はじめ、世界各地で発表される経済指標は「悪化」を示すものばかりだ。

 各国政府や主要メディアは心理的影響も考えてか、「景気後退」(recession)という表現を避け、「景気悪化」「減速」(slowdown)と説明する。しかし、米国や欧州諸国はもはや景気後退局面に入っているとの観測は強い。

 米救済法案提案の動きを見て、苦境に立つ米自動車業界は、政府に救済を要求。最終的に低利融資のプログラムが決まった。欧州自動車業界も同様の要求を出した。

「自己責任」の歯止めが崩れ、緊急避難を名目にしたモラルハザードが広がっている。

▽指導者の表情

 米大統領など指導者の表情は日に日に悪化している。ブッシュ大統領は頻繁にテレビ演説し国民に理解を求めるが、表情に精気はない。和え向きなメッセージはほとんどなく、残り任期に歴史的な成果(中東和平など)を残そうという気力も最早感じられない。

 民主党のオバマ候補は、一貫して公的資金不可避の立場を示すなど、当事者能力を示した感がある。実際、金融危機で選挙戦は有利になった。

 それでも後ろ向きの話について語る時、表情は硬い。この問題ではすでに当事者となっており、ブッシュ政権を批判するだけでは通らない。「米国を変える」(change)という希望を与えるメッセージを前面に打ち出せるタイミングは少なく、見直的な笑顔を見せる機会も極めて減った。

 金融危機の深刻さを垣間見させる。

(20081005)

2008年40号(9.28-10.5 通算432号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2008年9月28日-10月5日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

◆米金融救済法案が成立(3日)☆☆
・米金融救済法案(financial rescue package)が曲折の末、成立した。
・最大7000億ドルの公的資金で金融機関から不良債権を買い取る内容。
・法案は29日にいったん下院が否決。世界中で株価が下落するなど市場は混乱した。
・議会は預金者保護の拡大など修正追加のうえ、ようやく可決した。
・公的資金の規模は史上最大。金融危機封じ込めの第1歩という位置づけ。
・ただ金融機関の財務内容悪化は進んでおり、金融危機の行方はなお予断を許さない。

◆金融機関の破綻・救済・再編加速、欧州にも拡大 ☆☆
・金融危機の影響で金融機関の破綻・救済・再編が続いている。
・ベネルクス3国の政府は28日、フォルティスを部分国有化。
・29日には英政府が地銀のB&Bを国有化。アイスランドも大手銀を国有化した。
・米大手銀ワコビア救済は身売り。相手はシティ→ウェルズ・ファーゴに変わった。
・米大手生保のAIGは3日、非中核部門を大幅に圧縮する再建案を発表した。
・金融危機を契機に、世界的に再編が一気に進んでいる。

◆実体経済の悪化鮮明に ☆
・金融危機の影響を受け、実体経済の悪化も世界各地で鮮明になってきた。
・3日発表の9月の米雇用者数は9カ月連続で減少。落ち込み幅は5年ぶりの大幅。
・米景況感や住宅価格も、大幅悪化を続けている。
・フランスの7-9。10-12月はマイナス成長の見通し。景気後退になる。
・欧州中銀総裁は2日、景気悪化の認識を改めて表明。金融緩和観測も出ている。

◆米大統領選、オバマ氏リード広がる
・投票まで1か月となった米大統領選は、オバマ候補のリードが広がっている。
・各種世論調査で、支持率がマケイン氏に比べ10%弱の上回っている。
・金融危機に対する姿勢の一貫性(公的資金投入不可避)などが評価された模様。
・マケイン陣営は接戦州に集中する戦術に転換。ミシガンからは事実上撤退する。

◆EU、グルジアに停戦監視団を展開(1日)
・EUが派遣したグルジア停戦監視団が活動を始めた。
・ただし、活動の地域や範囲などは流動的なまま。
・ロシアは、南オセチア、アブハジア地域周辺を「緩衝地帯」として駐留を続けている。
・和平プロセスはなお、曲折が予想される。

 ─────────────────────────────
 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
 ─────────────────────────────

◎寸評:of the Week
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・引き続き、米金融危機を巡り世界が揺れ動いた。米金融救済法案は曲折の末にようやく成立したが、先行きはなお不透明。金融機関の破綻・救済、業界再編は広がっている。

◎今週の注目: 2008年10月6-11日
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・引き続き金融危機の行方が焦点。ワシントンで10日ごろに開催のG7などが材料。
・ノーベル賞各賞が相次いで発表される。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2008 INCD-club

« 2008年9月 | トップページ | 2008年11月 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

ウェブページ