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2008年3月15日 (土)

◆カストロのレガシー(遺産)(2008.2.23)

 キューバのカストロ氏が、国家評議会議長職からの引退を宣言した。約半世紀にわたりキューバを率い、国際的にも存在感の大きかった人物。引退は改めて、いくつもの問題を提起する。

 英Finacial Times紙は、読者向けのネットページに「カストロは米国に対峙した途上国のヒーローか、それとも自由への抑圧者だったか」と問うコーナーを設けた。これに象徴されるように、カストロ氏への評価は2分される。

 カストロ氏は約半世紀にわたり反米の象徴だった。超大国米国の圧力に屈せず独立独歩を守り抜いた姿勢は、中南米の政治に影響を与え続けた。米国がカストロ氏を社会主義者としてのみ位置づけたが、中南米国民にとっては同時に民族主義の代弁者であり、米資本の抑圧への反抗者に映ったのだ。

 近年ベネズエラのチャベス大統領やブラジルのルラ大統領が病床のカストロ氏と会談する姿を流したのも、なお衰えないカストロ人気を知っているからこそだ。

 国内では貧しい国民にも医療サービスや教育を提供する制度を樹立。世界の貧しい国に医者を派遣したり、米国の貧困層から医学生を受け入れたりする政策には、「平等」を重視する社会主義理念の良い面が表れている。

 一方で反対勢力の行動を抑圧。結果的に不満分子を米国に「難民」として送り出してきたことは否定できない事実だ。

 経済改革は遅れ、特に1991年のソ連崩壊後の苦境は隠しようがない。観光客の増加(およびそれに伴う商売の拡大)などで国民の格差は拡大した。経済グローバル化時代の展望は描けていない、と言うしかない。時代はキューバとカストロ氏にとって明らかに逆風だ。

 それでも国体安定は揺るがず、国民の求心力は維持されている。カストロ氏のカリスマ性を抜きには理解できないことだ。

 引退後は弟のラウル第1副議長らを中心とする集団指導体制になるとみられる。新体制が進む方向としては、政治的に社会主義体制を維持しながら経済自由化を目指す「中国・ベトナム方式」追及の可能性などがささやかれている。しかし現時点では不透明。「社会主義理念」にこだわるカストロ氏がどこまで容認するかも定かでない。

 英EcomomistやFinancial Timesは、キューバの改革を促すためにも米国に対し禁輸措置の停止を訴える。カリスマの引退を、半世紀のしこりを越えて新たな関係構築にしたいという主張だ。

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