« 2007年39号(9.25-29:通算379号) 国際ニュース・カウントダウン | トップページ | 2007年40号(9.30‐10.7:通算380号) 国際ニュース・カウントダウン »

2008年3月14日 (金)

◆ミャンマー騒乱 (2007.9.29)

 ミャンマー情勢が大きく動いた。今月に入ってからの反政府デモが拡大、軍事政権はついに武力鎮圧に踏み切った。弾圧の映像は世界に流れ、国際的な関心事になっている。

 今回の動きに直接のきっかけは、軍事政権が8月に突然実施したガソリン価格の2-5倍の引き上げ。経済疲弊でただでさえ苦しい国民の生活が一段と悪化し、困窮を見かねた一部僧侶らが9月初めからデモを展開した。これを当局の高圧的態度で抑えたことから、運動に火がついた。

 その後は24、25日の10万人規模のデモ→当局の弾圧と続き、事態は一気に世界的な関心事になった。

 ミャンマー情勢に焦点が当たると、忘れてはならない点が改めて見えてくる。

1)軍事独裁: ミャンマーは1962年のクーデター以降、軍事政権の独裁が続く。当初は社会主義的な政策を掲げていた。近年は国際的な孤立傾向が強まっている。2005年の首都移転も、独裁強化のためとみられる。

2)民主化運動弾圧: 1988年の民主化要求運動は軍事政権が武力弾圧。その後も力による抑え込みが続く。アウンサン・スー・チー氏は自宅軟禁が続き、同氏を中心にする民主化運動も最近は展開が開けない。

3)仏教: 同国では仏教の影響が大きく、人口500万人の90%が仏教徒。出家した僧侶は40万人。ミャンマー情勢をみる上で、仏教の影響は極めて重要だ。多民族国家で、人口の40%は少数民族だ。

4)経済基盤: 経済は低迷。しかし経済崩壊にまでは至らず何とか維持している。これを支えるのは豊かな資源で、特に天然ガスの対中国輸出は重要。コメなど農産物が豊富なので、自給で何とかなるという側面もある。貿易はタイと中国が上位。

5)中国の支援: 欧米などのミャンマー批判が強まる中でも、中国は「内政不干渉」を理由に批判を避けてきた。中国もミャンマーと同様に少数民族問題や人権問題を抱えている。さらに上記の経済関係もあり、支援を続けている。

6)メディア規制: 騒乱後軍事政権はインターネットのアクセスを制限。外国報道機関の活動規制も強めている。東欧では情報の自由な流れが体制崩壊に結び付いた。そうした前例を考慮した判断、との見方が多い。

7)軍事政権内部: 軍事政権内部の関係は複雑と言われるが、内情はよくわからない。過去数年の間にも、汚職などを理由に有力者が解任されたケースが発生している。政権が国際情勢を見渡し、どこまで合理的に動くかも不明だ。

 先行きは不透明だが、あまり楽観視はできないように見える。軍事政権が運動を徹底弾圧し、国際的孤立と経済停滞がますます晋、との観測も根強い。

 国際社会はイラクでは米国が積極的に介入して失敗した。ダルフールでは介入の具体的な方法で難航し、厳しい情勢が続いている。ミャンマーへの対応も、相当難しいと言わざるを得ない。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
 ブログは毎週発行のメールマガジンを元に作成しています。

 ------------------------------------------------
 メールマガジンの登録変更・解除は次のアドレスから。(『まぐまぐ』を利用)。
 http://www.mag2.com/m/0000056121.htm
 ------------------------------------------------

 Copyright(c) 2007 INCD-club

« 2007年39号(9.25-29:通算379号) 国際ニュース・カウントダウン | トップページ | 2007年40号(9.30‐10.7:通算380号) 国際ニュース・カウントダウン »

アジア」カテゴリの記事

2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

ウェブページ