2019年6月11日 (火)

◆天安門時代30年の問いかけ 2019.6.9

 中国で1989年の天安門事件から30年が経過した。中国はその後、世界の予想を大幅に上回る高成長を実現し、国際社会における存在感と影響力を大きく高めた。一方、民主化や政治的自由はむしろ後退。欧米とは異形の大国になった。

 中国の台頭は、様々な面で世界を揺るがす。開発独裁的な中国型の成長モデルは、途上国にとって一つの見本になった。冷戦後の規範になると思われた米欧流の「民主主義+市場経済」モデルに、中国モデルが挑戦している図式だ。天安門事件後の中国の30年の歩みは、世界の価値観をも揺るがしている。

▼香港・台湾で追悼、北京は厳戒

 天安門事件から30年の6月4日、香港や台湾では民主派団体らが追悼集会を開いた。香港のビクトリアパークの集会には主催者発表で18万人(警察発表は3万7000人)が参加。犠牲者を追悼するとともに、政治犯の釈放などを求めた。台北の自由広場でも集会が開催された。

 米国のポンペオ国務長官は、中国を国際社会に組み入れればより開かれた社会になると期待したが「希望は打ち砕かれた」と表明。EUのモゲリーニ外交安保上級代表も中国で「表現、集会、報道の自由への抑圧が続いている」と批判した。

 一方、中国・北京の天安門広場では、普段より多数の警官を配備し、多くの監視カメラを配置するなど厳戒態勢が敷かれた。当日、広場には普段通り観光客らが集まり、あたかも「何もなかった」かのように1日が過ぎた。

 30周年を前に中国当局は、インターネットやパソコンの監視を強化し警戒を強化。そこには当局が平静をよそに、神経質になっている面もうかがわせた。

▼30年間で経済規模30倍

 天安門事件の後、米欧は中国に対し経済制裁を実施。中国経済の先行きを危ぶむ見方も強まった。

 しかし、実際には事件直後の成長率こそ実質4%程度に落ち込んだものの、その後実質10%前後の成長を実現。名目のGDP(米ドル換算)は、事件前の1988年の4110億ドルから2018年には13兆4570億ドルに30倍に増えた(IMFのWEO2018年10月推計)。購買力平価のGDPは、2014年から世界1だ。

 30年の間に中国経済は「世界の工場」から「世界の市場」へと発展。アリババやテンセントなどの世界的なIT企業も育ってきた。中国政府は「一帯一路」構想を打ち上げ、世界的なインフラ開発などのプロジェクトでも主導権を取ろうとしている。

▼政治的抑制、凄まじい監視社会

 一方で、政治的には抑圧が強まった。天安門事件に参加した学生や知識人は厳しい監視下に置かれたり、自ら中国を去ったりした。メディアに対する規制は強まり、政治的な批判を載せる場はなくなっていった。

 インターネットやSNS時代になると、ネットの監視や検閲、ネットを使った世論誘導を強めた。2017年に施行したインターネット安全法は、事実上当局に対しネットの内容を検閲したり規制することを認めるもの。ビッグデータや監視カメラを使い、国民一人一人の行動やネットでの活動履歴を追跡することも可能になり、中国は凄まじいまでの監視社会になりつつある。

▼政治・軍事的膨張

 国際的には経済でなく、政治、軍事的な膨張も目立つ。
 
 南シナ海では南沙諸島(スプラトリー諸島)に軍事基地を建設するなど、実行支配を拡大。ベトナムやフィリピンなど周辺国との緊張を繰り返しながら、勢力を拡大している。一帯一路戦略に沿って、スリランカやギリシャの港湾の利用・運用権を獲得し、米国などの警戒を呼び起こした。アフリカ諸国との経済・政治面での結びつき着々と強化している。

 サイバー分野での戦略も進む。人民解放軍はサイバー軍の強化に努め、軍が抱えるハッキング集団は強力だ。米国などへのサイバー攻撃がしばしばニュースになる。

 米トランプ政権が中国に対し、貿易と並んでハイテク戦争を仕掛けているのも、中国のこうした動向を警戒するためだ。

▼異形の大国

 冷戦終了後、欧米では民主主義と市場経済が世界の規範となるとの見方が広がった。フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」に代表された歴史観だ。中国も経済発展が進めば、政治的な自由化も徐々に進み、いずれ民主化されると、楽観論を唱える識者も多かった。

 実際に起きたことは別。経済面は市場経済ルールを活用して大いに発展した。しかし政治では民主化が進まないどころか、ますます抑圧が強まった。「政治は独裁・経済は自由」という欧米とは異なる、「異形の大国」に育ったと言っていいかも知れない。これが天安門事件後30年(1世代)の中国の歩みだ。

▼北京コンセンサス

 民主主義と言う価値観を共有しない一方で、経済発展著しい中国に対し、米欧は心穏やかではない。米トランプ政権は、中国の位置づけを協調する相手から「覇権を争う競争相手」へと明確に変えた。欧州諸国も中国を競争相手とする位置づけを強めている。

 しかし途上国の中には、中国式のモデルに魅力を感じる国は少なくない。特に、政治面で強権体制を敷いていたり、独裁的な政治指導者には都合がいい。この開発独裁的な、北京コンセンサスとも呼ばれるモデルが、価値観の面でじわじわ広がっているようにも見える。

 天安門事件は、こうした流れの出発点だった。

▼リベラル・デモクラシーの試練 

 英FT紙のギデオン・ラックマン氏は、6月4日付紙面で"Beijing, Berlin and the two 1989s"というコラムを掲載した。1989年は天安門事件が起きたとともに、ベルリンの壁崩壊で冷戦が終結した年だ。後者は自由主義体制が共産主義体制に勝利した節目として、世界史上の重要な事件に位置付けられてきた。

 しかし、欧米の経済と民主主義と経済はいま、重要な危機直面している。経済は成長が鈍化しているうえ、格差の拡大など深刻な問題が目立つ。

 民主主義に関係する動きとしては、欧州でも米国でもポピュリズムや極右政党の台頭が顕著。人々は内向き思考を強め、反移民政党が力を得ている。フェイク・ニュースが蔓延し、一部の国では権力者による情報操作も強まっている。トランプ大統領らは移民問題などで、しばしば強引(強権的)な手法を使う。

 ラックマン氏は、「未来の歴史家は、1989年の重要な出来事はベルリンの壁の崩壊ではなく、天安門事件だったと判断するかもしれない」と指摘する。

 米欧の近年のポピュリズムや反移民の動きの台頭や内向き思考、一部で見られる強権的手法への傾きの背景には、もちろん様々な事情がある。しかし、中国の成功に影響された面はないのか。そうだとしたら、経済や政治のみならず、価値観の面でも中国の影響拡大が、予想を超えて進んでいると言えるかもしれない。

▼知った気にならずに
 
 中国の天安門事件30年を語る時に忘れてはいけないのは、30年前に中国がこれだけ(経済的に)成功すると予想した人はほとんどいなかったという事実だ。現在から振り返って、「中国がなぜ成功したか」を明快に語れる経済学者もほとんどいない。我々は、実はあまり分かっていない。この点を謙虚に認めることは重要と、つくづく思う。

◎「こんな矛盾 持つわけない」と一世代
◎ 好調な独裁国家に「どうしよう」
◎ 自由より内向きが受けてる、正念場

2019.6.9

 

 

2019年23号 (6.3-9 通算987号)国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年6月3-9日
 

◆中国、天安門事件30周年(4日)☆
・1989年の天安門事件から30年が経過した。
・香港や台北、米国などでは追悼集会が開催。北京は厳戒態勢が敷かれた。
・米国務長官は人権問題で中国を批判。EUの外交上級代表も批判声明を出した。
・中国はこの30年間、10%前後の成長を維持。名目GDPは30倍に膨らんだ。
・GDPは2010年に世界2位なり、購買力平価でみたGDPは2014年から世界1だ。
・一方で政治活動や言論制限を強化。民主化に向かうとの期待は低下した。
・天安門事件30年は、世界の行方にも大きな問題を投げかける。

◆トランプ米大統領が欧州訪問(3-6日)☆
・トランプ大統領が英国、アイルランド、フランスを訪問した。
・英国ではエリザベス女王と会談したほか、Dデイ75周年の記念式典に参加。
・メイ首相との会談に加え、Brexit党のファラージ党首らにも会った。
・ロンドンでは大規模な反トランプのデモが行われた。
・フランスではノルマンディのDデイ75周年記念式典に参加。
・米仏首脳会談で、マクロン氏は国際ルール重視を求めけん制した。
・欧米間の懸案のINF廃棄条約失効やイラン核問題で進展はなかった。

◆米、メキシコ関税見送り(6日)☆
・トランプ米大統領はメキシコからの輸入品に関税をかける計画を見送った。
・メキシコと不法移民流入防止策などで合意したため。
・同国政府はグアテマラ国境付近に国境警備隊を派遣すると約束。
・米国に不法入国して保護された移民は、メキシコ側での待機を徹底させる。
・大統領は5月30日、メキシコからの輸入品に6月10日から課税すると発表した。
・メキシコだけでなく、米国内の産業界も反対していた。

◆香港で返還後最大級デモ、中国への容疑者引渡しルールで(9日)☆
・民主派団体は中国への容疑者引き渡しルール改定に反対のデモを行った。
・参加者は主催者側発表で103万人、警察発表で24万人。1997年の返還後最大規模。
・ルール改定は、刑事事件の容疑者を中国に引き渡せるようにするもの。
・香港の立法会は6月中に成立させる計画だ。
・民主派は、中国にとって都合の悪い人物が対象になりかねないと危惧する。
・香港は返還後50年、1国2制度下で高度な自治を約束されている。
・しかし中国政府の締め付けは徐々に強まっている。

◆米国に早期利下げ観測、FRB議長が演説(4日)
・パウエルFRB議長はシカゴで演説。景気拡大の持続と適切な行動を強調した。
・市場では早期利下げ観測が強まった。
・米国は、リーマンショック後の超緩和を是正するため2014年から引き締めを推進。
・2015年末から合計9回の利上げを実施した。現在のFF金利誘導目標は2.25-2.5%。
・しかし米景気の先行き減速観測が強まり、利下げ予測も強まった。
・トランプ大統領は再三、利下げを求める発言をしている。
・米金利の政策変更は、世界の金融市場や世界経済に与える影響も大きい。

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◎寸評:of the Week
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 【天安門事件30周年】 中国で民主化の動きを武力で弾圧した天安門事件から30年が経過した。この間の中国の発展と影響力の拡大は、世界に大きな影響を与えている。(→国際ニュースを切る)

 【トランプ大統領の欧州訪問】 トランプ米大統領が欧州諸国(英国、フランス、アイルランド)を訪問した。英国では国賓としてエリザベス女王と面談。英仏ではノルマンディー上陸作戦75周年などに参加し、協調スタンスを見せた。しかし安全保障や中東、経済を巡る政策では亀裂が修復されることもなかった。米欧の軋みは、中国の台頭などと並び世界の枠組み変化の行方を左右する重要な事項だ。

 【重要ニュース】 今週はベスト5以外にも重要ニュースが多かった。ロシアのサンクトペテルブルクでは国際フォーラムが開かれ、プーチン・ロシア大統領と習近平中国国家主席がそれぞれ米トランプ政権の通商などの政策を批判した。タイではプラユット首相を首班とする新政権が発足。2014年のクーデタ―から6年を経て選挙で選ばれた政権が誕生したが、実態は軍事政権の延長に近い。英国のメイ首相が7日、保守党党首を辞し、後任選びがスタートした。FCA(フィアット・クライスラー)が仏ルノーに提案していた経営統合を取り下げた。中国の鉄鋼王手の宝武鉄鋼集団と馬鋼集団が経営統合を決めた。G20の財務相・中銀総裁会議が8-9日福岡で開かれた。

 
◎今週の注目(2019年6月10-17日 &当面の注目)
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・上海協力機構の首脳会議が13-14日にキルギスで。

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2019年6月 2日 (日)

2019年22号 (5.27-6.2 通算986号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年5月27日-6月2日

 
◆米国がメキシコに経済制裁、全輸入品に追加関税(30日)☆
・トランプ大統領は対メキシコ制裁を発表。不法移民対策が不十分との理由。
・6月10日から全輸入品に5%の関税を課す。
・メキシコの対応次第では段階的に25%にまで引き上げる。
・メキシコが効果的な対策を採ったと判断すれば関税を撤廃する。
・米国のメキシコからの輸入は3465億ドルで中国(5395億ドル)に次ぐ。
・自動車関連や電気製品などが多い。
・米国内の自動車メーカーなどは、関税で輸入価格が上がれば影響を受ける。

◆FCA、ルノーが経営統合協議(27日)☆
・フィアット・クライスラー(FCA)は仏ルノーに経営統合を提案した。
・ルノーも前向きに検討する旨を表明した。
・実現すれば販売台数は世界3位の870万台となる。
・ルノーグループの日産、三菱自動車を加えると1500万台で断トツとなる。
・統合は双方の株主が50%ずつを握る計画。
・自動車業界は20世紀後半以来何度かの再編を経験してきた。
・最近ではリーマン・ショック後にGM破綻、FCA誕生などの再編が起きた。
・現在は電気自動車の急速な普及などで、産業が大きく変わる局面にある。

◆イスラエル国会が解散、再選挙(30日)☆
・国会は解散を決定。やり直し選挙を9月に実施する。
・同国では4月の総選挙で、与党右派リクードが第1党を維持。
・ネタニヤフ首相が連立交渉を行ったが、不調に終わった。
・一部ユダヤ人の懲役免除を巡り、極右と宗教政党の利害対立が解けなかった。
・パレスチナ和平交渉が動き出す可能性は、当面小さくなった。

◆EU臨時首脳会議、時期体制の人事調整始動(28日)
・EUは臨時の首脳会談を開催した。
・欧州議会選挙(23-26日)を受けたもので、政治状況などを協議。
・秋からの新体制づくりに向けた人事調査が本格的に始まった。
・EUは10-11月にEU大統領や欧州委員長、欧州中銀総裁が任期を迎える。

◆トルコが2四半期連続でマイナス成長(31日)
・トルコの1-3月のGDPは前年比2.6%減。
・2018年10-12月期に続き2四半期連続でマイナス成長になった。
・イスタンブール市長選やり直しなどを契機に外資の逃避→通貨安が加速。
・高インフレで消費などが不振に陥っている。
・新興国ではブラジルも1-3月にマイナス成長を記録。
・経済に黄色信号が灯っている国が少なくない。

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◎寸評:of the Week
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 【米国が対メキシコ関税】 米国のトランプ大統領がメキシコからの輸入製品全品に関税を課すと発表した。6月10日に5%、以後4段階で引き上げ、最終的に10月1日に25%にする計画。メキシコが不法移民問題で十分な対策をとっていないためとする。突然の決定は、いつもながら「いきなりか」と驚きたくなるトランプ流だ。

 メキシコからの輸入は中国からに次ぐ2位。2018年で3465億ドル(中国は5395億ドル)に上る。自動車部品など、米国内の製造拠点に送っている分も多い。高関税になれば、当然サプライチェーンに影響が出る。

 不法移民問題は国境の「壁」建設が話題になるが、最近関税がニュースになることは多くなかった。昨年NAFTAの再交渉をまとめ、関税原則ゼロを維持できるめどが立ったところに、この決定だ。

 メキシコは当然反発。米国の自動車業界も反対を表明し、法的措置も辞さない姿勢を見せている。

 対中国だけにとどまらない関税の引き上げ。世界の貿易や経済に与える悪影響が懸念されることはもちろん、世界中で既存ルール軽視の風潮が広がっていかないか、不安も広がる。

 

◎ トランプ流びっくりのネタ東西南北 
◎ スパイにも移民にもまずは関税パンチ
 

今週の注目(2019年6月3-9日 &当面の注目)
 
・中国の天安門事件から4日で30年を迎える。中国では情報規制の強化が強まっている。
・トランプ米大統領が3-7日に英仏など欧州を訪問する。

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2019年5月26日 (日)

◆インド総選挙とモディ政権2期目の展望 2019.5.26

 

 インド総選挙の結果が発表され、モディ首相率いるBJPが圧勝した。過去5年間7%以上の成長を実現してきた経済運営などが評価された格好だ。2期目のモディ政権は、地方の振興や格差是正などの課題に取り組む。経済成長著しく存在感を高める同国の行方には、世界の関心も大きい。

▼地滑り的勝利

 インド総選挙は4月11日から7回に分けて投票が行われた。有権者は9億人。世界最大の選挙だ。開票は5月23日から一斉に始まり、24日に結果が発表された。

 BJPは下院545議席中、過半数を大きく上回る303議席を獲得。前回より21議席増やした。英FT紙は地滑り的(landslide)な勝利と報じた。最大野党の国民会議派は8議席増の52議席にとどまった。ラフル・ガンジー党首は敗北を宣言。曾祖父のネルー元首相から続く"ネルー・ガンジー王朝”の黄昏を報じるメディアもあった。

 BJPはモディ首相人気を維持していたとはいえ、昨年の地方選で野党に相次ぎ敗北した。このため総選挙での勝利を危ぶむ見方もあった。圧勝は事前の予想を覆す結果だ。

▼モディノミクスの5年

 モディ首相は2014年に就任した。前職は東部グジャラート州の首相。民間活力の採用、スピード重視、改革推進などの経済運営で成果を残し、CEO型のリーダーとして注目された。

 インドの首相就任後も、モディノミクスと銘打ったそうした経済政策で、年平均で7%を上回る成長を実現した。

 改革の中でも重視されるのが、破産法の改正(2016年末以来施行)、高額紙幣の廃止(2016年11月発表)、税制改革(2017年7月)などだ。

 このうち税制改革は、従来州ごとにバラバラだった税制を全国レベルで統一した。歴代政権も実現を目指してきたが、反対が多く実施できなかった政策だ。「インドの市場が初めて統一された」などというメディアの解説もあった。 

 高額紙幣の廃止は、マネーロンダリングや脱税防止を目的に突如発表され、実行に移されたもの。発表日は2016年11月8日。米大統領選でトランプ氏が当選した日だった。

 その経済的影響には様々な見方がある。しかしこれだけの改革を極秘裏に準備し、断行した首相の行動力は改めて印象付けられた。

▼対テロで強い姿勢

 2018年の地方選でBJPが苦戦したのは、野党国民会議派が農村救済などの計画を掲げたことなどによる。そうした劣勢ムードを変えたのが、今年2月にカシミール地方で起きたテロ事件だ。パキスタンに拠点を置くイスラム過激派が、インド軍の基地を襲撃した。

 モディ政権はこの問題で強硬な姿勢を誇示。インド・パキスタン国境を越えて過激派の基地を空爆した。こうした「強いリーダー」のイメージが、選挙での勝利に結びついたとの見方が多い。

▼勝利の5つの理由

 英BBCは予想外の圧勝の理由を、選挙戦上の戦術も合わせて次のようにまとめた。(1)モディ首相の個人の力、(2)ナショナリズム、(3)地方政党との協力関係がうまくいったこと、(4)東部の州に選挙戦の資源を振り向けたこと、(5)メディア活用戦略での勝利――の5つだ。

▼2期目の課題

 経済の高成長が続く中で、課題も浮かび上がる。インドは依然、全人口の6割が農村に住む構成。その農村の発展は、都市部に比べて遅れている。都市との格差は拡大する。

 インド経済ではITソフトなど、サービス分野の拡大が目立つ。しかし輸出産業(製造業)育成の遅れ、インフラ整備など課題は山積する。銀行の不良債権問題、ビジネスの不透明性の払しょくなど構造的な問題も多く残る。

▼ヒンズー至上主義?

 政治的にはモディ首相の母体であるBJPの体質が常に問われる。BJP支持者の中には、ヒンズー至上主義者が少なくない。過去にもイスラム教徒迫害を引き起こすなど、政治・社会上の問題を引き起こしてきた。国際社会からの批判も折に触れて浮上する。

 BJP政権が2期続くのは1947年の独立以来初めて。思わぬ圧勝で、ヒンズー至上主義の動きに火をつけないかとの懸念がある。

▼混沌の社会

 インドの人口は2020年代には中国を抜き世界1になる見込みだ。すでに購買力平価でみたGDP(経済力)では世界3位。ITソフト開発など一部では世界先端を置く。世界における存在感は年々大きくなっている。

 しかしドルベースで見た1人当たりのGDPは約2000ドルと、まだ貧しい。農村にはカースト制度の伝統も残り、絶対的な貧困も残り、教育も十分に行き届かない。古いものと新しいもの、進んだ部分と遅れた部分が混在し、混沌の社会ともいえる。

▼インドの行方の世界的意味

 インドは世界最大の民主国家。経済の高成長は今後も続く可能性が大きく、国際社会における政治的な影響力をさらに拡大しそうだ。中国とのバランスを踏まえた地政学的な存在意味も大きい。インドの行方は国内や南アジアのみならず、世界に影響する。

 特に発展途上にある国において、政治リーダーの果たす役割は大きい。モディ首相の2期目の手腕を世界が注視するゆえんだ。

 

◎ 10億人混沌の地の民主主義
◎ 不条理も夢も飛び交う総選挙
◎ 王朝を凌いで目立つかCEO

 

2019.5.26
  

 

2019年21号 (5.20-26 通算985号)国際ニュース・カウントダウン

 

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年5月20-26日

◆インド総選挙、モディ首相与党が圧勝(23-24日)☆
・4-5月投票の総選挙結果が開票され、モディ首相の与党BJPが勝利した。
・定数545の過半数を超える303議席を獲得した。首相が続投する。
・BJPが2期連続で政権を担うのは初めてだ。
・首相は2014年に就任。7%前後の成長を実現してきた。
・地方ごとに異なった税制の統一や高額紙幣の廃止などを実施した。
・2月のカシミールのテロ時には強硬姿勢を示し、支持を得た。
・2期目は成長の維持や地方の農村振興による格差是正などが課題になる。
・選挙は4月11日から7回に分けて実施。有権者9億人で世界最大。
・投票率は67%で、1947年の独立以来最高だった。

◆英メイ首相が辞任表明(24日)☆
・メイ首相は、6月7日に与党・保守党の党首を辞任すると表明した。
・後任が決まり次第、首相からも退く。
・EU離脱をまとめられず、混乱が続く責任を取った。
・後継の党首選にはジョンソン元外相らが出馬表明した。
・ただし、新党首が決まっても分裂する党内のとりまとめは難しい。
・新党首がスンナリ首相に決まるかも不確実だ。
・英国はEU離脱期限を10月末に再延長した。しかし行方は見えず混乱が続く。
・合意なき離脱のリスクも、首相辞任でまたぞろ浮上してきた。

◆欧州議会選投票(23-26日)☆
・欧州議会選の投票がEU加盟28か国で行われた。
・26日以降開票される。
・事前の世論調査によると、ポピュリストや極右政党が議席を伸ばしそう。
・2大勢力だった中道右派、中道左派はいずれも後退しそうだ。
・欧州議会選挙は欧州政治の潮流を映す出来事として注目される。

◆インドネシア大統領選ジョコ氏再選、反対派が抗議(21日)☆
・選管は4月19日の大統領選の結果を発表した。
・現職のジョコ大統領当選が正式に決まった。得票率55%。
・しかし野党支持派は結果を認めず抗議活動を展開。
・6人の死者が出たほか、投石や放火なども広がった。
・当局は「イスラム国」の関係者を逮捕したと発表した。
・抗議デモ長期化の懸念も出ている。

◆米が中東に1500人追加派遣(24日)
・トランプ大統領は約1500人の米兵を中東に追加派兵すると発表した。
・イランの脅威の高まりに対応するためとしている。
・米国は5月に対イラン制裁を強化。イランは反発している。
・ホルムズ海峡付近ではサウジなどのタンカーが襲撃される事件が発生した。
・バクダッドでは19日、米大使館などがある地域にロケット弾の攻撃があった。
・偶発的な衝突→紛争拡大への懸念も強まっている。

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◎寸評:of the Week
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 【ビッグニュース】 比較的大きなニュースが続いた。インドの総選挙はモディ首相与党のBJPが事前予想を上回る勝利(→「国際ニュースを切る」)。英国ではメイ首相が退陣を発表した。

 

 【米中貿易・ハイテク戦争の影響】 米中貿易・ハイテク戦争の影響が世界経済にジワリと及んでいる。中国では対米輸出が減少。東南アジアも対中や対米輸出の減少で、成長率が下がり始めた。IMFやADBなどは成長予測を下方修正している。
 米中貿易交渉が4月末に不調に終わった後、米国は5月に入り(1)中国からの輸入2500億ドル分の関税を10%→25%に引き上げ、(2)別に3000億ドル分の関税を引き上げ、(3)ファーウェイとの取引を事実上禁止、などの措置を相次ぎ発表。貿易・ハイテク戦争は新段階に入った。
 影響は今後さらに拡大してくる可能性が大きい。トランプ大統領が対中制裁関税を打ち出したのが2018年3月。それから1年強で、世界経済の風景は大きく変わったと、改めて実感する。

 

今週の注目(2019年5月20-26日 &当面の注目)

・欧州議会選挙が5月23-26日に実施。結果が判明する。極右やポピュリズム政党の台頭を含め、欧州政治の流れを占う。
・EUの臨時首脳会議が28日に開催される。欧州議会選を踏まえたEU情勢や、今秋以降のEUの新体制などを協議する見通し。
・ベルギーの総選挙が26日に行われた。

 

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2019年5月19日 (日)

2019年20号 (5.13-19 通算984号)国際ニュース・カウントダウン

 

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年5月13-19日

◆米中貿易・ハイテク戦争拡大、関税全品目に、ファーウエイ禁輸 ☆
・米国は13日、中国への制裁関税の第4弾を発表。対象を全輸入に拡大する。
・第4弾はスマホなど3805品目が対象、総額約3000憶ドル。最大25%を課す。
・発動日は公表せず、6月に公聴会を開きその後決定する。
・昨年末から継続してきた米中の貿易協議の不調を受けた措置。
・3月10日には第3弾2000億ドル分の関税を10%→25%に上げた。これに続く。
・米国は15日、中国ファーウエイに対するハイテク部品などを輸出禁止した。
・米企業に対し、安保上の脅威となる外国企業からの通信機器調達を禁止した。
・米中の貿易・ハイテク紛争が一層エスカレート。世界経済への影響も広がる。

◆サウジ周辺で武力衝突続発、米・イランの緊張高まる ☆
・UAE沖合でサウジのタンカー2隻を含む4隻が12日攻撃を受け被害が出た。
・米メディアはイランや同国関係の武装勢力が関係したとの見方を報じた。
・サウジ中央部の石油パイプラインが14日ドローン攻撃を受けた。
・イエメンのイスラム教シーア派反武装組織フーシが攻撃を認めた。
・サウジ主導の連合軍は16日、サヌアにあるフーシの武器庫などを空爆した。
・米国は5月初めにイランに対する制裁を強化。
・イランは欧州などとの核合意の実施を一部停止すると発表した。
・米とイランの対立を軸に、関係するサウジなども加え緊張が高まっている。

◆豪総選挙、与党が勝利、モリソン首相続投へ(18日)☆
・総選挙(151議席)が行われ、与党の保守連合が勝利した。
・74議席以上を獲得した。過半数に届くかは微妙。
・モリソン首相が続投する見通し。
・保守連合は一角の自由党の内紛で首相が15年と18年に交代。不評を買った。
・しかし経済運営堅調で有権者の支持をつなぎとめた。
・豪州は28年連続で景気拡大が続くなど、経済は順調だ。

◆台湾、同性婚を合法化、アジア発(17日)☆
・立法院は同性婚を認める特別法を可決した。アジアでは初。
・同性カップルが結婚を登記。配偶者に相続権や相互扶養の義務が生まれる。
・蔡英文総統は法案を推進。リベラル色を強調し、来年1月の総統選をにらむ。

◆仏NZ、FBなどがネットのテロ情報削除宣言(15日)
・仏NZと米グーグル、FBなどの代表はパリのエリゼ宮で会議を開催。
・SNS上でテロをあおる情報への対応などに関する宣言を発表した。
・テロ情報は直ちに削除するなどとしている。
・ただし対策の実現性や実効性については疑問の声も上がる。
・NZでは3月にモスクで乱射事件が起き50人が死亡した。SNSの影響が指摘される。

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 │  (^^)くだらないけど面白い。面白いけどくだらない
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寸評:of the Week
 

 【米中貿易・ハイテク摩擦エスカレート】 米中の貿易・ハイテク摩擦が一段とエスカレートした。米国は中国からの輸入品に対する制裁関税を全品目に広げると表明。通信機器のファーウエイに対し、部品などの輸出を禁止すると同時に、米企業に対し事実上同社製品の購買を禁止した。昨年末からの米中貿易協議は、土壇場になって中国側が合意済みだった内容を取り消したという(背景に、中国国内で「不平等条約になる」という反対があった、との情報が流れる)。

 トランプ大統領も全面決裂を避けたいと考えていると報道されるが、真相は不明。行方は不透明だ。世界史的に見れば米中の覇権を巡る争いの一コマだろうが、当面はどんな影響が及んでくるのか、一つ一つの動きに目を凝らすしかない。

 
 【フィリピン中間選挙】 フィリピンの中間選挙が13日行われ、ドゥテルテ大統領支持派が圧勝した。2016年から6年の任期の中間で行われる選挙で、政権への信任投票的な意味がある。麻薬対策など治安政策や、経済成長が評価された格好だ。

 大統領は強引な麻薬対策など強権的な色彩も強く、国際的には批判も多い。しかし支持率は2018年末時点で8割を超えるなど圧倒的だ。就任から3年近くを過ぎてこの高支持率は、驚異的ともいえる。

 既存のしきたりにとらわれない行動力。強い大統領像。人気の要因には、外部にいると見落としがちな要素も含まれている。もちろん、麻薬問題での成果(代わりに人権の侵害はある)や経済順調の効果も大きい。

 残り3年。どんなドゥテルテ語録と行動録が記録されるか。

◎ 悪は撃てマッチョが受けるフィリピン流
◎ 8割の支持にハテナの外国人

 

今週の注目(2019年5月20-26日 &当面の注目)
 

・欧州議会選挙が5月23-26日に行われる。極右やポピュリズム政党の台頭を含め、欧州政治の流れを占う。
・インド総選挙の結果が23日に開票される。

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2019年5月12日 (日)

◆米中貿易戦争再燃 2019.5.12

 

 休戦状況にあった米中の貿易戦争が再燃した。米中の貿易協議は難航し、米国は10日、中国からの輸入品2000億ドル相当に対し、関税を10%→25%に引き上げた。米国はさらに、対象を中国からの輸入品全品に拡大する制裁関税の「第4弾」を導入する方針を示した。中国は対抗措置を講じると表明した。

 貿易戦争には経済的利害はもちろん、ハイテク分野の競争や国家の覇権争いが絡む。行方は世界経済の行方にも大きく影響する。

▼広範な課税

 米中の貿易戦争が始まったのは2018年。トランプ米大統領は、中国が知的財産権保護に違反しているなどとして制裁関税の発動を表明。同年中に3段階にわたって追加関税を導入した。第1弾は340億ドルに25%(7月)、第2弾は160億ドルに25%(8月)、第3弾は2000億ドル分に10%(9月)だった。

 関税を引き上げた合計2500万ドルは、米国の中国からの輸入のほぼ半分に当たる。

 米国はさらに2000億ドル分の関税を10%→25%に引き上げる方針を打ち出し、12月から中国と貿易協議に入った。

▼産業補助金などで対立解けず 

 協議では中国側が外国企業に対して課してきた技術移転義務をなくすなど、歩み寄りもあった。しかし、米国は中国の産業補助金廃止や、知財保護の強化などを要求。対立が解けなかった模様だ。

 対立の背後には構造的な問題が横たわる。中国の産業補助金は、国有企業の存続に直結し、「国家資本主義」の経済モデル根幹にも関わる。中国としても簡単には譲れなかったとみられる。

 トランプ大統領はさらに、報復関税の対象を中国からの輸入品全品目に広げる方針を示した。追加分は3000億ドル。詳細は13日にも発表する。

 米大統領は同時に、今後も中国と協議を続ける点を強調した。同時に、交渉は急がずゆっくり進む姿勢を示した。先行きは予断を許さない。

▼風景様変わりの1年

 トランプ米大統領が対中制裁関税や、世界各国からの鉄鋼・アルミ製品への課税を打ち出したのが2018年3月。それから1年強で、関税引き上げは対象・金額とも急速に広がった。この現実の前に、「自由貿易に反する」などという(まっとうな)批判は埋没しがちだ。

 米国が中国に対して仕掛けている貿易戦争は、単なる経済上の利益を巡る紛争ではない。ハイテク分野での主導権争いや、国家の覇権争いが背後に控える。この点は最も重要なポイントだ。

 米中貿易関係や世界の通商体制は、すでに1年前に比べて全く異なる光景になった。交渉の行方がどうなるか不透明だが、さらに大きな変化が予期されることだけは確実だ。

 良きにせよ悪しきにせよ、トランプ米大統領が「ゲーム・チェンジャー」(ルールを変える人)。その認識を改めて想起させる。

◎ 自由貿易 つい昨日まで「いいね!」だった
◎ 関税に練り込む覇権と面子かな

2019.5.12

 

2019年19号 (5.6-12 通算983号)国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年5月6-12日

◆米国が対中関税引き上げ(10日)☆
・米国は中国製品2000億ドル分に課す制裁関税を10%→25%に引き上げた。
・米は2018年7月以来段階的に、計2500憶ドルの中国製品に制裁関税を課した。
・米中は昨年末から貿易協議を開催。決着点を模索した。
・しかし折り合いが付かず広範な引き上げとなる。課税対象は5700品目。
・米国はさらに報復関税の対象を全輸入製品に広げる方針。詳細は13日公表の予定。
・中国も同日報復を表明。貿易戦争が過熱する懸念がある。
・知財保護や中国の産業補助金などを巡り、対立が解けなかった模様だ。
・米中摩擦は、すでに各国の対中輸出減少などを通じ世界経済に影響している。
・摩擦の背景にはハイテクを巡る米中の覇権争いなども絡み、対立は根深い。

◆トルコがイスタンブール市長選やり直し、政権の圧力か(6日)☆
・選管は3月末実施のイスタンブール市長選のやり直しを決定した。
・エルドアンン大統領与党のAKPの訴えを認めた。
・3月の選挙では野党CHPのイマモール氏が勝利。4月17日に確定した。
・しかしAKPは不正があったなどとしてやり直しを求めた。
・エルドアン政権の圧力でやり直しになったとの見方が強い。
・英FTは民主主義の決定的な後退と批判。市場は嫌気しトルコリラは下落した。
・トルコではエルドアン氏への権力集中が加速。強権色を強めている。
・一方経済は、通貨価値の下落やインフレ率の上昇など苦境に直面する。

◆イランが核合意履行を一部停止(8日)☆
・ロウハニ大統領は核合意に基づく義務の履行を一部停止すると発表した。
・濃縮ウランの貯蔵を合意の制限量より増やす可能性がある。
・イランへの制裁を強める米国に対抗する狙いとみられる。
・米国は2018年、イランと米欧ロなどが2015年に合意した核合意から離脱した。
・その後、イランへの経済制裁を復活するなど強硬姿勢を強める。
・5月初めにはイランからの原油輸入禁止措置を一段と強化した。
・イランは欧州と合意維持や経済関係強化を模索するが、難航している。
・イランの履行一部停止で、米国がさらに強硬な姿勢に出る可能性もある。

◆南ア総選挙、与党が継続へ(8日)☆
・総選挙が実施され、与党ANCが過半数を獲得する勢い。
・議会はラマポーザ大統領を再選する見通しだ。
・南アは1990年代にアパルトヘイト廃止。その後ANC政権下にある。
・2009-18年のズマ前大統領下では経済が低迷し、汚職が蔓延した。
・ラマポーザ氏は汚職撲滅などを主張。2018年に就任した。
・選挙を踏まえズマ派を押さえたい意向とされるが、行方は不透明要素が残る。

◆ミャンマー、ロイター記者を解放、国際世論に配慮(7日)
・政府は刑務所に収監していたローター通信の記者2人を釈放した。
・大統領令に基づく恩赦。4月下旬に実刑判決が確定していた。
・記者はイスラム系少数民族ロヒンギャへの迫害疑惑を取材していた。
・国家機密法に違反するなどとして逮捕され、有罪判決を受けた。
・国際社会からは同国政権への批判が高まっていた。
・同国では2016年にアウン・サン・スー・チー氏主導の民政政権が発足。
・しかしロヒンギャ問題では軍主導の強硬姿勢が続く。
・経済改革の成果も限定的で。大国からの投資は2015年の3分の1に低迷する。
・同国は国際世論に配慮せざるを得ない状況だ。

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◎寸評:of the Week
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 【米中貿易戦争再燃】 米国は10日、中国からの輸入品2000億ドル相当に対し、関税を10%→25%に引き上げ。米中の貿易戦争が再燃した。 (→国際ニュースを切る)

 

今週の注目(2019年5月13-19日 &当面の注目)
 
・フィリピンの中間選挙が13日に投票される。ドゥテルテ大統領の6年の任期の中間採点ともいえる選挙。大統領の支持率は、引き続き驚異的に高い。

・欧州議会選挙が5月23-26日に行われる。極右やポピュリズム政党の台頭を含め、欧州政治の流れを占う。

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2019年5月 6日 (月)

2019年18号 (4.29-5.5 通算982号)国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年4月29日-5月5日  

 

◆日本で新天皇即位(1日)☆
・日本の平成天皇が4月30日に退位。5月1日に新天皇が即位した。
・元号は平成から令和に変わった。
・新天皇は59歳。初の第2次大戦後の生まれの天皇。
・即位後会見では象徴としての責務や世界平和への希望を語られた。
・天皇交代をにらみ日本では複数の休日が設定。実質10連休となった。
・日本の国のあり方を巡る議論も繰り広げられた。

◆タイで国王戴冠式(4日)☆
・タイでラーマ10世(ワチラーロンコーン国王=66)の戴冠式が行われた。
・国王は2016年即位したが、前国王の喪中などに配慮し戴冠式は遅れていた。
・戴冠式実施は69年ぶり。6日まで儀式や祝賀パレードを開催する。
・これに先立ち国王は1日、結婚を発表した。
・王妃は陸軍に所属していた女性で、国王の結婚は4度目とされる。
・国王は即位後政治的な影響力を拡大しているとの見方も強い。

◆ベネズエラでクーデター劇、成功せず(30日)☆
・暫定大統領を宣言したグアイド国会議長は蜂起を呼び掛けた。
・しかし同調する軍人は少数にとどまり、クーデタ―は不発に終わった。
・グアイド氏は1月に暫定大統領就任を発表。米などが支持を表明した。
・中ロなどはマドゥロ大統領支持の姿勢を崩さず、国際社会は2分している。
・混乱が続く中で、今回のクーデター劇が起きた。

◆北朝鮮が飛行物体打ち上げ(4日)
・北朝鮮は日本海に飛行物体を打ち上げた。ロケット砲との情報がある。
・飛行距離は70-200キロとみられる。
・2月末の米朝首脳会談は前進がなかった。これを受け挑発姿勢を示した可能性がある。
・同国は2018年以来、ミサイル発射や核実験などの目立った挑発行為は控えてきた。
・発射したのがミサイルでなく、ロケットならば国連安保理決議違反ではない。
・国際社会との決定的な対立を避ける姿勢を示した可能性もある。
・いずれにしろ、北朝鮮を巡る情勢が新たな局面に動き出した。

◆インドネシアが首都移転へ(29日)
・政府は首都を閣議決定した。ジャカルタからジャワ島外に移す。
・ジャカルタへの経済や人口の集中を是正。格差拡大を縮小する狙い。
・移転先はまだ未定。政府が調査している。
・実際の移転には、決定語5-10年を要する見通し。
・資金の確保など実現までには課題も多いが、政治的なインパクトは大きい。

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寸評:of the Week

 

 【日本の改元・新天皇】 日本の平成天皇が退位。新天皇が即位し、時代も平成から令和に変わった。日本国内はもちろん、世界も関心を持って見つめた。

 英BBCの報道は、日本の天皇制、皇室の現状、天皇の役割、日本の歴史などを冷静に報じ、概してバランスの取れた情報を伝えた。そのうえで新天皇の即位を「日本の新時代」と位置づけていた。世界の主要メディアの報道も、おおむねそんな格好だったように見える。

 1世代前までは「世界の経済大国」だった日本の位置づけは、現在では「主要先進国の一つ」になっている。国の認識を示すキーワードとしては、安全、安定、高齢化、成熟社会、ダイナミズムの欠如などが浮かぶ。

 令和の日本は、世界の中でどんな位置づけとなり、何を期待され、どんな役割を果たしていくことになるのか。改めて考える機会になった。

◎ 新天皇静かに見つめる世界の眼
◎ 日本論、天皇を抜きに語れるか

 

◎今週の注目(2019年5月6-12日 &当面の注目)
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・イスラム教国でラマダンが6日ごろから始まる。約1か月。
・南アの総選挙が8日に行われる。
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2019年4月29日 (月)

2019年17号 (4.22-18 通算981号)国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年4月22-28日
 

◆スリランカのテロ、イスラム過激派が犯行声明(23日)☆
・スリランカ各地の連続爆破テロで、「イスラム国」が犯行声明を出した。
・テロは21日にコロンボのホテルや教会など8か所でほぼ同時に発生。
・外交人観光客なども含め250人以上が死亡した。
・8か所中6か所は自爆テロによる爆発だった。
・同国当局によると、国内ではイスラム過激派NTJが関与した。
・人口の約7割は仏教徒。ヒンズー教徒、イスラム教徒が各約1割。
・2018年には反イスラムの暴動が広がった。
・ISは2017年10月に首都としたラッカを放棄。ほぼ領土を失った。
・しかしアジア、アフリカなど約20か国にテロのネットを維持するとされる。

◆ウクライナ大統領選、コメディアンのゼレンスキー氏圧勝(21日投票)☆
・大統領選の決選投票が行われ、新人のゼレンスキー氏(41)が圧勝した。
・約7割を得票。ポロシェンコ現大統領に大差を付けた。
・同氏はコメディアンで政治は素人。既存政治に失望した有権者の支持を得た。
・ロシアとの和平協議にも前向き姿勢を示す。ただ具体策は未知数だ。
・同国は2014年に政変→ロシアによるクリミア併合を経験。以後混乱が続く。
・東部地区の親ロシア派は独立を主張。紛争状態にある。
・経済は2013-15年にマイナス成長を記録。高インフレが続く。
・汚職が蔓延、貧富の格差拡大など社会の不満も高まる。
・同国は10月に議会選を予定している。
・新大統領が「汚職撲滅」などの公約を守れる道筋見えない。
・ロシアは対ウクライナで外交攻勢をかけて来る可能性がある。

◆スペイン総選挙、与党が第1党、極右議席(28日投票)☆
・総選挙(議席350)が実施され、与党・中道左派の社労党が第1党になった。
・サンチェス首相率いる同党は親EU。議席を84→122前後に増やす見込み。
・中道右派の国民党は134→大幅に議席を減らす。
・振興極右のボックスが24議席となり、初めて議席を獲得する。
・過半数を制した政党はなく連立交渉が始まるが、難航する可能性もある。

◆ロシア、北朝鮮首脳が会談(25日)
・北朝鮮の金正恩委員長がロシアを訪問。プーチン大統領と会談した。
・極東ウラジオストックで。両者の会談は初めて。
・朝鮮半島の非核化などの問題を協議した。
・プーチン氏は会談後、非核化の段階的推進を支持すると述べた。
・プーチン氏は翌26日北京で習近平国家主席と会談。問題を協議した。

◆エジプト国民投票、憲法改正承認、シシ大統領任期延長(23日)
・国民投票が20-22日行われ、憲法改正を承認した。23日発表。
・シシ大統領の任期延長を含む内容。
・この結果、同氏は2030年までの在職が可能になる。
・同国は2011年のアラブの春を経て、ムスリム同胞団系の政権が成立。
・しかし2013年に事実上のクーデターで、シシ氏が権力を掌握した。

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寸評:of the Week
 

 【スリランカのテロが問う世界的問題――「イスラム国」、民族・宗教対立】 スリランカの同時テロで、「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。2014年ごろからイラクとシリア北部を支配したISは、2017年に領土をほぼ失った。しかしテロのネットワークは残り、米国の報告では中東やアジア、アフリカなど20か国にネットが存在するという。今回の事件で、改めて存在を示した形だ。
 スリランカは1970年代から仏教徒中心のシンハラ人とヒンズー教徒中心のタミル人の内戦が勃発し、10万人が死亡した。内戦はシンハラ系が勝利する形で2009年に終結。平和を取り戻し、経済再建を進めているところだった。
 しかし、対立の根はシンハラ系とタミル系だけではなかった。人口の約1割を占めるイスラム系の人々への圧迫もあり、2018年には反イスラムの暴動が発生した。今回のテロはそんな状況の中で起きた。実行犯は中東でISの活動に携わった者だけでなく、高等教育を受けた裕福な家庭出身者もいたと伝えられる。今回のテロが、3月にNZで起きたモスク襲撃への報復だったとの情報もある。
 「イスラム国」、民族・宗教対立。内戦の傷跡。憎悪の連鎖。テロは多くの根深い問題を見せつける。

◎ テロ発生 「ISか?」のカンよく当たる
◎ 和平10年 平和の国かと思ったが
 

 【ウクライナ大統領選】 ウクライナ大統領選でコメディアンのゼレンスキー氏が当選した。得票率は7割を超えた。同氏は昨年大晦日に人気テレビ番組の中で出馬声明。具体的政策もほとんど語らないまま選挙戦を展開した。その結果が圧勝だ。
 大統領選を機にウクライナの政治や経済状態を改めてチェックすると、事態は深刻だ。同国の2014年の政変にロシアが介入。クリミア半島を併合した。東部のロシア系住民は独立を宣言し、政府軍とロシア系の間で紛争が続く。
 経済は2014-16年にマイナス成長に陥り、高インフレが続く。ロシアはエネルギー供給の締め付けで圧力をかける。国民は100万人単位でポーランドなどに出稼ぎに出かける。
 汚職が蔓延。格差は拡大している。ポロシェンコ大統領は欧米に支援を求めたが、その条件の財政赤字の抑制は、国民に負担を強いている。
 ウクライナは人口4200万。面積ではロシアより東では欧州最大の"大国"だ。しかし現状はかくの如しだ。
 悲劇的ともいえる混乱と、その中で選ばれたコメディアン出身の大統領。先行きは楽観を許さない。

◎ 悲劇の世、託したくなる喜劇役者(コメディアン)

 

◎今週の注目(2019年4月29日-5月5日 &当面の注目)
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・日本の天皇が30日退位。5月1日に新天皇が即位する。時代は「平成」から「令和」に変わる。
・タイでラーマ10世(ワチラーロンコーン国王)の戴冠式が5月4日から行われる。
・欧州議会選挙が5月23-26日に行われる。極右やポピュリズム政党の台頭を含め、欧州政治の流れを占う。

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 incd-club は国際問題に関係する内外のジャーナリストやビジネスマンらのグループです。「国際ニュース・カウントダウン」は、世界のニュースから週刊単位でベスト5を選び、解説したもの。日本のメディアの報道とは異なる視点から、面白くかつ分かりやすく地球を鳥瞰しています。
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