2009年12月27日 (日)

◆2009年の重大ニュース 2009.12.27

 2009年もまもなく終了する。世界は金融危機後の経済混乱に揺れ、米GMが破綻した。安保んではアフガン情勢が悪化し、新型インフルエンザや環境問題に関心が集まった。世界史的には米オバマ大統領誕生の年として記録されることになる。

▽オバマ大統領
 オバマ大統領の誕生で米国の外交政策は大きく変わった。ブッシュ前大統領時代の単独主義は国際協調路線に転換。大統領は4月のプラハ演説(核なき世界)、6月のカイロ演説(イスラムとの対話)などで世界に次々にメッセージを発信した。9月にはミサイル防衛システムの東欧配備を中止し、冷却化していたロシアとの関係をリセットした。ノーベル平和賞が与えられたのは、新外交政策への期待からだろう。
 ただオバマ政権の外交政策が、現実主義の上に経っていることは忘れてはならない。アフガンは新戦略で増派を決定。核拡散防止では厳しい姿勢を貫く。
 米国に初の黒人大統領誕生そのものが世界史的なニュースであることも世界を眺める基本認識として不可欠だ。

▽世界経済
 世界経済は金融危機後の混乱が続き、世界全体の成長率は戦後初のマイナスに落ち込んだ。こうした中で20世紀を代表する企業である米GMが破綻した。ただ、世界経済は1-3月期を底に上向き始め、懸念された世界恐慌は避けられようだ。
 各国は金融危機の原因となり、世界経済を再び不安定にしかねない金融システムの改革論議を重ねた。それなりの対応は決めたが、決定的な結論が出たとは言い難い。「パレダイムの転換」ばかりが強調される資本主義の行方についても、まだキーワードが見つかっていない状況だ。 

▽新型インフル、アフガン、環境
 経済以外で世界を揺るがしたニュースといえば、新型インフルエンザの流行が挙げられる。人類にとっての疾病の影響を改めて思い起こさせた。
 安全保障ではアフガン情勢が悪化。イラクに代わって世界の安全保障を揺るがす中心課題になった。イラン、北朝鮮の核拡散問題もくすぶり続けた。
 地球温暖化など環境問題への関心は一層高まった。COP15会議は初の首脳級会議となった。ただ結論は事実上、2010年以降に先送りした。こうした中で企業は環境ビジネスへの傾斜を加速。電気自動車やスマートグリッドも構想から実現化の段階に入った。経済構造の変化は着実に進んでいる。

▽中長期的潮流と2010年以降への課題
 単発のニュースとしては目立たないが、世界を変える中長期的な変化は着実に進んだ。ITなどの技術革新は加速し、携帯やスマートフォンの普及に拍車がかかった。
 中国やインドは不況からいち早く回復、世界経済における新興国の存在感拡大は一掃鮮明になった。2010年には中国が世界第2の経済大国になるのが確実だ。 
 技術革新、新興国の影響力拡大、環境問題などは2010年も重要な変化をもたらし続けることを感じさせる。

▼2009年の10大ニュース
 INCD Clubが独断と偏見で(^^)選ぶ2009年の10大ニュースは以下の通り。オバマ政権と経済関連のニュースは分類の仕方次第でいくつにもなるが、なるべくまとめた。

1.米オバマ政権誕生。外交政策転換(ノーベル平和賞受賞なども)
2.米GMが破綻。
3.新型インフルエンザ流行。
4.アフガニスタン情勢悪化。米は新戦略発表。
5.世界経済混乱継続。マイナス成長。恐慌は回避。
6.温暖化問題に世界の関心。COP15は懸案先送り。産業界は環境対応加速。
7.中国が建国60周年。大国としての存在感拡大。
8.米軍がイラク都市部から撤退。
9.EUがリスボン条約発効。
10.核拡散新展開(北朝鮮、イラン。オバマの核なき世界演説)

▼世界の主要メディアの重大ニュースは次の通り。

◇The Economstの"The world this year"(10には限定せず)
・米オバマ政権の誕生。外交政策転換。ノーベル平和賞受賞など。
・核拡散問題(イラン、北朝鮮)
・米軍がイラク都市部から撤退。
・アフガン情勢悪化。カルザイ大統領再任。関連でパキスタン情勢悪化も。
・世界経済混乱。失業率悪化、財政悪化、銀行救済。金融規制議論、ボーナス規制も。
・GM破綻
・中国経済成長
・EUがリスボン条約発効。
・新型インフルエンザ。
・地球温暖化問題。COP15.
・スリランカの内戦終結。
・イラン情勢(大統領選とその後の混乱)
・各国政治の動向:ドイツ総選挙(大連立→中道右派)。日本の政権交代。インド総選挙(国民会議派勝利)。インドネシア大統領選。
・政治混乱:ジンバブエ。ホンジュラス。
http://www.economist.com/world/displayStory.cfm?story_id=15133572&source=hptextfeature

◇共同通信社
1.オバマ米新政権スタート。「核なき世界」でノーベル平和賞
2.米自動車大手GM、クライスラーが経営破綻
3.北朝鮮が6カ国協議を離脱、核実験。米朝関係に動きも
4.アフガンの治安、さらに悪化。米が軍隊の増派含む新戦略
5.イラク多国籍軍に幕。米軍戦闘部隊が都市部から撤退
6.歌手のマイケル・ジャクソンさん急死。映画は大ヒット
7.中国が建国60周年。ウイグルで暴動。経済は8%成長
8.金融サミット相次ぎ開催。「ドバイ・ショック」で為替など激動
9.2016年夏季五輪のリオ開催決まる。東京は落選
10.EU新基本条約が発効。新「大統領」にベルギー首相

◇Google most serched items
 国際ニュースとは直接関係しないネット世代の世界の人々の関心を反映する。ちなみに2008年のFastest Risingのトップはsarah palin、2位はbeijing 2008だった(オバマはすでにその前から
よく検索されていた)。2007年はiphone。

Fastest Rising (Global)
1.michael jackson
2.facebook
3.tuenti
4.twitter
5.sanalika
6.new moon
7.lady gaga
8.windows 7
9.dantri.com.vn
10.torpedo gratis

◇読売新聞の読者アンケートによる海外ニュースベスト10
1 新型インフルエンザ大流行、世界で死者相次ぐ
2 オバマ米大統領が就任
3 マイケル・ジャクソンさん急死
4 米GM、クライスラーが相次ぎ経営破綻
5 ノーベル平和賞にオバマ大統領
6 北朝鮮が弾道ミサイル発射
7 韓国で射撃場火災、日本人客10人死亡
8 中国新疆ウイグル自治区で暴動、197人死亡
9 南太平洋、スマトラで大地震相次ぐ
10 世界陸上、ボルト選手が3冠

2009.12.27

2009年52号(12.20-27 通算496号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年12月20-27日

◆米医療改革法案、上院が可決(24日)☆
・米議会上院は医療保険改革法案を60対39で可決した。
・下院はすでに同様の法案を可決しており、年明けから一本化作業を進める。
・医療改革は米国民の6人に1人といわれる無保険者の大幅削減を目指すもの。
・オバマ政権が内政の最重要課題として位置付けてきた。
・両院調整を残すものの、最大の山場を超えた格好。
・医療保険改革はクリントン政権など歴代政権が失敗。65年以来の大改革になる。
・ただ法案通過のために保守派に妥協。政権を支持してきた改革派からは不満も出る。

◆米機爆破テロ未遂、アルカイダ関与の疑い(25日)☆
・米ノースウエスト航空機(デルタ傘下)で爆破テロ未遂事件が発生した。
・犯人はロンドン留学中のナイジェリア人学生。デトロイト着陸直前に爆破を試みた。
・乗客が取り押さえ大惨事は免れた。
・犯人はアルカイダとのつながりがあるとの指摘がある。
・テロの危険がなお広く存在する事実と、防止体制の欠陥が改めて露呈した感じだ。

◆欧米で寒波、凍死者相次ぐ(20日)
・欧州が寒波に見舞われ、各地で凍死者が出た。
・ポーランドやドイツ、オーストリア、フランスなどで数十人が凍死した模様。
・多くはホームレスや泥酔者。
・米国ではNYやワシントンが大雪に見舞われ、航空機の便が乱れた。

◆国連予算、新興国の負担を引き上げ(24日)
・国連は総会で通常予算の分担率に関する決議を採択した。
・中国やインドなど新興国の分担を拡大する。
・米国は22%を維持。日本は16→12%強に低下。欧州諸国も分担率が下がる。
・新興国の経済成長が、国連分担金にも反映された格好だ。

◆米欧株価が年初来高値(24日)
・24日のNYダウは1万520ドルと昨年10月以来の高値を記録した。
・ロンドンのFTSEも年初来の高値となった。
・米MSCI算出の世界株価指数は25日時点で年初から26%上昇した。
・昨年は40%下落していた。
・世界経済の回復基調を反映した格好。ただ、先行きの不透明感は強い。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
  ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース         
  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【2009年終了】2009年も間もなく終了。世界は経済混乱、アフガン情勢、地球温暖化などのテーマを中心に動いたが、一貫してオバマ米大統領を中心に動いた感じだ。

◎今週の注目(2009.12.28-2010.1.2)&当面の注目
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・いよいよ2010年。新年のアジェンダを考える時期だ。各国首脳などの新年メッセージも注目。
・1月にはオバマ大統領の初の一般教書演説、ダボス会議など。

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2009年12月20日 (日)

◆COP15会議の成果 2009.12.19

 コペンハーゲンで開催されていたCOP15会議は、具体的成果を生み出すには至らず、問題を来年以降に持ち越す形で終了した。ただ、地球温暖化会議として初めて首脳級会合を開き、オバマ米大統領をはじめ各国首脳が真剣に議論した意義は過小評価すべきでない。「次のステップへの重要な第一歩」になるかどうかは予断を許さない。

▼合意採択できず

  米、欧州諸国、中国、インド、日本など主要国は、18日から首脳級会議を開催。期限を延長して19日午前までの協議で合意案をまとめた。しかし、その後の全体会議でスーダン、ベネズエラなどを中心とする途上国は反対。結局文書の採択は断念し、議長の「合意に留意する」という宣言を了承する形で終了した。

▼主要国合意の内容

 その主要国合意の内容は、(1)来年1月末までに、先進国は2020年に向けた削減目標、途上国は行動計画を提示する(2)先進国は途上国支援に10-12年に300億ドル拠出。2020年までに1000億ドル拠出を目指す(3)ポスト京都議定書の枠組み交渉作業部会を継続--など。

 合意は削減目標について法的約束を強いるものではないし、ポスト京都議定書の枠組みを示すものでもない。2007年12月のバリ島でのCOP13で決めた交渉日程の目標に比べたら後退した内容だ。全体会合ではそん合意すら採択できず、温暖化問題の難しさを改めて認識させる結果となった。

▼根深い対立

 地球温暖化を巡っては先進国対途上国、欧州や日本対米国、途上国内(中国やインド対島嶼諸国)などの間に根深い対立がある。それはCOP15会議でも解消できなかった。
 中国は今や世界最大のCO2排出国。しかし「温暖化の責任は先進国にある」として一貫して主張し、削減義務受け入れを拒否し続けている。会議でもこの立場は変わらなかった。
 この「まず先進国が(一段の)責任を」という立場は、インドやアフリカ、中南米諸国など多くの途上国が共通して主張した。
 米国(京都議定書不参加)はオバマ政権になって温暖化問題取り組みに前向きな姿勢を示している。それでも「中国の参加しない枠組みへの参加は意味がない」という基本姿勢は崩さなかった。
 京都議定書参加のEUや日本は、次の枠組みには米中の参加が不可欠との繰り返した。ツバルなど島嶼諸国は先進国、途上国を問わず排出国の責任を追及した。
 会議は12月7日から精力的に続けられた。議長は様々な提案を示した(京都議定書の延長+非参加国については新たな枠組み協議、などの提案もあった)。しかしいずれも決定打にならなかった

▼夜通しの首脳会合

 COP15には米国のオバマ大統領をはじめ欧州各国(英独仏)首脳、温家宝中国首相、シンインド首相ら各国首脳が参加。オバマ大統領らはメンバーの組み合わせを変えて精力的に協議した(米中印と主要途上国の会合、米欧中心の会議等々)。最終的には、夜を徹した会議で主要国合意を目指した。その結果、何とか合意案をまとめ上げ、決裂を回避した。
 COP会議で首脳会合が開かれたのは初めて。コペンハーゲン合意の内容はとにかく、首脳がリスクを追って地球温暖化に取り組む姿勢を見せた政治的な意義は軽視すべきではない。

▼最低限の合意

 世界の主要メディアの会議直後の評価は、基本線では似ている。英Economist誌はbatter than nothingと論評。英Financial Times紙はClimate conference ends in discord(温暖化会議は意見の違いを残したまま終了)と表現した。NY Times紙はA grudging Accord in Climate Talks(ぱっとしない合意)と伝えた。いずれも最低限の合意という見方だ。

▼持ち越された課題

 京都議定書の期限は2012年まで。それまでに政治合意のみならず、法的な枠組みができなければ温暖化問題は協定なしの時代に入ってしまう。
 当面は来年1月までに先進国、途上国がどのような数値目標や行動計画を出すかが焦点。そこをクリアすれば、ポスト京都議定書の枠組み作りなどの議論に入れるという段階だ。課題は大きく、打開には米欧中などの首脳の政治決断しかない。
 国連の潘基文事務総長は、意味のある第一歩(an essential beginning)と強調した。ただ会議の成果が今後の交渉にどこまで生かせるかは不透明。行方は予断を許さない、としか言いようがない。

2009.12.19

 
 

2009年51号(12.13-19 通算495号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年12月13-19日

◆COP15、新枠組みは先送り(19日)☆
・COP15会議は当面の対応を示したコペンハーゲン合意に留意するとの採択をして閉幕した。
・合意は米欧中など主要国の首脳が夜通しの交渉でまとめた。
・2010年1月までに先進国は中期数値目標、途上国は行動計画を提示する。
・途上国支援に2012年までに300億ドル拠出なども示した。
・しかし一部途上国は合意受入れを拒否。そのものの採択はできず、留意にとどまった。
・ポスト京都議定書の枠組み作りは、決着まで程遠い状態だった。
・会議は懸念された決裂を回避し、最低限の合意を繕った格好。
・しかし大きな成果とは言い難く、課題は来年以降に持ち越した。
・その辺の評価を英Economist誌は、Better than nothingと表している。

◆タイム誌「今年の人」にバーナンキFRB議長(16日)☆
・米タイム誌は恒例のPerson of the yearにバーナンキFRB議長を選んだ。
・選出理由として、米経済が恐慌から逃れるのに貢献したことを挙げる。
・他の候補はアフガン駐留軍のクリスタル司令官、ペロシ下院議長、中国の労働者などだった。
・ただし、バーナンキ氏への評価は賛否両論が並存。金融危機の責任を問う声もある。
・米上院銀行委員会は17日、同氏の再任を16対7で承認した。本会議の承認は来年に持ち越した。

◆ギリシャ財政悪化、国債格下げ ☆
・ギリシャの財政悪化への懸念が拡大。国際金融市場の不安材料になっている。
・前政権の統計のごまかしが発覚。09年の財政赤字はGDP比倍増の12%超になる見込み。
・このため格付け会社による国債格下げが相次ぎ、16日にはS&Pが長期債務を格下げた。
・新政権は14日、社会保障費の1割削減などを核とする財政再建策を発表した。
・しかし実現性への疑問が残り、市場の不安は消えていない。
・動揺は、土地バブルの破裂したスペインなど他の南欧諸国にも伝播している。
・市場では現在、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインの4国はPIGSと言われる。
・EUや欧州中銀は非常時の金融政策からの出口戦略を探る。しかし不安材料は多い。

◆EU、マイクロソフト制裁問題打ち切り(16日)☆
・欧州委員会はマイクロソフトに対するEU独禁法違反の是正手続きを打ち切った。
・欧州委はマイクロソフトのOSとブラウザーの抱合せ販売について2001年から調査。
・16億ユーロ超の制裁金支払いを命じた。これに対しMSが提訴していた。
・欧州委はMSのその後のソフト開放の対応などを評価。約10年越しの対立が決着した。
・一方米FTCは16日、インテルがパソコンMPU販売で独占的地位を利用したとして提訴した。
・企業戦略上、独禁法の重みは拡大している。

◆湾岸首脳会議、通貨統合は先送り(14-15日)
・ペルシャ湾岸6産油国はクェートで首脳会議を開催。経済問題などを協議した。
・2010年を目標としていた通貨統合は、事実上先送りした。
・各国は事実上米ドル連動の通貨体制。相場の固定化→通貨統合の目標を掲げていた。
・各国実体経済の格差などから実現を疑う見方もあったが、政治的目標として掲げてきた。
・金融危機による経済動揺などを受け、先送りが避けられなくなった。
・ドバイの経済危機問題では14日、アブダビが100億ドルの支援を発表した。

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◎寸評:of the Week
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 【COP会議】 世界の注目が集まったコペンハーゲンのCOP15会議は、決裂を回避したものの最小限の合意で閉幕。温暖化問題の難しさが改めて浮き彫りになった。

 【公的資金返済】 米金融機関が相次ぎ公的資金の返済を進めている。ウェルズ・ファーゴは14日に返済計画を発表。大手6社の返済計画がすべて承認された。ただ、金融機関は依然多額の不良債権を抱えており、もう大丈夫と手放しになれる状況ではもちろんない。
 一方バーゼル銀行監督委員会は17日、銀行の自己資本と流動性に関する新規制を発表した。自己資本の充実を求める内容だが、当面の貸し渋り回避なども配慮してかなりの移行期間を設定する。
 金融機関の経営状態や規制は引き続き、注意深く見ていく必要がある。

◎今週の注目(2009.12.20-26)&当面の注目
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・2009年も大詰め。欧米は週後半からクリスマス休暇に入る。
・米国の医療制度改革論議は、オバマ政権がクリスマス前決着を目指し重要な局面になる。
・2009年の重大ニュースが各メディアから発表される。

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2009年12月13日 (日)

◆オバマ大統領ノーベル賞演説のポイント整理 2009.12.12

 オバマ大統領が12月10日にノーベル平和賞を受賞。授賞演説を行った。「戦争と平和」について世界に改めて問題提起をすると同時に、自らの立場への理解を求めた内容。理想と現実のはざまで苦悩する姿も投影された。内容のポイントを整理してみると、以下のような点が上げられる。

(1)問題意識=戦争と平和に関する問題を提起。
 大統領は「戦争と平和に対する難しい問題と共に授賞式の場に来たと」と問題を提起した。授賞を巡り様々な議論があることを意識し、過去の偉大な授賞者に比べ自身が成し遂げたこと些細なもの(Slight)とも述べている。

(2)武力行使は肯定=理想主義の重要さを指摘しつつ、現実主義の立場から必要なら武力行使を肯定する。
 正義の戦争(just war)の言葉を掲げて議論を展開。ガンジーやキングやの非暴力主義の重要さを指摘した上で、世界に悪は存在すると明言し(Evil does exist in the world)武力行使も時には必要と肯定している。
 こうし論理の上にた国のアフガニスタン派兵を正統化した。また人権の観点からも武力行使が正統化される事例があるとして、バルカン紛争などを挙げている。

(3)平和への諸課題を整理=武力行使にも条件を付けている。
 武力行使の肯定とともに戦争の不条理も強調し、人間の愚行の表れでもあるとしている。武力行使の場合も守るべきルールがあるとし、グアンタナモ基地閉鎖もこのためと説明した。
 課題として核拡散防止、地域問題などを指摘。ダルフール、コンゴなどの問題を挙げた。人権重視の立場も強調し、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー、ジンバブエ情勢などに言及した。

(4)米国の役割=国際協調重視。
 世界の平和維持に関する米国のこれまでの貢献を改めて強調。その上で国際協調重視の立場を強調している。

(5)バランスの重要性を強調
 平和の維持・実現に向けた対応に単純な方程式はないと指摘。圧力と恩恵など「最良のバランス」を考える必要があるとする。

(6)過激派の宗教利用を警戒

(7)人類の進歩(Progress)に期待

 「戦争と平和」という問題に、明確な結論があるわけではもちろんない。オバマ演説は問題の難しさを十分に認識したうえで、今日的視点から問題提起を行った。
 理想と現実のバランスに苦悩するのは世界のリーダーとして当然。演説ではそれを正直に吐露している印象を受ける。世界の安全保障に最大の影響力を持つ責任者として、現実主義に立ちながら理想を掲下ているのがオバマ流なのだろう。将来への希望の根拠として「人類の進歩」を挙げているのも特徴的だ。

2009.12.12

2009年50号(12.6-12 通算494号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年12月6-12日
 

◆COP15会議が開催(7日)☆
・地球温暖化問題を協議するCOP15会議がコペンハーゲンで始まった。
・ポスト京都議定書(2013年-)の温暖化ガス排出規制の枠組みを協議している。
・排出量を巡り先進国と途上国、先進国内、途上国内の対立が改めて浮き彫りになった。
・調整協議が続いているが、打開のめどは立っていない。
・ただ各国は合意に向けた政治的意欲を示し、様々な提案をしている。
・18日の首脳級会議に向けてぎりぎりまで調整が続く見通し。

◆オバマ大統領がノーベル賞受賞演説(10日)☆
・オバマ米大統領へのノーベル平和賞の授賞式がオスロで行われた。
・大統領は約36分の受賞演説で「戦争と平和」に関する考えを示した。
・平和の実現に時に戦争も避けらないと、アフガン派兵などを正統化した。
・一方で平和実現に向けた努力の必要性と決意を示した。
・武力行使時の行動規範順守や国際協調、核軍縮と拡散防止、人権配慮も強調した。
・就任1年未満で、しかも2つの戦争を遂行中の現職大統領への授賞は異例。
・このため受賞には、賛否双方の立場から様々な意見が出ている。
・ノーベル委員会は、授賞で核軍縮などの政策を後押しする狙いと指摘される。

◆米高官が北朝鮮訪問(8-10日)
・米国のボズワース北朝鮮担当特別代表が平壌を訪問。高官と会談した。
・オバマ政権発足後初の政府間協議。
・北朝鮮核問題の6カ国協議再開などが話された。
・詰め切れない部分も多く、今後も米朝や6カ国の調整が続く。

◆米欧で金融報酬の規制策
・英政府は9日、銀行員の高額賞与への特別課税を発表した。
・2.5万ポンドを超える分のボーナスに50%の特別税をかける。
・仏も10日同様の措置を発表した。2.7万ユーロ以上の超過分に50%課税する。
・米国は11日、公的資金支援会社幹部などの所得制限の範囲を広げた。
・G20は9月の首脳会議で、金融安定を阻害する高額賞与の是正で合意。
・これを受けて各国は具体策作りを進めていた。
・ただ決定には選挙対策などの側面もあり、効果のほどは不透明だ。

◆イランで改革派が警官と衝突(7日)
・テヘラン中心部で改革派支持者と警官隊が衝突した。
・改革派は1953年の政府弾圧犠牲者記念日に合わせてデモを強行した。
・6月の大統領選は開票を巡り混乱。改革派と大統領派が衝突した。
・その後も対立はくすぶり続けている。

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◎寸評:of the Week
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 【COP15】 世界注目のCOP15会議が始まった。当初は高級事務レベルの会議。予想通り先進国対途上国、先進国内(米国対EUなど)、途上国内(島嶼諸国と中印など)の対立が続いている。今後も調整が続き、大詰めの首脳級会合まで紆余曲折がありそう。

 【各地の動き】 改めて指摘するまでもないが、国際的なニュースとして報道されなくても、世界各地ではそれなりに重要な動きが色々起きている。イラクで連続テロ(8日)。パキスタンのラホールなどでテロ(8日)。フィリピン・ミンダナオ島・マギンンダナオで地方選巡る虐殺事件発覚。ルーマニア大統領選決選投票は現職のバセスク氏が辛勝(6日)。ボリビア大統領選は社会主義運動(MAS)の現職のモラレス大統領が勝利した。アイルランド市民が妊娠中絶法は違法とのEU人権裁判所に訴え。タイ軍は北朝鮮貨物船から武器押収(12日)。

◎今週の注目(2009.12.13-19)&当面の注目
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・コペンハーゲンで開催中のCOP15会議は18日に首脳級会合で山場を迎える。
・チリの大統領選と総選挙が13日行われる。

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2009年12月 6日 (日)

◆米増派決定とアフガン情勢 2009.12.5

 オバマ大統領がアフガニスタン新戦略を決定、来年夏までの3万人増派を発表した。議論が本格化してから数カ月、政権内でも調整難航を極めた末の決定だ。しかし、アフガン問題の行方がすっきりしたとはとても言えない。むしろ状況の深刻さと問題解決の難しさが浮き彫りになった格好だ。

▼苦渋の決定
 増派問題は初夏以来議論が始まり、ホワイトハウスでは9月以降、10回に及ぶ会議が開かれた。現地駐在軍のマクリスタル司令官は4万人の増派を要求。これに対しバイデン副大統領らは増派の効果に懐疑的で、テロとの戦いの焦点をむしろパリスタンに移すべきだと主張した。
 この間アフガンの現地情勢は悪化。8月の大統領選も開票を巡るごたごたが続いた。11月になってカルザイ大統領の再選が決まったものの、求心力は一段と低下。汚職体質の改善も進まず、カルザイ大戦の統治能力に対する疑問は日増しに大きくなった。
 どのような決定をしても批判は避けられない。究極の決断を迫られる中、大統領は結局3万人の増派を決定。欧州などに1万人の増派を求めた(これが実現すれば現場の求めた4万人となる)。
 同時に「18か月後に撤退を始める」目標を明示。また「43カ国(国際治安支援部隊=ISAF=への派兵国)の支援を受けている」と強調し、国内世論に配慮を示した。

▼見えない展望
 しかし、目標実現への具体的展望が開けているわけではない。
 決定に対しタリバンは徹底攻勢を表明した。タリバンは2001年のアフガン戦争で壊滅的な打撃を受けたが2004年頃から勢力を回復。現在では国土の80%を実効支配していると言われる。
 アフガン政府は当然、歓迎を表明した。しかし2011年の撤退開始の目標については、非現実的との声が上がっている。統治能力が欠如していることは政権自身が承知し、外国軍の支援頼りが続く。 
 NATOは12月4日の外相理事会で増派問題を協議。英国など一部前向きな姿勢を示した。しかし、米国の希望する1万人が実現するかは不明だ。
  
▼重い課題
 アフガン情勢が同国や世界の安全保障に及ぼす懸念と、事態改善に向けた課題は数え切れない。改めて主なものだけ挙げても、次のようなものがある。

(1)治安一層悪化の懸念: 外国軍による掃討作戦を重ねても、むしろタリバンの勢いは増している。経済建設の遅れから貧困層が拡大、タリバンにリクルートされる人も少なくない。
(2)治安部隊育成の遅れ: アフガン政府は自身の治安部隊育成に努めるが成果は限定的。指導者の人材不足、給与財源の不足、そもそも政府に対する信頼の欠如など課題は山積している。外国軍頼りからの脱却は容易ではない。現在国軍は約9万人、警察は約8万人(外国軍は米国の6.8万を含め10.4万人)。
(3)アフガン政府の統治能力の欠如: 汚職の蔓延など政権への信頼は低いまま。カルザイ政権の統治能力は低く、大統領選で一層ひどくなった。カルザイ大統領に代わる指導者も見当たらない。
(4)パキスタン情勢への飛び火の懸念: パキスタン内には多数のタリバンが流入。同国の治安を脅かしている。パキスタンの政治闘争も続き、ザルダリ大統領の統治能力は弱い。情報機関とタリバンの関係も根深い。底に今回の増派で→タリバンのパキスタン領流入→同国の一層の治安悪化の懸念も消えない。最悪の場合には、過激派へのパキスタンの核兵器の流入という悪魔のシナリオが指摘される。
(5)イラン情勢への影響: アフガン情勢混乱が続き、米国や欧州の余力がなくなれば、イランは強硬姿勢を取りやすくなる。欧米は核問題などでも対応をしにくくなり、地域の新たな不安定要因になる懸念がある。 

▼第2のベトナム化懸念
 アフガン情勢は、オバマ大統領の政治基盤にも大きな影響を与える。今回の決定は政権の浮沈を左右し、今後の展開次第では決定的なダメージになってもおかしくない。
 アフガンでの死者はイラクを上回るようになった。増派が治安改善に役立てばいいが、成果を示さずにずるずると進み、第2のベトナム化となる懸念も消えない。
 軍事支出も膨大で、ただでさえ金融危機後痛んでいる米財政を直撃する。
 大統領の支持率は低下が続き、ついには50%を割って不支持が支持を上回る調査も出てきた。
 英Financial Timesは社説で、オバマ大統領は「掛け金を2倍に増やした」と評した。成功すればいいが、失敗すればダメージも倍増する。政治的な賭けというのも、的を射た表現だろう。

▼世界の問題
 米世論調査でも増派への賛成・反対は拮抗している。一方、アフガン情勢の今後については悲観的な意見が多数だ。世論も展望を見いだせず、心配ばかりが募る。それがアフガン問題に対面する米国や世界の現状なのだろう。
 ただ、あえて建設的な材料を見出そうとすれば、イラク戦争時のように「世界が割れた」状況ではないこと。欧州同盟国もアフガン問題を世界の問題としてとらえ、米国との連絡は密だ。オバマ大統領は新戦略発表の前に、同盟国はもとより中国、インド首脳にも連絡。世界の問題として協議している(日本は外相レベルの連絡のみ)。
 世界はアフガン情勢をアキレス腱として抱えながら2009年の暮れを越そうとしている。

2009.12.5

2009年49号(11.29-12.5 通算493号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年11月29日-12月5日

◆米、アフガンに3万人増派決定(1日)☆
・オバマ大統領はアフガン新戦略を発表した。
・ウエストポイントの陸軍士官学校で演説し表明した。
・来夏までに3万人の追加増派する。現在の6万8000→約10万人になる。
・2011年7月に撤収開始を目指すことも表明した。
・一部批判を覚悟の上で、増派という思い切った決断をした格好。
・ただアフガンの治安は悪化が進展。成功の保証はなく、政治的賭けになる。
・新戦略を巡っては現地司令官が4万人の増派を要求。
・しかし増派に慎重な意見も根強く、調整が難航していた。
・米国は欧州などに1万人に増派を要請した。ただし調整はまだ。

◆GMのCEOが辞任(1日)☆
・米GMはヘンダーソンCEOの辞任を発表した。
・取締役会による事実上の解任とみられる。
・当面ウィテカー会長がCEOを兼任。後任選びには数カ月かかる見通し。
・前CEOは3月に就任。6月には連邦破産法11条を申請し、再建を進めてきた。
・しかし再建手法を巡り他の取締役と対立があった模様。
・この間オペルの売却を巡るごたごた(売却合意→取り消し)もあった。
・景気底打ちでGMの業績に回復の兆しはある。しかし再建の行方は混乱が続く。

◆北朝鮮がデノミ(30日)☆
・北朝鮮がデノミやネーションを実施した。
・旧通貨100ウォンを新通貨1ウォンに交換するのが柱(100対1)。
・ただ預貯金の交換は10対1との情報が流れ、交換の上限についても情報が交錯する。
・理由としてインフレ対応や、管理強化による闇市場や外貨通貨量の縮小が指摘される。
・移行に伴う混乱も報道されているが、その影響など詳細は不明だ。

◆スイス国民投票、モスクの尖塔建設を禁止(29日)☆ 
・スイスは国民投票で、モスクの尖塔の建設を禁じる憲法改正を可決した。
・57.5%が禁止に賛成した。
・スイスではモスクから流れるアザーンなどを巡り、軋轢が表面化していた。
・人口750万人のスイスには約40万人のイスラム教徒が住んでいる。
・イスラム教徒との共存は欧州各国で共通する問題。
・欧州人口(EUでは5億人)中イスラム教徒は5%程度。2025年には10%との予測がある。

◆EUリスボン条約が発効(1日)☆
・EU新基本条約のリスボン条約が発効した。
・27カ国まで拡大したEUの運営を可能にする機構改革、統合強化などを定めた。
・首脳会議の常設議長(大統領)や外交代表も設定。政治面での役割も拡大する。

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 INCDの採点
  ☆☆☆ 世紀の大ニュース                  
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  ☆   国際情勢を理解するのに知っていた方がいいニュース新大統領  
  無印  興味のある方は。知らなくても困ることはないでしょう
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◎寸評:of the Week
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 【COP15山場へ】 地球温暖化のポスト京都議定書を協議するCOP15の会議がいよいよ始まる(7日からコペンハーゲン)。高級事務レベル→閣僚級と進み、18日には首脳級会議が開かれる予定。これに先立ち米国は4日、オバマ大統領が予定を変えて首脳級会議に参加すると発表した。米国、中国など各国は先月以来、独自の目標などを表明。交渉での主導権争いをにらみ、動きを活発化している。何らかの政治合意ができるかどうか、世界注目のプロセスが始まった。

 【核軍縮】 米ロのSTART1(第1次戦略兵器削減条約)が5日失効した。これに先立つ4日、オバマ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領は共同声明を発表し、同条約の後継となる新条約の早期締結に決意を示した。今月18日前後にはCOP15首脳会議に合わせて米ロ首脳会談を開催、交渉に弾みをつける。世界の核問題は、イラン、北朝鮮など新たな拡散懸念が高まっているが、米ロ2大核大国が軍縮に前向きなのは安心材料か。

◎今週の注目(2009.12.6-12)&当面の注目
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・地球温暖化を巡るCOP15会議が7日からデンマークのコペンハーゲンで始まる。
・ノーベル賞の授賞式が10日にストックホルム、オスロで開かれる。注目は平和賞を受賞するオバマ米大統領。どんなスピーチの内容になるか。
・EU首脳会議が10-11日にブリュッセルで。

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2009年11月29日 (日)

◆ドバイ・モデル蹉跌の影響と意味 2009.11.28

 UAEのドバイ政府が傘下の持ち株会社、ドバイワールドなどの債務返済の延期を要請、信用危機が表面化した。過去20年近く高成長を実現し、中東発展の象徴となっていたドバのイ・モデルは、岐路に立っている。

▼国際市場に衝撃
 ドバイ政府が債権者に対し返済延期を要請したのは、政府系持ち株会社のドバイワールドとその傘下の不動産開発会社のナキール。12月が期限のイスラム債(スクク)などが対象と見られる。
 ドバイの経済は金融危機後、悪化していた。それでも数週間前にドバイのシェイク・モハメド(ムハンマド)首長が債務支払いは問題ないかのような発言をしていただけに、国際市場には衝撃が走った。
 26日の世界各国の市場では株価が下落。ドバイ政府債の貸し倒れリスクを示すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の保証料率は急騰した。中東に債権の多い欧州金融機関の経営に対する懸念も拡大した。

▼不透明な内容
 両社の債務は540億ドルと言われ、ドバイ政府の債務は800億ドルと推定されるが、詳細は不明。25日に突然発表した理由についても、イスラムの巡礼の休暇に入る前日だったからなどと解説されるが、不明だ。
 不透明性は、中東ビジネスの一つの特徴でもあるが、この局面でも表れた格好だ。
ドバイ政府は週明けに詳細を説明するとしている。

▼脅威的な発展
 ドバイは1990年代以降、驚異の経済成長を遂げ、中東発展の象徴として注目されてきた。
 アラブ産油国からの資金流入を活用し、大規模な投資で物流拠点や商業施設、リゾート、金融センターなどを整備。地域の資金と人を呼び込んできた。
 この戦略が上手く機能。発展が発展を呼ぶ好循環を生み、中東・アフリカ・インド洋地域のビジネスや物流、観光のハブとしての地位を築いた。
 金融危機前の時期には空前の繁栄を謳歌。ヤシの木の形をした人工島や、世界1の高さを誇るビル・ブルジェドバイ、滑走路7本の新空港など建設ラッシュに沸き、一時は世界の大型クレーンの3分の1がドバイに集中しているといわれたほど。インドなど各地からは労働者が集中。一流ホテルは一泊最低500ドルというように、経済はヒートアップ(バブル化)していた。

▼ドバイ・モデル
 こうした発展を可能にした背景・理由については、様々な解説本が出されている。
 共通して最重要の要素と指摘されるのが、首長のシェイク・モハメドのリーダーシップ。強烈な指導力の下に、国全体をドバイ株式会社として運営し、無理だと思われた計画を実現していった。
 さらに、(1)ドバイが石油資源の枯渇に比較的早く直面し、危機感から新たな発展を模索した(2)貿易港として発展して経緯などから、宗教やビジネスで自由だった(3)背後にサウジやイランを持つ地理的条件に恵まれていた――などの条件も重要だったと指摘される。
 当初からドバイの開発モデルは、「高速道路を2輪車で高スピードで進むようなもの」と、そのリスクの大きさを指摘された。しかし外部の懸念をよそに、過去20年あまり順調に発展。いつしか中東各国はドバイ・モデルに倣って開発に挑むようになっていた。
 ドバイワールドは、そのドバイ・モデルの中核になってきた企業だ。

▼金融危機で打撃
 高レバレッジで高度成長を目指すドバイ・モデルは、2008年秋の金融危機で深刻な打撃を受けた。アラブ諸国からの資金流入が細り、ドバイワールドなどは資金繰りが悪化。石油資源の豊かなUAEの盟主、アブダビの資金援助に頼るようになっていた。
 ビルやインフラの建設は凍結するところが相次ぎ、インドやパキスタンからの労働者は帰国。失速は覆い隠せない状況になっていた。
 それでもアブダビの支援などを背景に、破綻までには至らないとの観測も強かった。それだけに、今回の信用危機表面化はショックだった。

▼予断許さず
 今後の展開は不透明だ。多少の混乱はあっても、アブダビなどの支援を背景に何とかなるという見方がある。一方で、危機は深刻で第2波、第3波があるという観測も消えない。情報の開示が限定的なため、影響も読みにくい状況だ。

▼教訓
 ただ、ドバイ・モデルには単に経済活動からみる以上のものがある。モデルが今後も通用するかどうかはともかく、石油資源依存だった中東に新たな発展モデルの可能性があることを示した。中東の人、金、物の流れを変え、文化・社会的にも影響を与えた。砂漠の地に建設されたインフラ(高層ビル、空港、港、ゴルフ場など)が砂上の楼閣よろしく、地に帰ることもないだろう。
 ドバイ・モデルには、歴史的、地政学的な意味もある。その行方は世界経済はもとより、中東情勢にも影響する。

2009.11.28

2009年48号(11.23-28 通算492号) 国際ニュース・カウントダウン

国際ニュース・週間カウントダウン: 2009年11月23-28日

◆ドバイ信用不安が表面化、国際市場に動揺(25日)☆
・UAEのドバイ首長国は政府系企業の債務支払い猶予を要請すると発表した。
・持株会社のドバイワールドなど。12月返済期限のイスラム債などが当面の対象。
・同社の債務は590億ドルに上るとみられる。ドバイの債務は推定800億ドル。
・ドバイは1990年以降、アラブ世界から資金収集→大型開発→高成長を実現。
・中東開発の新たなモデルとなり、地域発展の象徴となってきた。
・しかし金融危機で困難に直面。資金繰りが悪化していた。
・石油資源の豊かなアブダビ政府の支援などで危機回避を目指すが、行方は不透明だ。
・発表を受け、世界各国で株価が下落するなど国際市場は動揺した。
・金融危機からの回復を目指す世界経済にとって、新たな不安要因になる。

◆ドル安が進展、円に資金流入
・米ドルの低下が進展している。
・ゼロ金利政策の長期化観測などが背景。
・資金流入先はこれまでの金や新興国、豪など高金利国向けが一服。
・直近は円にシフトし、円が急騰した。一時1ドル=84円台と14年ぶりの円高。
・ロンドン銀行間取引ではドルと円の金利が逆転している。
・ドルに事実上リンクの中国元も低下→輸出競争力上昇など、実態経済への影響も大きい。
・ドル安基調はなお続くとの見方が強い。
・ここにドバイ信用不安、金融危機再燃懸念などが加わり、国際市場は視界不透明だ。

◆米中が温暖化ガス排出削減で目標(25、26日)☆
・米国は25日、2020年までに05年比で17%削減の目標を発表した。
・オバマ大統領が12月のデンマークでのCOP15会議に出席することも表明した。
・2050年までの目標は05年比83%削減。
・中国は26日、2020年までにGDPあたりの排出を05年比40-45%削減すると発表した。
・COP15会議には温家宝首相が出席する。
・中国と米国は世界1、2の温暖化ガス排出国。京都議定書には参加していない。
・新提案は交渉主導を目指す材料とみられる。ただ日本やEUに比べると目標は低い。
・COP15会議は閣僚級→実質主脳会議になる。
・COP15では新議定書合意は事実上不可能だが、何らかの政治合意を目指している。

◆メッカの巡礼最高潮、インフルでも250万人(26日)
・サウジアラビアのメッカで大巡礼(ハッジ)が最高潮を迎えた。
・今年はインフル流行で各国が警戒を出したが、250万人が参加した。
・インフル感染被害も報告され死者が出ている。
・メッカに近いジッダでは大雨で洪水被害が出た。
・直前の25日にはドバイの信用不安が表面化。周辺ニュースが多い。

◆ロシアで列車テロ(27日)
・モスクワからサンクトペテルブルクに向かう列車が脱線。30人の死者が出た。
・爆弾テロの可能性が大きい。当局は捜査を開始した。
・背景などは不明だが、ロシアでは過去にも断続的にテロが発生している。

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◎寸評:of the Week
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 【国際資金の移動】 市場が再度、動揺している。ドル安基調が強まり、ドルから流出した資金が円に流入した。少し前の金や豪ドルなどからシフトした格好だ。国際資金はよりマシな運用先を求めて、不安定に動いている状況。ここにドバイ・ショックなどが加わり、視界は不透明だ。

 【12月】 今年も間もなく12月。世界はオバマ米大統領の登場、経済危機の継続、アフガン情勢悪化、地球温暖化などを中心に動いてきた。12月には米アフガン新戦略の発表、温暖化を巡るCOP15など、こうした問題の締めくくりの出来事がある。
 

◎今週の注目(2009.11.29-12.5)&当面の注目
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・米国がアフガン新戦略を近く発表の見込み。
・2010年のサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会の抽選が4日。2010年はアフリカ初のW杯が重要なイベントとなる。
・12月5日に米ロのSTART1が期限切れ。
・ホンジュラスの大統領選が29日実施される。クーデターの大統領職を追われたセラヤ氏の後任を選ぶが、正統性などを巡り混乱も予想される。

・地球環境問題:COP15の会議が12月7日からコペンハーゲンで。中旬には各国首脳が集まる首脳会議となる。

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