2020年1月26日 (日)

◆中国・武漢発新型ウイルスの衝撃と問いかけ 2020.1.26

 

 中国・武漢から新型のコロナウイルスによる肺炎が拡散。世界を揺るがしている。

▼武漢封鎖、中国団体旅行禁止

 感染は2019年末から始まった模様で、今年に入り感染に拍車がかかった。1月25日までに中国国内で1300人が感染、死者は41人に達した。

 武漢市は23日から主要公共交通の運行を停止。人口1000万人を超える同市は封鎖された格好になった。あたかもSF映画の世界のようだ。

 中国は24日から春節の休暇に入ったが、各地でチェックを強化。中国ではこの時期、延べ30億人の移動が予想されていた。万里の長城や故宮は休業となった。中国国内の団体旅行は24日から停止された。

▼SARSの教訓

 WHOは新型ウイルスが人から人に感染していると指摘。一方で23日、緊急事態宣言は見送った。感染がまだ中国国内中心であるためだ。

 アジアでは2003年にSARSが香港中心で流行。1000人近い死者を出した。その際に、香港や中国が情報開示を渋ったとして、国際社会から強い批判を浴びた。SARSの場合、感染者の致死率は10%程度だった。

 中国政府は今回、その時の経験も踏まえて情報公開と対応を急いでいる模様だ。

 中国による武漢封鎖、団体旅行の停止などは、ある意味強権国家でなければ取りにくい。中国はいったん方針が決まれは動きは速いとの指摘もある。

▼世界に課題を突き付ける

 現時点では情報も限られ、今後事態がどう進展するかは予断を許さない。肺炎の感染拡大の速度はもちろん、経済や社会・生活への影響も予測しがたい。

 確実なことは、今後しばらく世界の関心の中心一つとなり続けること。そして世界を揺り動かすことだ。

 中国のみならず、国際機関や国際社会の対策、情報管理や情報規制の是非なども関心事。国家や政治のあり方も重要だ。

 パンデミックという危機の突然の顕在化は、世界が潜在的に抱えるリスクと課題を意図せずに突き付ける。

 

◎ 春節や世界に飛び出すコロナかな
◎ 千万人の都市封鎖され春が来る  
◎ 危機管理強権国家の光と影

 

2020.1.26

2020年04号 (1.20-26 通算1020号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2020年1月20-26日
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◆新型肺炎流行、武漢を「閉鎖」 ☆☆
・中国・武漢から新型のコロナウイルスによる肺炎の感染が拡大。
・25日までに2000人以上の感染者と50人以上の死亡が確認された。
・感染者は武漢の他、中国核都市やアジア諸国に及ぶ。
・武漢市は23日、鉄道や航空機など公共交通機関を停止した。事実上の封鎖。
・中国は24日から春節の休暇に入り、30億人の移動が予想されていた。
・中国政府は24日、国内の団体旅行を停止。海外旅行も停止される。
・中国は観光地などを閉鎖。万里の長城や故宮も休業となった。
・WHOは人から人への感染が確実と指摘。国際的な緊急事態宣言は当面見送っている。
・アジアでは2003年にSARSの感染が拡大。700人以上が死亡した。
・新型ウイル感染戦がどこまで広がるかは不透明。影響も計り知れない。

◆トランプ大統領弾劾裁判、実質審議開始(21日)☆
・米上院でトランプ大統領の弾劾裁判が始まった。
・ウクライナ疑惑を巡るもの。下院が昨年末に弾劾訴追したのを受けた。
・まず裁判の運営規則を審議した。証人の招致を巡り与野党の議論が紛糾した。
・与党共和党は早期の終結を目指す。野党民主党は長期の審議を求める。
・弾劾裁判は11月の大統領選を睨んだ情報戦の舞台にもなっている。

◆欧州中銀などがデジタル通貨発行にらみ連携(21日)☆
・欧州中銀など6中銀は、デジタル通貨発行を睨み新組織設立を発表した。
・欧州中銀と日、英、スイス、カナダ、スウェーデン中銀。BISも参加する。
・年内に報告書をまとめる予定だ。
・中銀によるデジタル通貨は中国が計画している。
・FBなどは2019年リブラ計画を打ち上げ、民間主導の国際的なデジタル通貨を目指す。
・こうした中で中銀主導のデジタル通貨の可能性や課題を検討する。
・デジタル通貨は国際送金などに便利な一方、マネーロンダリングなどの問題もある。
・システム障害やサイバー攻撃などのリスクも指摘される。

◆ダボス会議(21-24)
・ダボス会議が開催。世界から約3000人のリーダーが集まった。
・資本主義のあり方や持続可能な成長などを協議した。
・トランプ米大統領は初日に演説。対中関税政策などを擁護した。
・通商政策や地球温暖化など環境問題では意見の対立が続いた。
・まとまったメッセージより、世界の分断が目立った。

◆ベゾス氏がハッキング被害、サウジ関与の疑い(22日表面化)
・アマゾンのベゾスCEOのスマホがハッキング被害に遭い、個人データが流出した。
・被害発生は2018年5月。サウジアラビアやムハンマド皇太子関係者の疑われている。
・皇太子のアカウントからWhatsAppで動画を受け取った後に、情報流出が始まった。
・ベゾス氏はワシントン・ポストのオーナー。
・同紙にはサウジのジャーナリストのカショギ氏が体制批判の記事を掲載していた。
・カショギ氏は2018年10月にサウジ関係者に殺害された。
・サウジは今回の流出事件への関与などを否定する。
・国連は職員に対し、Wharts Appの使用を2019年6月から禁止した。23日公表した。

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◎寸評:of the Week
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 【中国・武漢発新型ウイルスの衝撃】 中国・武漢から新型のコロナウイルスによる肺炎が拡散。世界を揺るがしている。(→国際ニュースを切る)

 

◎今週の注目(2020年1月27-2月1日 &当面の注目)
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・中国・武漢発の新型ウイルスの感染拡大に世界の関心が集まる。
・英国が1月31日にEUを離脱する。
・米上院でトランプ大統領の弾劾裁判が進む。
・アイオワ州で党員集会が2月3日に開催。米大統領選民主党の候補者選びが正式にスタートする。
・トランプ米大統領が2月4日に一般教書演説を行う。

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2020年1月19日 (日)

2020年03号 (1.13-19 通算1019号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2020年1月13-19日
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◆米中が貿易交渉「第1段階合意」に調印(15日)☆
・米中は貿易交渉の「第1段階合意」の文書に調印した。
・中国が米製品の輸入を2000億ドル増やす(紛争前の約50%増にする)。
・米国は対中輸入関税の一部を削減(1200億ドル分を15%→7.5%に)。
・中国による知財権保護なども盛り込む。
・米中貿易・ハイテク摩擦発生後、合意文書を交わすのは初めて。
・先立つ13日、米国は中国の為替操作国指定を解除した。
・ただ、米国は対中輸入2500億ドル分には25%の高率関税を維持する。
・第2段階の交渉のメドは今のところ立っていない。
・米中摩擦は、緊張した状況が続く。

◆ロシアが憲法改正案、首相交代、プーチン「院政」布石か(15日)☆
・プーチン大統領は年次教書演説で、憲法改正案を提示した。
・大統領が持つ首相と閣僚の人事権を下院に移すことなどが柱。
・大統領諮問機関の国家評議会の制度化なども盛り込んだ。
・2024年の任期をにらんで、院政に向けた態勢づくりとの見方が強い。
・メドベージェフ首相は同日、内閣総辞職を発表した。安保会議の副議長になる。
・後任首相にはテクノクラートのミシュスチン税務局長官が就く。
・国民の不満のガス抜きや、体制移行に向けた準備との観測が出ている。

◆中国の2019年成長6.1%に減速(17日)☆
・中国の2019年の成長率は6.1%だった。1990年以来29年ぶりの低い伸び率。
・米中貿易戦争の影響で輸出が投資が打撃を受けた。
・消費も減速した。人口高齢化などの影響が表れた。
・中国は3月の全人代で2019年の成長目標を6-6.5%とした。その範囲には収まった。
・中国は過去30年余り、世界経済の成長をリードしている。

◆英国のヘンリー王子が王室離脱(18日)☆
・ヘンリー王子とメーガン妃が英王室から事実上離脱する。英王室が発表した。
・2020年春以降公務に就かず、殿下、妃殿下(ロイヤルハイネス)の称号を失う。
・公費は受け取らない。公費で賄われた英国の住居改修費は夫婦が返還する。
・ヘンリー王子は、2018年に米国人でアフリカ系の血が入るメーガン氏と結婚。
・過剰な取材があったなどとしてメディアと対立していた。
・今月8日、経済的に独立し英国とカナダで生活すると希望を表明した。

◆トランプ大統領の弾劾裁判開始(16日)☆
・米上院でトランプ大統領を巡る弾劾裁判が開廷した。
・大統領の弾劾裁判は史上3例目。
・21日から実質審議が始まる。
・当面は証人の人選などに注目が集まる。
・上院は与党共和党優勢で、弾劾に至る可能性は今のところ低い。

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◎寸評:of the Week
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 【米中休戦】 米国と中国が貿易交渉の「第1段階合意」に調印。米中貿易戦争はひとまず休戦に入った。米中対立の基本構図が解消されたわけではないし、今回の合意がカバーする領域は貿易紛争全体のごく一部。それでも休戦に至った背景には、双方の事情と思惑がある。中国側は経済減速に歯止めをかけたい状況だった。
 一方、米トランプ大統領にとっては大統領選をにらんだ実績作りが必要だった。中国への輸出を2000億ドル増やすという約束は、トランプ政権第1期の成果として誇示しやすい。
 米中摩擦は、米大統領選と連関しながら動いている。

 

 【イラン情勢、米大統領弾劾】 米国によるイラン革命防衛隊司令官暗殺の後、緊迫しているイラン情勢は、膠着状態のまま推移した。米国内では、ウクライナ疑惑を巡りトランプ大統領の弾劾裁判が上院で始まった。こちらも「米大統領選睨み」がはっきりし表れる。

 

 【全ての道は大統領選へ】 上記の米中貿易戦争にしても、大統領弾劾の動きにしても、11月の大統領選睨みで動いている。
 年初は新年(2020年)の世界の針路や課題を議論することが増えるが、今年の注目テーマは断トツで米大統領選。米中貿易・ハイテク摩擦や中東情勢、環境問題などの重要テーマも、米大統領選の陰に隠れている感じがする。
 21日からはダボス会議も始まり、トランプ米大統領が出席し演説する。2月初めには一般教書演説が行われる。「すべてが大統領選につながる」感のある状況下で、どんな形でメッセージが発信されるか。

◎ 今年のテーマ、大統領選あと多数
◎ 米中も弾劾も選挙に流れ込む

 

 【MSのカーボン・ネガティブ】 マイクロソフトは2030年までにCO2排出をマイナスにすると発表した。事業活動からの排出を半減するほか、技術革新を進める。大企業による「カーボン・ネガティブ」の表明は知られていない。
 世界ではEUが2050年までのCO2ゼロを表明。企業ベースでも排出削減の動きが相次ぐ。トランプ米大統領の環境政策だけを見ていると分からない世界の潮流がある。

 

◎今週の注目(2020年1月13-19日 &当面の注目)
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・トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡る上院弾劾裁判の実質審議が21日に始まる。
・中国が25日に春節を迎え、春節の休暇シーズン。武漢で発生した新型コロナ肺炎の流行は懸念材料だ。
・ダボス会議が21-24日にスイスで開かれる。トランプ米大統領らが参加する。
・英国のEU離脱が1月31日。

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2020年1月12日 (日)

2020年02号 (1.6-12 通算1018号) 国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2020年1月6-12日
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◆イランが米基地を攻撃、報復合戦は抑制(8日)☆
・米軍によるイラン革命防衛隊司令官暗殺を受けた緊張が続く。
・イランは8日、イラク内にある米軍基地2か所をミサイル攻撃した。
・ソレイマニ司令官の葬儀が7日までに終了したのを受けた措置。
・トランプ米大統領は、イランに追加制裁を課したが武力講師は自重した。
・報復合戦の加速はとりあえず回避された格好だ。
・ただ情勢の緊迫は続き、偶発的な紛争リスクなどは大きい。

◆ウクライナ航空機撃墜、イランがミスで(8日)☆
・テヘラン→キエフに向かうウクライナ航空機が8日テヘランで墜落した。
・乗客と乗員176人が死亡した。
・イラン軍は11日、軍が誤って撃墜したとの声明を発表した。
・事件はイランがイラク内の米軍基地を攻撃した約4時間後に発生した。
・米国の反撃に備える中で誤射が起きたと見られる。
・緊張が高まっている時に、偶発の事故や事件が起きがちな状況を示す。
・イラン当局は当初撃墜情報を否定。情報隠蔽への批判デモがテヘランで起きた。

◆台湾総統選、蔡英文氏が再選(11日)☆
・総統選が行われ、現職の民進党・蔡英文氏が当選した。
・野党国民党の韓国瑜氏らを大差で破った。得票率は57%。
・同時実施の立法院選(定数113)も民進党が過半数超の61議席を獲得した。
・対中強硬路線が支持された格好だ。
・昨年の香港における抵抗運動を受けて、台湾では中国への警戒が増加した。
・選挙結果を受け、当面台湾の中国離れが進む可能性が大きい。

◆英下院Brexit法案可決、1月末EU離脱へ(9日)☆
・英下院は英国がEUから離脱するための関連法案を可決した。
・上院も近く可決の見込み。1月31日のEU離脱が確実になった。
・2月から離脱の移行期間に入る。期限は2020年末まで。
・英国とEUは期限内にFTAなど新たな通商関係の締結を目指す。
・移行期間は2年間の延長が可能。ただしジョンソン英首相は延長を否定する。

 

◆豪州山火事被害拡大
・豪州の山火事被害が拡大。ブラジルのアマゾン火災の規模を上回った。
・昨年9月から発生。11月以降深刻化した。メルボルンやシドニーの郊外に迫る。
・コアラなど野生動物への被害も拡大している。
・モリソン首相の対応への批判も強まっている。
・被害拡大の背景には温暖化の影響も指摘される。
・10日には気候変動対策強化を求めるデモがシドニーで起きた。

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 【イラン情勢】 米国によるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害(3日)を受けて、情勢は緊迫した状況で刻一刻と変化している。
 今週は、米国とイランによる威嚇の応酬(3-7日)、イラン国内での司令官の葬儀(7日まで)、イランによる核合意停止措置の第5弾=ウラン濃縮無制限に進める旨=の発表(5日)、イラク議会による米軍撤収要求決議(5日)、イランによる米軍事施設への報復攻撃(8日)、トランプ大統領の声明=報復合戦自重(8日)と続いた。
 そこに加わったのがイラン軍によるウクライナ機撃墜事件(8日)。外交、軍事面での応酬だけでなく、偶発的な要素も加わり事態が推移する様をあからさまにした。
 当面、前面衝突のリスクは低下したという見方が強いが、緊迫は続く。偶発事態の怖さも改めて明白になった。目を離せない状態が続く。

 

 【2020年のリスク】 ユーラシアグループが恒例の2020年のリスク番付を発表した。トップ10は、(1)米大統領選(米次期指導者)、(2)米中技術摩擦(デカップリング)、(3)米中関係、(4)多国籍企業の活動、(5)インド、(6)欧州、(7)気候変動、(8)中東(シーア派の三日月地帯)、(9南米の不安定、(10)トルコ。
 基本的に、リスク項目は昨年から続く流れの延長線上にある。中東での緊張はすでに今年に入り一層高まった。番外として、途上国におけるポピュリズムの高まりなども指摘している。香港情勢の行方は特記していない。

 

 【台湾総統選】 台湾総統選は現職の民進党・蔡英文総統が圧勝した。選挙で焦点になったのは地対中関係。対中強硬姿勢を取り、中国との距離を保つ蔡総統の政策が支持された格好だ。
 背景にあるのが昨年以来の香港情勢。香港の運動に対し、香港当局や中国政府は強硬な姿勢を貫き、「1国2制度」の名の下に香港が中国に飲み込まれていく懸念が高まっている。これが対中警戒感を強めている。
 中国の勢力拡大は今のところ、流れとして止まらない。アジアは「中国の平和」(パックス・シノワ)に移行する過程にあるとの見方もある。しかし、民主化要求や民主主義維持の要望は根強い。
 香港情勢や台湾総統選は、アジアの行方が一筋縄ではないことを示唆しているようにも見える。

◎ またひとつ「1つの中国」に異議の声
◎ 「中国の平和」と自由を問う選挙

 

◎今週の注目(2020年1月13-19日 &当面の注目)
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・イラン情勢の行方からは逐一目が離せない。
・米中が通商交渉の「第1段階合意」の調印式を15日に開く予定。

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2020年1月 5日 (日)

◆2020年の展望 2020.1.5

 2020年が幕を開けた。前年から続く米中対立、中東混乱、香港の抗議活動などはどう動くか。米大統領選は世界にどう影響するか。2020年を展望する。

▼主な日程

 2020年のすでに確定している主な日程は以下の通りだ。
・1月31日 英国がEUから離脱
・2月3日 米大統領選の予備選が始動(アイオワ州の党員集会)
・3月5日 中国全人代
・7月24日 東京五輪開幕、五輪、パラリンピック9月6日まで
・11月3日 米大統領選

▼米大統領選のインパクト

 2020年の世界は、米大統領選にらみで推移するのが確実だ。米中貿易交渉、対イランなどの重要政策は、選挙をにらんで決定が下される。それが世界を揺り動かす状況が続くだろう。

 それ以上に重要なのが、トランプ氏が再選されるかどうかだ。選挙結果は今後数年の世界の行方を左右する。米大統領選が世界にインパクトを与えるのは4年ごとのお決まりの出来事だが、2020年はその重要性がいつになく大きい。

 過去3年間、世界はトランプ米大統領の政策に揺れ動いてきた。トランプ氏は米外交政策の基本姿勢を、従来の多国間主義や国際協調重視から自国利益優先に変更。中国と貿易やハイテクを巡って対峙する姿勢を鮮明にし、関税の大幅引き上げを実施した。世界経済はその打撃で大幅減速した。

 安全保障面では、イラン核合意からの離脱でイランとの緊張が増した。在イスラエルの大使館のエルサレム移動やゴラン高原の主権容認などの親イスラエルの政策は、従来の秩序を覆した。こうした変更が必ずしも整合性のある戦略の下に決定されるのでなく、一貫性を欠くのもトランプ政権の特徴だ。

 米大統領選は11月の本選をにらみ、2月から予備選に入る。並行して、トランプ大統領の弾劾裁判も進む。大統領選の行方に、世界が注目する。

▼地政学リスク――中東、香港

 地政学リスクで最も緊迫しているのが中東だ。2020年早々、米国がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害。緊張が高まった。中東ではシリア、イラク、イエメン、パレスチナ、リビアなども紛争を抱えて推移する。

 香港情勢も混乱が続く。2019年6月から続く抗議活動は8か月目に入った。民主化を求める住民の抗議活動に、香港政府や中国は譲歩の姿勢を見せない。問題解決の出口は見えない。香港情勢は、中国による1国2制度の行方や中国の政治体制の行方をも占う。

 中南米では2019年、政府に対する国民の抗議活動が広がった。チリ、アルゼンチン、コロンビア、エクアドル、ボリビアなどだ。抗議は政権が左派、右派いずれの場合もある。ベネズエラはマドゥロ政権の下で経済破綻、国内の抗議活動と共に、大量の国民が国外に流出している。

▼ポストBrexitの欧州

 欧州では英国の1月末のEU離脱が確実になり、ポストBrexit時代に入る。EUの求心力の回復、経済改革の推進などが課題になる。それ以上に注目されるのが、欧州政治の行方だ。ポピュリズムや極右政党の台頭という流れに歯止めをかけることができるのか。民主主義の危機を回避する糸口が見つかるのか。世界全体の民主主義の行方にも影響する。

▼経済・IT革命

 2019年は米中貿易戦争の影響で世界経済が大幅に減速する一方で、株価や不動産価格などが上昇した。2018年の正常化(引締め)→2019年は緩和に転換した先進国の金融政策の影響が大きい。カネ余り下の株式・不動産価格の上昇は、バブルの兆候との指摘もある。中国や新興国では、企業や個人の負債が拡大している。経済の行方は予断を許さない。

 IT技術の進歩は加速し続け、世界の経済や社会を変えている。2019年はAIブームやデジタル通貨のリブラ計画などが注目を浴びた。技術革新は今年も様々な形で進むだろう。

 昨年は、GAFAなど巨大IT企業への規制強化議論が深まった。従来のEUに加え、米国も規制強化の方向に舵を切った。ただ、こうした議論には時間がかかる。その間に、巨大IT企業や国家による情報独占が進み、高度監視社会が推し進められていく。2020年という1年間に限る話ではないが、現代社会の在り方を問う上で避けて通れない問題だ。

▼FTの2020年展望

 英FT紙は毎年恒例で、新年の展望記事を掲載している(今年は2019年12月27日付)。ポイントを整理してみる。

(国際情勢・世界の政治)
・トランプ氏は米大統領選の一般投票で多数をとれるか――取れない(選挙に勝つかは別)
・米・イランは戦争になるかーーならない
・中南米の反政府デモは続くか――続く

(欧州情勢)
・ジョンソン英首相はEUと貿易協定で合意できるか――できる。
・英労働党は再び選挙で勝利し政権を担える政党になれるか――2020にはなれない
・メルケル独首相の大捩率政権は崩壊するか――する
・イタリアの「同盟」(極右)の政権復帰はーーある
・マクロン仏大統領はロシアのプーチン大統領と関係改善を実現できるか――できない

(経済・技術)
・米景気は後退するか――しない
・巨大IT企業に実効性のある規制を課すことができるかーーできない
・中国は5Gで世界をリードするか――する
・インド経済は主要経済で最高の成長率を回復できるか――できない
・南アは投資不適切国になるか――なる
・世界のCO2排出は減少するか――市内
・北海ブレントは年末1バレル=65ドルを超えるか――越えない

2020.1.5

 

 

 

2020年01号 (1.1-5 通算1017号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2020年1月1-5日
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◆米がイラン革命防衛隊司令官殺害(3日)☆
・米国は、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した。
・イラクのバクダッド国際空港で現地時間3日空爆攻撃した。米現地時間2日発表。
・同氏は革命防衛隊のコッズ部隊を率い、イランの対外工作を担ってきた。
・米は革命防衛隊をテロ組織に指定。同氏が米軍への攻撃を計画していたと主張する。
・イランは報復を宣言。イラクでも米国への抗議活動が拡大した。
・トランプ米大統領は中東への増派計画を発表した。
・中東の緊張が一気に高まり、軍事衝突などの懸念が広がる。

◆香港、元日103万人デモ(1日)☆
・香港の政府への抗議活動は新年に入っても継続した。
・1日には参加者103万人(主催者発表)のデモが行われた。一部で衝突があった。
・12月31日には「人間の鎖」による抗議が実施された。
・香港では逃亡犯条例改正をきっかけに2019年6月から抗議活動が継続。
・8ヵ月目に入った現在も、解決のめどは見えず、1国2制度の在り方が問われている。

◆米株式市場、最高価格更新で取引開始(2日)☆
・米株式市場の2020年の取引が開始。NYダウは最高値を更新した。
・19年12月末に比べて330ドル36セント高の2万8868ドル80セント。
・世界的なカネ余りの中で、強気ムードが継続している。
・ただ、米国によるイラク革命隊司令官殺害後は、中東混乱への懸念で下落した。

◆北朝鮮が「新たな戦略兵器」示唆(1日)
・北朝鮮の労働党中央委員会総会が12月28-31日開催。朝鮮中央通信が1日報道した。
・金正恩委員長は経済制裁を続ける米国を非難。
・「世界は遠からず朝鮮の新たな戦略兵器を目撃する」と主張した。
・米国との交渉次第で、ICBM発射再会の可能性を示し、けん制した模様だ。
・米中は2018年に1回、2019年に2回首脳会談を開催。
・しかし朝鮮半島非核化などを巡る協議は進んでいない。

◆トルコがリビア派兵準備(2日)
・トルコ国会は、リビア暫定政権支援のため、現地に派兵する権限を大統領に与えた。
・リビアは内戦が続き、トリポリ拠点の暫定政権をトルコやカタール、伊が支援。
・東部ベンガジ拠点の反施暫定政権をエジプトやサウジ、仏ロなどが支援する。
・トルコはエジプトやロシアに揺さぶりをかける狙いとみられる。
・内戦に拍車をかけるリスクも指摘される。

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◎寸評:of the Week
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 【2020年の展望】 2020年が始動した。年明け早々米国によるイラン革命防衛隊司令官殺害のニュースが飛び込み、中東の緊張が高まった。(→国際ニュースを切る「2020年の展望」) 

 

 【イラン革命防衛隊司令官殺害】 それにしても、と言うべきか。米国がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した。米国は革命防衛隊をテロ組織指定していたとはいえ、実際に軍事衝突していたわけではない。司令官はイラン国内で人気が高く、大統領選出馬の動きもあった重要人物だ。イラン側の反発や報復は当然予測できるが、それにもかかわらず殺害に踏み切った。
 今回の行動の背景としては、様々な断片情報が流れている。1つは昨年6月のイランによる米無人偵察機撃墜の際に報復攻撃を行わなかったのが弱腰と取られたとの情報。今回は強硬姿勢を取った徒の解説だ。トランプ大統領の判断が途中で変わったという情報も流れている。
 様々な動きがあったのだろうが、重要なポイントは米国とイランの関係が、オバマ政権時代の「相互理解を模索する」関係から、「相互不信と報復合戦の連鎖」に変わったことだろう。
 偶発的な戦争の勃発の可能性も排除できない。

◎ 暗殺を自賛の社会ちょっと待て
◎ 憎しみの連鎖のボタン春に押す
◎ 空爆に御屠蘇気分は急冷凍

◎今週の注目(2020年1月6-12日 &当面の注目)
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・台湾の総統選が1月11日に行われる。
・米中が通商交渉の「第1段階合意」の調印式を15日に開く予定。
・レバノンに逃亡したゴーン日産元会長が8日にも記者会見を開く予定。

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2019年12月31日 (火)

◆2019年の10大ニュース 2019.12.31

 

 2019年が終了する。世界は今年もトランプ米大統領の政策に揺れ動いた。10大ニュースの形で、2019年をレビューする。

▼INCDの10大ニュース

 INCDが選ぶ2019年の10大ニュースは以下の通り。

(1)米中貿易戦争継続、世界経済減速
(2)米・イラン緊張と中東緊張拡大
(3)香港で抗議活動
(4)Brexitに道筋、英首相にジョンソン氏
(5)トランプ大統領を弾劾、ロシア、ウクライナ疑惑で
(6)温暖化対策求め世界中で大規模デモ、米はパリ協定離脱手続き
(7)IT大手への規制強化の動き、リブラ計画に警戒
(8)ベルリンの壁崩壊30年
(9)中国建国70年、習近平政権による締め付け、高度監視社会化が進む
(10)米欧関係の緊張高まる

▼トランプ大統領に揺れる世界

 2017、2018年に続き、トランプ米大統領の政策に世界が揺れる状況が続いた。

 具体的な事例を挙げれば、(1)対中関係=貿易戦争やハイテクを巡る対立、(2)中東政策=イランとの対立の深刻化、イスラエルによるヨルダン川西岸への入植容認など、(3)地球温暖化・環境問題=パリ協定からの離脱手続き開始など、(4)移民規制の強化=メキシコ国境の壁建設のため非常事態宣言、(5)欧州との関係悪化=貿易を巡る対立、安全保障での負担増要求など、(6)単独主義的色彩への一層の傾斜=G7サミットで総括的な合意文書なし、(7)FRBの金融政策に対する介入や圧力の強化、などだ。

 トランプ米大統領は就任以来、国際協調や多国間主義を重視する伝統的な姿勢を否定し、米国第1を前面に打ち出す姿勢をあらわにした。2019年もその延長線上で、スタンスを一層鮮明にした。

 キッシンジャー元国務長官はトランプ大統領の登場の歴史的意味について、第2次大戦後の秩序の再編という趣旨の指摘をした。2019年の行動も、その脈略で捉えるべきだろう。

 問題は、政策の一つ一つに必ずしも整合性がなく、時に思いつきのような決定な行われることだ。中東政策などに典型的に表れる。この傾向も、2017年の就任以来変わらない。

▼大統領弾劾と大統領選

 米国では野党民主党多数の下院がトランプ大統領をウクライナ疑惑で弾劾した。問題は年明け、上院での審議に入る。与党共和党多数の上院では大統領解任には至らない可能性が大きいが、米政治はこの問題に揺れ動く。

 米政治はもう一つ、2020年11月の大統領選をにらんだ動きが佳境に入りつつある。民主党の候補は乱立気味で、行方は混とんとしている。これがトランプ氏再選につながる可能性もある。

 トランプ大統領だけでなく、米国内の政治動向は世界に影響を与える。2020年の大統領選をにらんだ影響は、早くも世界に及んでいる。

▼経済不透明

 世界経済は米中貿易戦争の影響で減速が進んだ。一方、金融市場では2018年の欧米における正常化(引締め)→緩和に流れが変わり、再び大量の緩和資金が出回っている。これが株式や不動産などの価格上昇や、途上国の金融市場の乱高下などに結びついている。

 実体経済の減速+金あまりの状況で経済は2020年に入る。バブルの発生などリスクを指摘する声もある。

▼香港の抗議活動と中国の高度監視社会化

 香港では犯人引き渡し条例の改正をきっかけに6月から市民による抗議活動が拡大。同月には200万人デモが行われた。これに対し中国を後ろ盾にする香港政府は強硬姿勢を変えず、緊張が継続。1国2制度の在り方が改めて問われた。

 11月の地方選では民主派候補が圧勝、民主化を求める民意が示された。問題は7か月経っても解決の行方が見えないまま年を越す。

 中国は10月1日に建国70周年を迎えた。習近平政権は、米中経済摩擦で経済面で難しい問題に直面しながら、政治面では強硬な姿勢を崩さない。香港問題でも民主派への譲歩を否定している。

 こうした政治、経済情勢の中で、ネットにより人々の行動を監視する「高度監視社会」化は急速に進む。この問題は、世界全体にとっても2020年代の重要な課題になる。

▼IT大手規制強化 

 GAFAに代表されるIT大手への規制は、2019年曲がり角を迎えた。これまでも規制に前向きだったEUに加え、米国も規制強化の方向に舵を切った。相次ぐ個人情報流出の発覚やなどが背景にある。

 一方、環境問題では欧州が温暖化対策やプラスチックごみ対策を強化する一方、米トランプ政権はパリ協定からの離脱手続きを正式に取るなど、温度差が明確になった。

 9月20日には世界各地で数百万人が参加し、温暖化対策を求めるデモが繰り広げられた。この運動の鮮度訳の1人が16歳のスウェーデンの少女、グレタ・トゥンベルさん。環境運動の新しい旗手として注目が集まった。

▼ベルリンの壁崩壊30年

 2019年はベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終了して30年(1世代)の年だった。同時に、中国で民主化運動を弾圧した天安門事件からも30年を数えた。世界で過去30年を振り返る議論が行われた。

 30年前には世界の民主化が進み、グローバル化のプラスの面が実現していくと期待された。結果はそうはならず、格差の拡大、テロや地域紛争の拡大などの問題が深刻化した。2008年のリーマン・ショックは、資本主義の在り方に疑問を突き付け、問題は今も解決されない。

 30年目の節目は、こうした課題を再認識させた。

▼APの10大ニュース

 AP通信が世界の編集者を対象にアンケートしまとめた10大ニュースは以下の通り。米国内と国際ニュースを分けていない。

(1)トランプ大統領の弾劾  TRUMP IMPEACHMENT:
(2)トランプ政権の移民規制強化 IMMIGRATION
(3)ロシア疑惑 TRUMP-RUSSIA PROBE
(4)フロリダ州などの乱射事件 MASS SHOOTINGS
(5)オピオイド問題 OPIOIDS
(6)地球温暖化問題、米はパリ協定から正式に離脱手続き CLIMATE CHANGE
(7) BREXIT
(8)米中貿易戦争 US-CHINA TRADE WAR
(9)ボーイング737Maxの事故、安全問題 BOEING JETS GROUNDED
(10)香港情勢 HONG KONG
(番外)NZモスクでのテロ、民主党大統領選候補選び、ノートルダム寺院火災

◎ トランプに揺れる世界は4年目に
◎ 秩序という言葉を忘れて年回顧
◎ 16の少女が運ぶエコの新風

2019.12.31

 

 

2019年52号 (12.23-31 通算1016号)国際ニュース・カウントダウン

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年12月23-31日
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◆2019年の世界経済、実体経済減速、金融緩和で資産拡大(31日)☆
・2019年の世界経済は、米中貿易戦争の影響で減速が続いた。IMF予測は3%成長。
・一方、世界的な金融緩和の影響で資産価格が上昇した。
・世界の株式時価総額は86兆ドルと過去最大に増加した(QUICK・ファクトセット)。
・金や債券の価格も上昇した。
・NYダウも12月に入り連日最高値を更新。
・相場上昇は経済実態の反映よりカネ余りの影響、との指摘も多い。

◆ロシアがクリミアに鉄道橋(23日)☆
・ロシア本土とクリミア半島を結ぶ鉄道協が完成。プーチン大統領が横断した。
・同半島は2014年にロシアが併合。欧米などは認めていない。
・鉄道協は全長19キロ。自動車橋はすでに18年に完成している。
・クリミア問題は2014年の発生から5年を経て、対立が続く。
・ロシアと欧米の関係も、冷却した状況で2020年を迎える。

◆ゴーン日産元会長が日本出国(31日)☆
・日産元会長のカルロス・ゴーン被告が日本をひそかに出国。レバノンに到着した。
・31日に米国の広報担当者を通じて声明を発表した。
・日本が人質司法と批判。有罪前提の裁判で、人権が無視されていると訴えた。
・ゴーン氏の弁護士は事前に知らず、驚いていると語る。
・東京地検は2018年、有価証券取引法違反などでゴーン氏を逮捕。
・ゴーン氏は今年4月に保釈されたが、国内滞在などが条件だった。
・事件は海外の関心も大きい。予想外の展開で、また別の反応や議論も予想される。

◆日中韓首脳会議(24日)
・日中韓の首脳会議が中国の成都で開催。貿易や北朝鮮の核問題などを協議した。
・日本の安倍首相と韓国の文大統領は1年3月ぶりに会談。
・元徴用工問題など、ぎくしゃくする2国間関係の改善を協議した。
・3か国首脳会談を持ち回りで開催するようになったのは2008年から。
・東アジアの枠組みの1つになっている。

◆米が親イラン勢力を攻撃、現地で反発(29日)
・米軍はイラクとシリア領内5か所を空爆した。親イランの武装勢力が対象。
・国防総省が発表した。武装組織ヒズボラの武器庫や司令部を攻撃したという。
・攻撃に対しイランは反発。イラク国内でも米国批判が強まった。
・イラクでは先に首相が辞任。大統領も辞任をほのめかしたばかり。
・シリアではアサド政権が反体制派への攻勢を強めている状況。
・いずれの国も混迷が続く。そうした中で米・イランの対立が強まる状況だ。
・中東情勢は混乱が続くまま越年する。

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 │INCDの採点
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 │ ☆☆  世界史の年表に載るようなニュース
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◎寸評:of the Week
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 【2020年終了】 2020年が終了する。昨年に続き、トランプ米大統領の動きに世界が振り回された感が強い(→国際ニュースを切る「2019年の10大ニュース」)。

 

◎今週の注目(2020年1月1-5日 &当面の注目)
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・台湾の総統選が1月11日に行われる。
・世界のメディアや調査機関などが2020年の展望を発表する。

 

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2019年12月22日 (日)

2019年51号 (12.16-22 通算1015号)国際ニュース・カウントダウン

 

◎国際ニュース・週間カウントダウン: 2019年12月16-22日
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◆米下院がトランプ大統領弾劾(18日)☆☆
・米下院本会議はトランプ大統領を弾劾訴追する決議案を可決した。
・ウクライナ疑惑に絡み権力乱用と議会妨害を行ったとの内容。
・弾劾訴追を受けた大統領は史上3人目だ。
・野党民主党のが賛成。与党共和党は全員が反対し、分断が鮮明になった。。
・1月にも上院で弾劾裁判が行われる。
・上院は共和党多数で大統領罷免になる可能性は少ない。
・それでも弾劾の事実は重い。大統領選にも影響する可能性がある。

◆インドで国籍法改正に抗議活動拡大 ☆
・インド上院が新国籍法を11日に可決。反対する抗議活動が全国に広がった。
・同法は2014年までに周辺3か国から不法入国した人にインド国籍を与える内容。
・ただしヒンズー教徒や仏教徒に限り、イスラム教徒は対象外とする。
・インド国内のイスラム教徒がこれに抗議。デモや大学の授業ボイコットが広がる。
・政府は19日、ニューデリーで一部通信を遮断した。デモ抑制の狙い。
・モディ首相は5月の総選挙で国籍法改定を公約に掲げていた。
・インドでは近年イスラム教排除の動きが強まる。
・8月にはイスラム教徒が多いカシミール地方で自治剥奪を決めた。

◆スウェーデンがマイナス金利終了(19日)☆
・中銀は政策金利(レポ金利)をマイナス0.25%→0%に上げると発表した。
・マイナス金利長期化で生じた、家計の負債拡大などの副作用に配慮した。
・同国は09年一部金利に初のマイナスを採用。15年にレポ金利をマイナスにした。
・現時点で景気回復は弱く、物価上昇も目標の2%を下回る。
・しかし家計の債務が拡大し、住宅価格が不安定になるなど、弊害が出ている。
・世界ではユーロ圏や日本が、景気刺激や物価上昇を狙いマイナス金利を採用する。
・効果は限定的である一方、銀行収益悪化→金融仲介機能低下などの弊害が出ている。
・ただ他に適切な政策手段がなく、継続しているのが現状だ。
・スウェーデンの政策変更がどう影響するか、注目される。

◆米国が宇宙軍創設(20日)☆
・米国の2020会計年度(19年10月-20年9月)の国防予算を定めた国防権限法が成立した。
・トランプ大統領は6番目の独立軍となる宇宙軍の創設を宣言した。
・同軍は陸海空軍の宇宙関係の機能を統合。1万6000人が異動する。
・米国で指揮権が独立した軍は、陸海空軍と海兵隊、沿岸警備隊がある。
・再編には、宇宙分野の軍事力を強化する中国い対抗する狙いがある。
・米国は1980年代以来数度、宇宙軍の組織再編を繰り返してきた。

◆スコットランド首相が住民投票実施要求(19日)☆
・スタージョン首相は、住民投票実施の権限を求める要求を英政府に出した。
・スコットランド議会が投票実施を決定できるようにするもの。
・現状は、住民投票実施には英政府の同意が必要だ。
・英国は今月の総選挙で保守党が勝利。来年1月のEU離脱が決まった。
・スコットランドはEU残留派が多数。総選挙では住民投票を求める民族党が大勝した。
・スコットランドは2014年住民投票で英国残留を決めたが、Brexit前の話だ。
・英国のジョンソン首相は住民投票を認めない姿勢。
・住民投票を巡り両者の駆け引きが過熱する。欧州の地域分離運動も左右する。

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 【大統領弾劾】 米下院がウクライナ疑惑を巡り、トランプ大統領を弾劾訴追する議決案を可決した。大統領が弾劾されたのは、南北戦争後の1868年のアンドリュー・ジョンソン17代大統領、1998年のクリントン42代大統領に続き3人目。米国史上もまれな出来事だ。
 追訴の理由は、大統領が対ウクライナ外交を2020年の大統領選に利用ようとした「権力乱用」と、議会の調査を妨害したとする「議会妨害」の2点。いずれも条項も、野党民主党の賛成多数で可決し、与党共和党は全員が反対した。米国の分断が、ここでもあからさまに出た格好だ。
 今後、上院での弾劾裁判が1月にも始まる。上院は共和党多数で、大統領罷免になる可能性は極めて小さい。しかし、審議の過程で何が出て来るか分からない。
 審議は大統領選の予備選と並行して進む可能性があり、大統領選への影響も予断を許さない。
 それにしても一連の疑惑や弾劾から感じるのは、スキャンダルまみれのトランプ政権、党派対立丸出しの米政治、米国の分断、政治の劣化、等々だ。
 世界の警察官をやめたとはいえ、超大国の米国。その外交は世界を揺るがす。そして外交は国内政治に影響されて動く。
 ドタバタ劇としてみるのなら面白いが、世界への悪影響を考えると、笑い話で済まなくなる。

◎ 弾劾もTVドラマなら楽しいが
◎ 弾劾劇 汚職と党利党略付き
◎ 超大国のドタバタ笑う顔ひきつる

 

◎今週の注目(2019年12月23-31日 &当面の注目)
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・2019年も終了。世界は今年もトランプ米大統領に揺り動かされた感じだ。
・メディアは2019年の10大ニュース、2020年に向けた展望などを報じる。

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2019年12月15日 (日)

◆英総選挙のインパクトーーBrexitの確定とEUの行方 2019.12.15

 英国の総選挙(12月12日)で保守党が過半数を制し、2020年のEU離脱に道筋がついた。Brexit後の欧州と英国はどちらの方向に進むのか。

▼保守党勝利でEU離脱に道筋

 選挙は保守党が650議席中365議席を獲得し、選挙前の298議席から67議席増やし過半数(326議席)を大きく上回った。野党第1党の労働党は243→203議席に減らし惨敗した。

 選挙では保守党のジョンソン首相が、2019年10月に決まったEUとの合意に基づき来年1月末に離脱すると主張。これに対し労働党は再度の国民投票を掲げ、離脱か残留かの主張を明確にしなかった。

 現地メディアの報道などによると、労働党の煮え切らない態度に支持離れが進んだ。従来同党の牙城だったイングランド北部の選挙区で、労働党→保守党へ投票を変えた有権者も多い。

 選挙の結果、英国のEUからの2020年1月離脱がほぼ確定した。

▼3年半の迷走

 英国は2016年6月の国民投票でEU離脱を選択した。しかし、その後の対応は混乱を極めた。

 国民投票では離脱支持と残留支持で国民が2分し、離脱の内容も曖昧なままだった(関税同盟や単一市場からも離脱するかどうかなど)。国内はEUとの合意なしの離脱も辞さない強硬派や、合意あり離脱に固執する穏健派、さらには再度の国民投票を求める立場などに分断された。

 国民投票後の2016年7月に発足したメイ政権は、保守党内のとりまとめに腐心。2017年5月に総選挙に打って出たが、過半数を失い政治基盤が弱体化した。その後、強硬離脱と穏健離脱の間を揺れ、苦労して2018年11月にまとめたEUとの合意は議会で再三否決された。その結果、2019年5月に辞意表明に追い込まれた。

▼ジョンソン政権誕生→Brexitにメド

 その後2019年7月にジョンソン政権が発足。同首相は2019年10月、EUとの間で新合意にこぎつけた。

 合意内容は離脱のボトルネックになっていた北アイルランドとアイルランド共和国の国境管理問題で、英国と北アイルランドの一体よりも国境の自由移動を重視したもの。北アイルランド切り捨てともいえる内容だ。

 この合意を巡っても国会で承認が得られない状況が続いたが、総選挙の勝利で合意承認→来年1月の離脱がほぼ確定した。

▼今後の通商関係は流動的

 Brexitにより英国はEUの単一市場や関税同盟から抜けるが、2020年末までは、暫定措置としてこれまで通りの立場を維持する。その期間中に、離脱後の新しい通商関係の協議をする。

 両者は自由貿易協定の締結などを想定するが、交渉は複雑で短期間にどこまでまとまるか定かではない。お互いに相手に一方的に有利な内容は受け入れないとの立場がある。期限内に合意できず、合意なし離脱に近いような状況に陥るリスクはまだ消えていない。

 英国民投票からすでに3年半を経過し、民間企業などでは「離脱後」を見越した準備も進んでいる。大手自動車メーカーは相次ぎ、英国の制裁拠点の縮小や撤退計画を打ち出した。

▼スコットランド独立の動き?

 そうした経済的な影響はもちろん重要だが、それ以上に大きな影響があり得るのが政治的な動きだ。

 英国では今回の総選挙で、スコットランド民族党が躍進した。スコットランドは元々EU残留派が多く、独立運動に火が付く可能性がある。同党のスカージョン党首は13日、スコットランド人には将来の選択をする自由があると強調した。

 北アイルランドのプロテスタント系住民が支持する民主統一党(DUP)は、保守党に閣外協力してきた。しかし10月の合意が事実上北アイルランド切り捨てになったことからジョンソン政権を「裏切り」と批判する。アイルランド系住民は元々、南のアイルランド共和国との一体化に前向きだ。EU離脱で不測の事態発生や構図が変わる可能性が生じる。

 英国でスコットランド独立などの動きが出てくれば、それはスペインのカタルーニャなど欧州の他の地域独立運動に影響する。

▼縮小に転じるEU

 EUは1958年の創設以来、拡大を続け28カ国にまで拡大した。しかし英国の離脱で初の縮小に転じる(1985年に自治領だったグリーンランドが脱退した事例はある)。

 EUは単一市場を形成し、ユーロ圏においては共通通貨を発行するなど、経済統合を進めてきた。また共通の外交、安保政策を強化するなど、欧州の枠組みの中心の存在になった。冷戦終了期に混乱が回避でき、東欧諸国が比較的円滑に西欧と融合したのも、EUがあったためだ。

 2010年代にEUはユーロ危機や欧州通貨危機を経験し、求心力低下が叫ばれる。それでもEUは欧州という枠組みの核だ。

 国際的な舞台でEUが発言力や影響力を発揮できる背景には、欧州のほぼすべての主要国が加わる規模の力もあった。加盟国の縮小は、力や影響力の低下につながる。

▼問われるEUの存在意義

 EUは2016年の英国民投票まで、加盟国の離脱を事実上想定しない運営をしてきた。初の離脱で、基本的な仕組みや考え方に問いが突き付けられている。

 具体的な課題としても、難民問題への対応、極右やポピュリスト政党台頭への対処などEUの基本理念や戦略を問われる問題が多い。

 EUは英国民投票以降、こうした問題への協議を繰り返した。しかし人々を引き付ける、具体的な青写真は示せていない。

▼欧州の地殻変動

 欧州の枠組み、線引きは、冷戦が終了した1990年代前半以来の変動の時期を迎えた。

 Brexitの意味として、格差拡大への不満の発露やポピュリズムの台頭、移民問題などが指摘されることが多い。加えて、欧州の地政学に与える影響は甚大だ。今後、玉突きのように様々な変化が起きると心した方がいいだろう。

◎ Brexit 分断の時代の鍵言葉
◎ 英国と大陸の距離改めて
◎ 欧州の地図の塗り替え再号令

2019.12.15

 

 

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